J.H.倶楽部

無断転載ならびに複製を禁じます。なお内容は取材・掲載当時の情報です。

月刊 人材教育 2017年01月号

外国人材の心をワシづかみ! 日本発のマネジメント 第8回 人生の転機になる海外勤務とは

世界の人材争奪戦において遅れをとる日本。
打開策は現地の人々のより深い理解、そして日本企業ならではの育成、伝統にある―。
異文化マネジメントに精通する筆者が、ASEANを中心としたグローバル人材にまつわる問題の解決法を解説します。

河谷隆司( かわたに たかし)氏
ダイバーシティ・マネジメント研究所 代表取締役

ダイバーシティ・マネジメント研究所代表取締役。異文化マネジメントコンサルタント。マレーシア16 年半在住。マレーシア戦略国際問題研究所研究員等を経て現職。著書に『 Winning Together at Japanese Companies』他多数。
ネットテレビ番組Japan Spiritキャスター。www.diversityasia.com

Antikwar/Shutterstock.com

感動のない帰任者座談会

今回は、グローバル時代のビジネスパーソンにとってルーチンと化した感のある海外赴任、あるいは海外勤務(長期出張などを含む)の意味と、その効果を最大化する方法について改めて考えてみたいと思います。

欧米や中国、東南アジアの赴任者の方々との会話や、赴任前研修の1コマとして実施してきた帰任者座談会で私は、「何かがおかしい。せっかくの海外勤務がこれでいいはずがない」という思いを強く感じてきました。

彼らの体験談を聞くと、業務上やプライベートで経験した出来事を時系列で語る方が大半です。それでは聞く側にとって学びが浅いので、こう問いかけるようにしています。

「現地での仕事で、一番の発見や学びと言えるような経験は何ですか」

「海外での生活において、一番の想い出となったのはどのようなことですか」

「海外赴任全体を振り返ってみて、一番の収穫だったと言えるものは何ですか」

こういった質問で記憶の掘り起こしを促すのですが、実は、言葉に窮される方が多いのです。

よくあるのは「日本にいた時よりも大きな責任を持つ仕事ができた」といった社内業務周りの話です。何年にも及んだ海外勤務、海外生活なのですから、もっと感動的な逸話や失敗談、新しい価値観に驚いた経験などがあってよいはずです。

例えば、現地の同僚との悲喜こもごもの経験。お国柄を痛感した出来事。生活様式についての新鮮な驚き。隣人との付き合いの中でのハプニング。お子さんの海外ならではの成長ぶりなど。些細なことでいいのです。

ですが、それが語られることは非常に稀です。そんなはずはないと思って、改めて皆さんの経験談を整理してみると、ある共通項にたどり着きます。それは、現地の地域や人々と交わった痕跡が非常に希薄だということです。だから、感動的な思い出が出て来ないのです。

世界の動きと無縁の海外生活

では彼らはアフター5や余暇をどのように過ごしているのでしょうか。

都市部の赴任者に聞くと、ゴルフやサッカーなどのスポーツ、買い物、外食、DVD・映画鑑賞、日本人会のサークル活動、読書、現地語の勉強といった答えが返ってきます。休暇には旅行を楽しんでいる人が多いようです。欧米圏ではこれに美術館巡りが、アジア圏ではマッサージ、単身者なら漫画喫茶が加わります。

気苦労の多い海外暮らしですから、余暇を楽しんだり、疲れを癒したりすることは必要ですし、それ自体には何の問題もありません。しかし、どの活動も地域社会や現地の人と関わらなくても十分やっていけるものである点は見過ごせません。

こちらはJ.H.倶楽部会員限定記事です。
ご入会後、続きをお読みいただけます。

残り:1,328文字

/

全文:2,655文字

【入会・年会費無料】

J.H.倶楽部は人事の仕事に役立つ特典が満載です!

  1. 総数2000本以上の人事の実務に役立つ記事(※)が閲覧可能
    ※専門誌『Learning Design』(旧『人材教育』)の記事
  2. 新サービス・お役立ち情報(調査報告書・ホワイトペーパーなど)の先行案内
  3. 会員限定セミナーへのご招待/講演動画・配布資料の閲覧
  4. 興味関心に沿った必読記事を、メールマガジンでお知らせ!