J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2017年10月号

CASE 1 PwCコンサルティング 研修、ジョブローテーション、フィードバック 総合的な仕組みで 思考力と伝える力を鍛え、伸ばす

企業の経営課題を解決するPwCコンサルティングにおいて、論理的な思考力はまさにコアスキルだ。
したがって、新入社員はハードな研修だけでなく、さまざまなシーンにおいて総合的にトレーニングを受けるという。
充実した育成の仕組みを取材した。


沖 依子氏
人事部 コンサルティングデベロップメントリーダー

齊藤ふみ氏
人事部 マネージャー

PwCコンサルティング合同会社
PwCは157カ国、22 万3,000人以上の専門スタッフを有する世界最大級のプロフェッショナルサービスネットワーク。PwC Japanグループは、PwCグローバルネットワークの一員として、各法人がコンサルティング、ディールアドバイザリー、監査、税務、法務などのサービスを提供。PwCコンサルティングは、日本におけるコンサルティング部門を担い、経営戦略の策定から実行までの総合的なコンサルティングサービスを展開する。
総収益:359 億米ドル、従業員数:22 万3468 名(共に2016 年6月期、PwCグローバルネットワークにおけるデータ)

[取材・文]=汐見 忍 [写真]=編集部

●前提 「考えて伝える」が仕事の基本

世界157カ国に22万人以上の従業員を有する世界最大級のプロフェッショナルサービスネットワーク、PwC。日本におけるコンサルティングファームであるPwCコンサルティング合同会社は、PwCのグローバルネットワークが持つ幅広い業界専門性やナレッジを活用すると共に、PwC Japanグループの各分野のスペシャリストと緊密に連携し、日本企業の経営課題解決をサポートしている。

人事部コンサルティングデベロップメントリーダーの沖依子氏は、社員に求められるスキルについて、こう話す。「プロフェッショナルファームとしては、コミュニケーション力は不可欠です。ただ理論的な知識をインプットして終わりではなく、それをお客様や仲間に伝え、形にして、物事を動かしていかねばなりません。その時に大事な力は2つあります。1つは論理的に考える力、もう1つは共感的に伝える力です。どちらが欠けてもいけないし、両方があってこそ、それぞれの力が活きてくるのです」

例えば、クライアントとしっかりとコミュニケーションをとるためには、自分が伝える内容に矛盾や漏れがないかなど、論理的に思考しなければならない。ただし、それだけでうまく意思疎通できるわけではない。お互いの関係性を構築するための伝える力、いわゆるヒューマンスキルも同じように求められる。

PwCでは「社会における信頼を構築し、重要な問題を解決する」ことをPurpose(存在意義)として掲げているが、それを実現していくうえでも、2つのスキルは大切だ。

「いずれも重要というよりも、むしろなくてはならない、あって当然のものと位置づけています。特に分析的な思考力や論理的な思考力は、当社の人材に必要なビジネス能力(BusinessAcumen)として明記しているほどです」(沖氏)

そこで同社では、双方のスキルの養成・向上のため、日頃からさまざまな取り組みを行っているという。以下、紹介していこう。

●研修 若いうちに習慣化させる

同社のコンサルタントには、アソシエイト、シニアアソシエイト、マネージャー、シニアマネージャー、ディレクター、パートナーという6つの職階がある。新卒の場合は、アソシエイトとして入社するが、論理的に考えたり、分析したりする力の養成や向上については、入社してすぐのアソシエイトの段階から、各種の教育プログラムの中に組み込んで、徹底した研修を行う(図1)。

「こうしたスキルは、頭で分かったつもりでいても、実際に習慣として定着させ、実践できるようになるまでには時間がかかります。したがって当社では、若年のうちからトレーニングし、身につけられるような体制を整えています」(沖氏)

■1分で伝える訓練

その一例が、6週間の集合集中新卒新人研修や若手中途社員研修などに組み込まれたロジカルシンキングプログラムだ。

全1日のコースで、大きくは2部構成になっている。前半は「論理的思考力を鍛える」、後半は「仮説検証力を鍛える」がテーマだ。人事部マネージャーの齊藤ふみ氏は、こう説明する。

「前半ではロジカルシンキングの基本や論理的思考とは何かについて、しっかりと学びます。また、論理をきちんと構成するロジックツリー、帰納法・演繹法といった考え方を身につけます。そのうえで後半は、実際のケースを使いながら仮説を構築したり、検証したりといったことを、演習を交えて行います。物事を整理して適切に考え、仮説をつくっていくという考え方は、全ての仕事の基本になるので、最初に身につけるべきコアスキルとして位置づけています」

その際、あくまでこだわるのは「伝える力」だ。例えばケースを用いた演習で、「“路上駐車は迷惑だ”ということを、論理的に説明しなさい」というテーマを掲げるとする。

相手を説得するには、まず納得性の高い論点を設定しなければならない。さらに、どう説明すれば路上駐車が迷惑だということが相手に伝わり、論理的に説得できるか、考える必要がある。この時、因果関係がきちんとつながっているかという「タテの論理」と、論点に漏れやダブりがないかといった「ヨコの論理」もチェックする。演習ではこれら一連のトレーニングを終日繰り返すという。

同時に、「スピーディーに考え、伝える力」も鍛える。参加者は、ケースの一つひとつについて、数分で論点などを考えてまとめあげ、1分で伝えねばならない。

「これは論理的思考を習慣化させるための“思考筋肉”のトレーニングといえます。特に若い人の場合、頭も柔らかいし、考え方の癖もあまりついていないので、こういう訓練をすると非常に吸収が速いですね。

先述したように、論理的思考の習慣はあらゆる仕事の基礎力であると同時に、より高次な思考力のベースでもあります。年数を経ると、知識や経験と共に、深く考える力や文脈を考える力が求められますが、そのための大切な足場となるのです」(沖氏)

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