連載 ロジカルコミュニケーションのススメ 第3 回 相手の特徴に応じたアプローチで 良好な関係をつくる

人間関係を円滑にするための対人対応スキル
最近、ビジネス(対内外問わず)上の人間関係をよくするための多くの書籍が出ている。「聞く」ことを重点に置いた著書、「論理的に話す」ことを主眼に置いた書籍、「人の気持ちを察する」ことを唱え始めた書籍など、かくも多くの視点から書かれたものがある。そこで書かれているものは、おそらく正解である。しかし、正解でない、あてはまらない場合もある。その正解でない場合が、ビジネスの現場で問題となっているのではないか。その正解か正解でないかの線引きの視点、そして正解でない時にも使えるスキルをご紹介する。
最近の若者のコミュニケーション傾向
携帯電話での通話やメールでのやり取りは頻繁に行っているくせに、直接顔を合わせると、人とどう接してよいのかわからない。
あまり人とはかかわりたくない。仕事さえできれば、上司や先輩との人間関係なんて重要ではない。そもそも、それほど仲がよくもない人と話すことが面倒臭い。
最近の若者のコミュニケーション傾向といえば、このようにドライで、コミュニケーションを避けているような印象すらある。図表のデータをご覧いただきたい(図表1)。
実は、ほとんどの新入社員が仕事をするうえで人間関係を重視し、また、よりよい人間関係を築きたいと思っているのだ。確かに、仕事を効果的に進めていくうえで人間関係は重要である。
お互いがよい関係で、気持ちよく仕事ができれば、当然仕事へのモチベーションは上がり、進行もスムーズに進むだろう。反対に「ああ、○○さんの顔を見るのも嫌だ……でも、今日は××の件について一緒に話をまとめなくては……」と思うと、会社へ向かう足取りも重くなる。新入社員も当然こんなことくらいよくわかっているのだ。
では、次に別の角度から仕事上の人間関係についてみてみよう。図表2、3を見ていただきたい。
これらのデータから、「仕事をするうえでよい人間関係を築きたいのだけれど、どうやってそれをすればよいのかわからず、悩んでいるビジネスパーソン」が増加しているのが読み取れる。この職場の人間関係の悩みが原因で、休職あるいは退職、最悪の場合は自殺者まで出ているのが現状なのである。
では、この悩みを解決するにはどうしたらよいのだろうか。
これには「よりよい人間関係を築くスキル」を習得することが必要であるといえる。もちろん、悩みを聴いてあげること(カウンセリング)も有効なのもよくわかっているが、今回のテーマである悩み解決の最終的な目的の人間関係づくりのスキルについてご紹介したいと思う。