J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2016年05月号

寺田佳子のまなまな 第5回 ガーデニング研究家 はたあきひろ氏に聞く 「感性を研ぎ澄ます 自然の暮らし」

自分で農作物を作って自分で食べる「自産自消」を実践しながら、ガーデニング研究家としても活躍する「はたあきひろ」さん。
幼少期から現在に至るまで、“カン”を大切に暮らしてきたという、はたさんの学びの神髄とは。寺田さんがググっと迫ります。

寺田佳子(てらだよしこ)氏
ジェイ・キャスト常務執行役員、IDコンサルティング代表取締役、日本イーラーニングコンソーシアム理事、IT人材育成事業者協議会理事、熊本大学大学院教授システム学専攻講師、日本大学生産工学部非常勤講師、ATD(タレント開発協会)会員。著書に『学ぶ気・やる気を育てる技術』(JMAM)など。https://www.facebook.com/YoshikoTeradaBook

はた あきひろ(畑明宏)氏
1967 年生まれ。ガーデニング研究家。樹木医。庭暮らし研究所主宰。大学卒業後、積水ハウスに入社。同社研究所で「暮らしを豊かにする生活提案」の企画・研究、設計部で街づくりや商業ビルの企画開発に従事後、独立。NHKテキスト『NHK趣味の園芸 やさいの時間』で「これなら出来そう!ひと坪はなやさいガーデン」連載中。
奈良市で家族5人分のお米と野菜をつくり自給生活を送っている。著書『現役サラリーマンの自給自足大作戦』(家の光協会)は、台湾でも発刊。

[写真]=鈴木卓也、はた氏提供

祖母からの贈り物

「ガーデニングを通じたコミュニティー創り」の第一人者として、奈良を拠点に、テレビ出演や執筆活動、講演、ワークショップ開催と大忙しの、「はたあきひろ」さん。身近な自然を暮らしに取り入れる楽しさ、植物を育てることで変わる人生の価値観を紹介する著作は、海外でも翻訳されるほどの人気だ。

そんなはたさんの野菜栽培ヒストリーは、小学校3年生の時に遡る。

5月のある日、お祖母さんが京都の北野天満宮の天神さん(縁日)で、ナスとトマトとキュウリの苗を買ってきてくれたのだ。

「これ、育ててごらん」

お祖母さんはそう言って、帰っていった。

はて、どうしたものか……。

普通の子どもなら、「どうしたらいいの?」と大人に聞くか、『野菜の育て方』の本を探すか、あるいはハナからあきらめるか、そんなところだろう。

ところが、はたさんは違った。

「ボクは落ち着きのない子でねぇ。ウチでおとなしく本読んでいるなんてありえへ~ん、っていう子だったんですよ(笑)」

だって、自然界には木や草や花や虫や鳥や、面白い生き物がたくさんいる。どんなに走り回ってもドキドキする新しい発見が尽きないのに、じっとしているなんて!

そんな思いに駆られる日々の中で、たくさんの生き物と接し、生命の不思議やたくましさ、そして儚さを、理屈ではなく感覚で学んでいたのだ。

どうすればイキイキするのか、何を与えればすくすく育ち、喜ぶのか、どんなことでしおれるのか、何をすると死んでしまうのか。

その「自然が教えてくれた生命とのつき合い方」に倣って、お祖母さんがくれた苗を優しく見守り、苗に秘められた「生きる力」をひたすら信じて手入れをしたら……。

ナスもトマトもキュウリも期待に応えて、ピカピカ輝く宝石のような実をつけてくれたのだ。

この小さな成功体験が、自然に寄り添う楽しさをますます膨らませた。

自然は「カン」を育ててくれる

それにしても、「生命とのつき合い方」を自分で学ぶなんて、すごい!

「いろんな生き物に愛情を持って近づき、じっと観察したり、そっと話しかけたりすると、自然のほうからいろいろ教えてくれるようになるんですよ」

なるほど! 自然とのコミュニケーション能力があったということですね。きっとお祖母さんは、その才能を見抜いていたからこそ、「あーせいこーせい」と指示はせず、「育ててごらん」と苗を託したのだろう。

「だって自然界には全てがあるから。生きるための知恵も、新しいアイデアも、哲学的なことも」

何より、自分のカンを駆使して、新しいことを発見し、新しい知識を身につける力を育ててくれるという。はたさんのいう「カン」とは、五感の「カン」であり、本能的にひらめく第六感の「カン(勘)」でもある。

そういえば私のカン、最近ずいぶん鈍くなっているかも(汗;)。

「カンは大事です! 何かを判断する時は、知識ももちろん必要ですけど、最終的にはカンや、と思うんです」

大学の農学部で林学を学んだのも、身近な自然が少しずつ汚れてきたことを肌で感じていたからだった。大手の住宅メーカーに就職したのも、家だけではなく、庭や周りの環境、街並みも含めて計画することが企業の責任というその理念と、工場緑化に取り組む姿勢を「いいね!」と感じたからだ。

そして、その会社を辞めて、「庭暮らし研究所」主宰として独立したのも、45歳になって、

「ちょうど人生の折り返し点。残りの時間はひとりの人間に戻りたいと感じたんです。大きな組織の肩書があるボクではなくて、『はたあきひろ』という個人を世の中がどう評価するのか試してみたいと」

自分のカンを信じて、人生の大きな選択をする。そのカンに導かれて、新しい世界を拓き、夢に近づく。

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