J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2016年12月号

社労士が斬る イマドキお悩み相談 第21回 ギスギスした職場

働く人の価値観の多様化から「働き方」も変化し、現場の管理職の悩みも“イマドキ”なものになってきています。
そんなイマドキな悩みの解決方法を、社労士の藤原先生が紹介します。


藤原英理(ふじわら えり)氏
あおば社会保険労務士法人代表。東京大学大学院修了後、大手製薬会社で研究職に従事。93 ~97年米国在住。帰国後、2000年大手証券会社に入社。社会保険労務士、CFPの資格取得。03年に独立、04年から現職。

[文] = 柳本友幸 [イラスト] = 秋葉 あきこ

第21回 ギスギスした職場

部下に仲の悪い2人がいる。職場で必要な会話は普通にしているものの、裏では互いの悪口を言い合っているらしい。2人とも優秀で良い結果を出しており、今のところ仕事で問題を起こしているわけではないが、職場内にあからさまに仲が悪いメンバーがいるのは良いこととは思えない。放置しておいてもいいものだろうか。

ギスギスした職場の労務リスク

仲が悪いというのは個人間の問題なので、彼らを仲良くさせるのは難しいことですが、このような状況を放置すると、以下のようなリスクが考えられます。当事者間のパワハラ:「同僚の間で無視する・嫌がらせをする」というのは、パワハラの1類型です。パワハラというのは、上司からでなくても成立します。片方が話しかけているのに片方が無視するといった状況や、会話は普通にしていても、仕事上有益な情報の共有を意図的に行わないというような嫌がらせは、パワハラと見なされます。職場の安全配慮義務違反:企業は、従業員のメンタル面での健康や職場のストレスにも配慮する義務があります。優秀な2人がいがみ合っている職場が、他の従業員にとって心地良い就労環境であるはずがありません。周囲のメンバーにとっても、裏で悪口を聞くことや、2人がぶつからないよう調整することはストレスになります。

もちろん、労務リスク以前の問題として、このように仲の悪い人たちがいる職場が、高い生産性を実現できているかどうかも、一考すべきでしょう。

どう注意すればいいか

この2人に強制的に「仲良くしてほしい」とは言えないでしょう。個人の好き嫌いの範疇まで雇用者が指示することはできません。では、どうアプローチすればいいでしょうか。

雇用者に職場の安全配慮義務があるように、従業員側には、職場の秩序を遵守する義務があります。ですから、上司は「職場の秩序を守るため、どういう理由があるにしろ、職場内の人の悪口を言うのはやめなさい」と指示することは可能です。「一緒に働いているチームのメンバーなのだから、できる限り協力し合いなさい」と指示することもできるでしょう。この場合、確たる証拠のないまま特定の2人に限定して注意すると問題が起きる場合があるので、職場にいる全員に対して働きかける必要があるでしょう。

また、人づき合いがうまく緩衝材のような働きができる人を中間地点に配置する、といったチーム内でのポジション調整も有効な手段です。

ストレスチェックの活用も

一般に人間関係のいがみ合いは、上司から見えにくい形で行われますが、常識的な職場であれば、そういう仲違いをいさめる人が出てくるものです。今回の相談のように、誰からも分かる形で仲が悪い関係が生じているということは、職場全体で何かのバランスが崩れている証拠だと考えられます。つまり、過重労働や仕事量・待遇への不満など、2人の人間関係のみにとどまらないトラブルが発生している可能性があります。

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