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月刊 人材教育 2017年02月号

人材教育 The Movie ~映画でわかる世界と人~ 第52回 「シン・ゴジラ」川西玲子氏 時事・映画評論家

「シン・ゴジラ」
2016年 日本 脚本・総監督:庵野秀明

川西玲子(かわにし れいこ)氏
1954年生まれ、メディア・エンタメ時評。中央大学大学院法学研究科修士課程修了(政治学修士)。シンクタンク勤務後、企業や自治体などで研修講師を務めつつ、コメンテーターとして活動。著書に『映画が語る昭和史』(武田ランダムハウスジャパン)、『戦前外地の高校野球 台湾・朝鮮・満州に花開いた球児たちの夢』(彩流社)等。



『シン・ゴジラ』
発売・販売元:東宝
価格:¥6,800 +税
3月22日Blu-ray 発売
突如、東京湾アクアトンネルが崩落する原因不明の事故が発生し、東京湾から巨大生物が姿を現した。“ゴジラ”と名づけられたその巨大不明生物に対し、人間はいかに立ち向かうのか。興行収入81億円の大ヒットを記録中(2016 年12月時点)。
©2016 TOHO CO.,LTD.

2016年は日本映画の当たり年だった。『シン・ゴジラ』『君の名は。』『この世界の片隅に』という、3本のヒット作を生み出したのである。いずれも世界に自信を持って出せる佳作だ。社会経済自体はそう好調ではなかったにも関わらず。いや、だからこそ、この3作は日本人の心に「刺さった」のである。

この3作がヒットしたのは、日本人に本物の感動と希望を与えたからだろう。特に『シン・ゴジラ』は安易な自画自賛に陥らず、ユーモアを織り交ぜながら、日本の現状と問題点を明確に描き出している。純粋な娯楽作品でありながら、非常に社会性が強く、政治的な映画にもなっている。

何しろ、会議や議論が重要な役割を占める異色作なのだ。指導者がちょっと頼りないというような、日本社会の特徴も戯画的に描き出している。庵野秀明監督は、外国人には分かりにくいものになることを承知のうえで、そういう現実を踏まえた「日本人が本当に面白いと思う映画をつくる」という姿勢を貫いた。

○決まらない会議、後手の対応

物語は、東京湾アクアトンネルがいきなり崩落するところから始まる。政府は緊急の会議を開き、いったい何が原因なのか侃々諤々の議論を行う。地震や海底火山などの自然災害説が大勢を占める中、内閣官房副長官の矢口は巨大生物説を主張するが、会議で相手にされない。だが現実はどんどん進行していく。鎌倉に、まさに巨大生物が上陸したのだ。

驚いた政府は急いで専門家を集めるが、これがまた頼りにならない。事態はどんどん進行し、対応は後手後手に回る。もうこの段階で、特に会社組織で仕事をしている人は、いろいろと感じるものがあるだろう。

そこで矢口は、学会や官庁などから、選りすぐりの“はみ出し者”を集めて「巨大不明生物特設災害対策本部」を立ち上げる。そして「ここでは何をしても、組織での立場や出世には影響しない」と明言するのである。

○矢口蘭堂のリーダーシップ

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