J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2015年08月号

おわりに 男女共に自分らしく働ける新しいステージへ

「遅番のシフトにも入ってほしい」

2013年、資生堂が短時間勤務のBC(ビューティーコンサルタント)に投げかけたメッセージが波紋を呼んでいる。「手厚い制度に甘んじているだけでいいのか」「もっとステップアップしてほしい」。同社の呼びかけは、両立支援制度を充実させるだけの従来の女性活躍施策とは一線を画すものだった。

以後、「育児と仕事が両立できる企業」をめざすだけでなく、「自分らしく活躍できる企業」をめざす取り組みがあちこちで始まっている。

そのためにどのような課題があり、どんな解決策があるのか。今一度、特集の内容を振り返ってみたい。

次の壁は「タテの課題」

OPINION1麓 幸子氏は、女性活躍には「ヨコの課題」と「タテの課題」がある、と指摘する。ヨコの課題は就業継続の問題を指す。厚生労働省の調べによれば、第一子出産後、離職する女性は約6割。企業にはこの事実に向き合い、離職を食い止める努力が引き続き問われる。

しかし、それだけでは女性のセカンドキャリアを輝かせることはできない。今、新たに求められているのはタテの課題、すなわちステップアップの支援である。

もっと自由な働き方を

具体的に育児と仕事を両立しながら、ステップアップする方法はあるのか。

まず「育児休暇から復帰したら短時間勤務」という図式を見直すべきでは、と指摘するのは、OPINION2 武石恵美子氏だ。短時間勤務にはデメリットもある。フルタイム勤務に比べて仕事の経験も減り、スキルやノウハウの獲得が遅れる。短時間勤務にこだわらず、自分に合った自由な働き方をしては─武石氏が紹介する英国の働き方はのびやかでバラエティーに富んでいる。

例えば勤務時間そのものは減らさず、“勤務時間帯”を変えるフレキシブルワーキング。「早朝6時から働いて午後早く帰宅する」「昼休みを長めに取る」など、自分のライフスタイルに合わせて仕事をする。月曜日から木曜日までの4日間で5日分働き、金土日の3日間を休日にするなどの「コンプレスドワーク」という働き方もある。

長時間残業を見直す

ただ英国と違い、日本の企業には「フルタイムで働くこと=残業も厭わない」という暗黙の了解がある。定時まで働いたとしてもキャリアアップできるとは限らないのが現実だ。

OPINION3 塚田 聡氏はその理由として、日本に特有な「メンバーシップ型」組織のあり方をあげる。メンバーシップ型の特徴は、一人ひとりの職務の範囲が曖昧で、誰の担当なのかわからない、業務の「空白地帯」があることだ。この地帯の業務を誰がどれだけ担うかは阿吽(あうん)の呼吸で決まる。自分の担当外の仕事なので、当然、残業が増える。残業してまで頑張る社員は評価も上がる──というわけで、ますます残業をよしとする風潮が広がってしまう。これでは、女性が短時間で成果をあげたとしても評価されにくい。

残業抑制に取り組む企業も増えてはいるが、まだまだ長時間労働の文化は根深く残っている。2011年のOECDの調べでは、日本人の年間の平均総実労働時間は1728 時間。フランス(1476時間)、オランダ(1379 時間)など欧州に比べるとかなり長い。塚田氏は女性がキャリアアップするためにも、長時間残業は抑制すべき、と強調する。労働時間ではなく、成果で評価するフェアなマネジメントが求められているのだ。

強みをつくり、増やす育成

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