J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2010年11月号

企業事例(考える①) GE 個人と組織の考える力を高めるリーン・シックスシグマ

米国を代表する企業ゼネラル・エレクトリック(GE)の業務改善手法として有名な「リーン・シックスシグマ」。
問題解決に必要な考えるポイントが示されているため、この手順を学ぶことで自然と考える力が身につくのだ。
組織全体に浸透し、共通言語となっていることで、組織全体の考える力を向上させている。

久崎 智子氏
GEリアル・エステート マネージャー コアビジネス オペレーション アジア・パシフィック 認証ブラックベルト
高野 秀也氏
GEリアル・エステート インフォメーション・ガバナンス・リーダー 認証マスターブラックベルト
GE
地球温暖化などの環境問題、人口構造の変化に伴う急速な医療ニーズの高まりなど、世界が直面する困難な課題の解決に取り組むインフラ、金融、メディア企業。日本でも発電、家電、空港、医療、金融、エンターテイメントなど、幅広い分野の製品とサービスを提供している。
総資産:7810億米ドル(約70兆2900億円)、売上高:1568億米ドル(約14.1兆円)、国内売上高:約4230億円、全従業員数:約30万人、国内従業員数:約5000人(すべて2009年12月末現在)
取材・文/和田 東子、写真/石原 野恵

GEの業務改善手法リーン・シックスシグマ

「リーン・シックスシグマ」は、端的にいえば、GE流の問題解決・業務改善手法である。

リーン・シックスシグマのスタートは、その前身の「シックスシグマ」にある。シックスシグマは製造業における品質向上の取り組みから始まっている。その成功をベースに同社では、金融サービス業や間接部門でも用いられてきた。あらゆる業種・業務に適用可能なのもこの手法の重要な特徴である。

リーン・シックスシグマは考える力を向上させる。その秘密は、リーン・シックスシグマが提供する考え方のフレームワークそのものにある。

リーン・シックスシグマのトレーナーである久崎智子氏は「リーン・シックスシグマは、“自動プレゼンテーション作成ツール”の問題解決版のようなもの」だという。

「たとえば部門で、『最近、仕事をこなしているだけで、新しいことができていないよね』『何かうまくいっていないよね』といった声が出たとします。そんな時、いきなり皆で話し合っても、『何となく悪い』で終わり、具体的な行動計画まで結びつかないことが多いですよね。でもその時、リーン・シックスシグマに沿って順々に考えていくと、自ずと何らかの行動計画にまでたどり着く、といった効果があります」

リーン・シックスシグマの手順に沿って、考え行動していくことで、自然と問題解決に結びつく。裏を返せば、リーン・シックスシグマの手順の中に考えなければならないポイントがいくつもあるということだ。

感覚ではなくデータで考える「DMAIC」による問題分析

そのポイントとは何か。リーン・シックスシグマの前身であるシックスシグマでは、問題解決や改善にあたって「DMAIC」と呼ばれる次の5つのステップを経る。

ⅠDefine/定義顧客は誰かを定め、問題を特定する

ⅡMeasure/測定問題を数値的に示して指標化し、問題の程度を見える化する

ⅢAnalyze/分析改善目標を設定し、指標の悪化に影響を与えている要素を洗い出す

ⅣImprove/改善各種要因の根本原因を究明し、最適な解決方法を決定する

ⅤControl/管理改善策の効果はあったのか、改善された状態が維持されているのかをチェックする

このうち特に重要なのが、「Measure/測定」と「Improve/改善」である。

「Measure/測定」では問題を数値で示すための指標を考える。もちろん適切な指標を設定するのは簡単なことではない。そのためGEでは、データ収集に非常に労力を割く、と認証マスターブラックベルト(後述)の高野秀也氏はいう。

「ある時、営業部門内勤者の生産性を上げるプロジェクトを実施しました。そこでわかったのが、たとえば見積書1つ作成するのも、速い人と遅い人がいるということでした。これは、見積書作成システムのログデータから割り出しました」

なぜデータにこだわるのか。それは客観的に判断するためだ。

「感覚で考えていては、実態が把握できないからです。たとえば自分では大きな問題だと感じていても、データで見ると、100件に1件の現象であることもあります。反対に小さな問題だと思っていたことが、データをとってみると他部署でも起きていて、重大な問題だったということもあります」(久崎氏)

こうして他部門にも起こっている問題だとわかれば、他部門を巻き込んでの改善を行う。

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