J.H.倶楽部

無断転載ならびに複製を禁じます。なお内容は取材・掲載当時の情報です。

月刊 人材教育 2017年09月号

おわりに 野球からバレーボールへの転向には 「みっちり」教え、「つながり」をつくる

新卒との育成格差を改めよ

中途採用者に対する教育は、一般的にはあまり注力されていない。新卒入社社員との格差がある状態だ。しかし、その状況を改め、中途採用者こそしっかりと育成しようというのが、本特集のメインメッセージである。

OPINION1の尾形真実哉氏(甲南大学教授、24 ページ)は、まさにその重要性を訴える。氏は、中途採用者の組織適応上の課題を6つに整理し、特に中途がつまずきがちな点として、「アンラーニング」と「中途意識の排除」を挙げた。過去の経験へのプライドや、自分が異質であるという意識が、組織への適応を妨げるのである。

また、仕事で成果を上げるためには、社内での信頼関係や人的ネットワークを築く必要があるにも関わらず、中途採用者は不利な状況にあることを研究で明らかにしている。そして、人的ネットワークの構築のためには、メンターのような適応エージェントの提供と、研修などの実際にネットワークを築く機会の提供、組織に中途を積極的に受け入れる「中途文化」を定着させることが特に大事だと指摘している。

誰が何を知るかを教える

特に「人的ネットワーク」の構築―誰がどの部署にいて何を知っているのかという「Know-Whom」を知る支援をすることが、中途採用者の育成とマネジメントの一番の鍵であるようだ。OPINION2 の小林英夫氏(多摩大学教授、30 ページ)も、「社内の社会関係資本」が重要であり、社内で「弱い紐帯」を結ぶことのできる関係性を築く支援が効果的であるという。「弱い紐帯」とは、毎日ではなく、時に話をするため、新鮮で価値の高い情報が送り合える間柄である。新卒社員は同期に代表される、こうしたつながりを社内で持ちやすい一方、中途社員は持ちづらいということも、小林氏と尾形氏は指摘している。

「みっちり」「つながる」

■日本オラクル

事例企業の実践を振り返れば、日本オラクル(38 ページ)では近年、クラウドビジネスの強化のため、セールス部門を中心に年間200 人以上の中途を採用。そして、3日程度だった中途社員の研修を5週間のプログラムに大幅リニューアルした。学習意欲の高い入社間もない期間に、同社の理念や事業、商品知識や市場や外部環境のトレンド、そしてセールス知識を、eラーニングやOJT、ロールプレイングを含めた集合研修で丁寧に教えている。配属先では、上司と、「ナビゲーター」と呼ばれる先輩社員がケア役になる。

セールス知識や同社に関する基礎知識と共に、この研修が同期のつながりを強め、Know-Whomを知ることに寄与することも意識されていた。また、エンゲージメントを高める重要な機会とも捉えられている。

■Dell EMC

同じく外資で、営業職の中途採用者が多いDell EMC(42 ページ)でも1カ月の研修を行っている。最初の2週間でグローバル共通のメニュー、次の2週間で担当業界や顧客に特化したトレーニングをし、次に実際の仕事の中でOJTを行う。相談役として、上司や、「バディ」と呼ばれる先輩社員がつく。

こちらはJ.H.倶楽部会員限定記事です。
ご入会後、続きをお読みいただけます。

残り:1,079文字

/

全文:2,157文字

【入会・年会費無料】

J.H.倶楽部は人事の仕事に役立つ特典が満載です!

  1. 総数2000本以上の人事の実務に役立つ記事(※)が閲覧可能
    ※専門誌『Learning Design』(旧『人材教育』)の記事
  2. 新サービス・お役立ち情報(調査報告書・ホワイトペーパーなど)の先行案内
  3. 会員限定セミナーへのご招待/講演動画・配布資料の閲覧
  4. 興味関心に沿った必読記事を、メールマガジンでお知らせ!