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月刊 人材教育 2015年08月号

人材教育 The Movie ~映画でわかる世界と人~ 第34回 「スニーカーズ」川西玲子氏 時事・映画評論家

「スニーカーズ」
1992年 アメリカ 監督:フィル・アルデン・ロビンソン

川西 玲子(かわにし・れいこ)氏
1954年生まれ、メディア・エンタメ時評。中央大学大学院法学研究科修士課程修了(政治学修士)。シンクタンク勤務後、企業や自治体などで研修講師を務めつつ、コメンテーターとして活動。著書に『映画が語る昭和史』(武田ランダムハウスジャパン)、『戦前外地の高校野球 台湾・朝鮮・満洲に花開いた球児たちの夢』(彩流社)等。


『スニーカーズ』
DVD・ブルーレイ発売中価格:1,429円+税(DVD)、1,886 円+税(ブルーレイ)販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメントコンピュータやソーシャルセキュリティのハッキングを題材にした作品。頭脳戦や個性的なキャラクターが見どころ。ロバート・レッドフォードやシドニー・ポワチエ、ベン・キングズレー、リヴァー・フェニックスなど豪華キャストが出演。
©1992 UNIVERSAL CITY STUDIOS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

『スニーカーズ』が公開されてから、もう20年以上経つ。私も歳を取るはずだ。この20年でITは飛躍的な進歩を遂げた。公開当時、「こんなことができるのか」と目を見張った技術も、今では当たり前になっている。さらに20年後には、スマホがスーパーコンピュータ並みの性能になるというから、果たしてどんな未来が待ち受けているのだろう。

だが21世紀になっても、この映画の持つ独特な存在感は薄れていない。というより、この種の映画はもう現れないだろう。理由のひとつは、この映画が1992年に製作されているからである。ベルリンの壁が消滅し、ソ連が崩壊し、東西冷戦が終わったばかりだった。これから世界がどういう方向に向かうかわからない、混沌とした時代だったのである。それが映画の内容と深く関わっている。

もうひとつの理由には、今やITが当たり前になり、その出自が忘れられてしまったからである。だがこの映画には、東西冷戦時代の60年代から70年代にかけて花開いた、対抗文化の匂いが濃厚に漂っている。それが貴重なのだ。

物語は冒頭、コンピュータの力で「世界を変えたい」と考える若者2人が、ハッキングをしている場面から始まる。

○混沌とした時代の“世直し”

時は1969年。ヨーロッパではソ連率いるワルシャワ条約機構軍が、自由を求める「プラハの春」を押しつぶした翌年であり、日本では全共闘運動が東大安田講堂への立てこもりと鎮圧で消滅に向かった年である。アメリカはベトナムで泥沼の戦争をしている最中だった。

大学生のマーティンとコズモは、政府機関や銀行のシステムに侵入しては、世直しと称して寄付を装い、大金を動かしていた。だがそれを察知した当局が踏み込み、コズモは運悪く逮捕されてしまう。

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