J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2016年12月号

人事の職場拝見! 第70回 富士通 ソーシアルサイエンス ラボラトリ 面談結果を現場と共有し、意欲や実務のギャップを解消 気づきを促すキャリア開発支援

富士通のシステム会社である富士通ソーシアルサイエンスラボラトリでは、早期より社員のキャ
リア教育を重視。継続による成果が見られつつある。


富士通
ソーシアルサイエンス
ラボラトリ
■会社データ
設立:1972年
従業員数:1164名(2016年3月末現在、連結ベース)
事業内容:ソリューションとシステムインテグレーションサービスの提供
■部門データ
ビジネスマネジメント本部 キャリア開発部:13名
職務内容:自社社員及びパートナー企業の社員の能力・キャリア開発

[取材・文・写真]=田邉泰子

キャリア教育の先駆け

働き方や仕事に対する価値観の多様化が進み、社員へのキャリア教育が注目されて久しい。官公庁や金融、通信キャリアなど社会インフラのシステムを扱う、富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ(SSL)では、キャリア開発部が事業推進部門と連携しながら社員の能力開発を手掛ける。加えて2007 年より仕事や職場の不一致感による早期離職やパフォーマンス低下の対策として、定期キャリア面談と年代別キャリア研修を開始した。これらの取り組みが評価され、2014 年には厚生労働省のキャリア支援企業表彰を受けている。

面談結果を幹部職に共有

面談は入社3・4年目、11 年目、45歳になる社員を必須対象とし、キャリアコンサルティングの国家資格を持つキャリア開発部のメンバーが対応する。ビジネスマネジメント本部キャリア開発部長の竹多祐治氏によると、対象社員は年間500 ~ 700 名に上る。

「過去にさかのぼっての仕事や職場のこと、健康状態、家庭のことなど話題は多岐にわたります。長い時は2 時間ほどかけてカウンセリングします」(竹多氏、以下同)

面談では、CAN(スキルや専門性)、MUST(組織からの期待と本人の考えている課題)、WANT(やりたいこと)に、自分のキャリアを分けて書き出す。

「MUSTは書けたとしても、CANやWANTを挙げられない人も少なくありません。これらを引き出し、新たな気づきや自信につなげるような働きかけが、本人の今後の成長につながると考えています」

面談の情報は、年代別に統計を取るほか、本人の了承を得たものについては、面談内容の一部を所属部署の幹部職に報告する。これらは幹部職にとっては日々の職場マネジメントの確認の、またキャリア開発部にとっては今後の施策を検討するための材料を集める機会となる。

外へ目を向ける働きかけ

将来設計と仕事との向き合い方を考える年代別キャリア研修は、近年、50 代のケアを重視する。

「幹部職は役職定年を控えた層に当たり、特に役職が意欲の支えとなっていた人は、別のやりがいや意義を見いだす必要があります」

個々の振り返りや受講者同士でのディスカッションを重ねるうち、仕事の本来の意味や面白さ、地域活動や我慢していた趣味への関心など、何かしらの気づきを得る。忙しさを理由に考えるのを先送りにしていた人ほど、刺激となるようだ。

面談や研修の効果を測ることは難しい。しかし、これらから得る刺激をきっかけに、日常業務や他の分野への興味関心や学習意欲を高める人も多い。宮大工職人や天文学者など、他分野で活躍する人を講師に招く「匠セミナー」が人気なのがよい例だ。また若手社員が主体的に異業種企業と合同でアイデアソン※を運営するなど、変化が生まれつつある。

「本来キャリアは、その人の生き方全体を指すものです。長期的、俯瞰的な視点での自己理解を支援し、一人ひとりが主体的に働ける組織の実現をめざしています」

“今の環境が全て”という思い込みの払拭が、仕事への違和感や閉塞感の解消につながると竹多氏。同社のキャリア教育も長期的、俯瞰的に取り組み続ける構えだ。

※「アイデア」と「マラソン」を合わせた造語。あるテーマを設け、メンバーが対話を通じてアイデアを出し合うイベント。

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