J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2015年01月号

JMAM 通信教育優秀企業賞 表彰企業事例報告 カルビー トップ自ら“学びの大切さ”を伝え、自立人財の育成に通信教育を活用

継続的成長と高収益体質を実現し、グローバル食品企業をめざすカルビー。
長い歴史を持つ同社は2009年に経営体制を刷新。
社員の自主的な学びこそ組織の成長の源だとして、通信教育を中心とする自己啓発の重要性を社内で改めて周知徹底。
社員の学びを支えるさまざまな施策に取り組んでいる。

江木 忍 氏 執行役員 人事総務本部 本部長
田村正弘 氏 人事総務本部 人財開発部 部長
ウスケムバエワ バヤン 氏 人事総務本部 人財開発課

カルビー
1949年、松尾糧食工業所を松尾糧食工業株式会社として法人に改組し、広島で設立。1955年、社名をカルビー製菓株式会社に変更。社名はカルシウムの「カル」、ビタミンB1の「ビー」を組み合わせた造語で、健康維持、促進に役立つ商品づくりをめざす思いが込められている。1973年に本社を東京に移転、社名をカルビー株式会社に変更。2009年、経営体制を一新し、ペプシコ社と業務・資本提携。
資本金:119億4600万円(2014年3月31日現在)、連結売上高:1999億4100万円(2014年3月期)、連結従業員数:3341名(2014年3月31日現在)

取材・文・写真/井戸沼尚也

新生カルビーが求める自立

かっぱえびせん、ポテトチップス、じゃがりこ等、数多くのヒット商品を持つスナック菓子業界の最大手、カルビー。長い歴史を持つ同社は、2009年に大きな転機を迎えた。当時のカルビーは、魅力的な商品や素直で愛社精神を持つ社員に恵まれながら、一方では利益率が低く売り上げも伸び悩んでいた。そこで、かつてジョンソン・エンド・ジョンソンでトップを務めた松本晃氏を代表取締役会長兼CEOとして迎え入れ、経営体制を一新。継続的成長と高収益体質の実現をめざして「コスト・リダクション(原価低減)」と「イノベーション(成長戦略)」を経営の両輪に据え、新生カルビーとしてのスタートを切った。

受け身だった社員が自立を求められたのは、まさにこの時だったと語るのは、執行役員 人事総務本部 本部長の江木忍氏だ。

「かつてオーナー企業だったカルビーでは、トップの言うことを実行できれば組織として成長できたのです。そうした状況で、社員も自然に受け身になっていったのだと思います。しかし経営が新体制となった時、トップはコスト・リダクションとイノベーションを掲げ、“実行していくのは社員一人ひとりだ、一人ひとりが自立的に成長し、それによって組織も成長しない限り将来はない”という強いメッセージを発したのです」

松本会長は言葉で自立を促すだけでなく、自ら「松塾」を開き、月に一度全国を飛び回って社員と交流。“自立的に学ぶこと、そして結果を出すこと、それが全てだ”というメッセージを自らの経験を交えて発信し続けた。ちなみに「松塾」は教育熱心な創業者一族の松尾家と、松本会長の頭文字から名付けたもの。社内の人間であればアルバイトでも派遣社員でも参加できる。

こうした取り組みにより、トップ自ら率先垂範して学ぶ風土づくりに取り組んでいる、我々も変わらなければいけない─社内にそんなムードが醸成されていった。そして変わる必要があるのは、人事部も同様だった。

5つの新・人事戦略

もともとマーケティングを担当していた江木氏が人事総務本部に異動したのは2012年。江木氏はすぐに全国各地域の人事担当者と本社の人事担当者を集めて「新人事プロジェクト」を立ち上げ、カルビーグループの人財がめざすべき姿を棚卸し、それを支援する人事のあり方を再定義した。

それが「自立的に成長し成果を出し続ける人・組織」というカルビーグループのあるべき姿であり、それを実現する人事の戦略を、以下の5つのコンポーネント(構成要素)にまとめた。

①ライフキャリアプラン

②採用・育成

③評価・報酬

④福利厚生

⑤カルチャー

①のライフキャリアプランは、オープンで適正な任免・配置のため、社員は自らのキャリアを自分自身で考え、それを上司と共有し、教育支援や異動に役立てようというもの。

②の採用・育成については、自ら手を挙げる意志を尊重したさまざまな施策が行われている。例えば「新卒ドラフト」がある。新入社員は精一杯自分をアピールし、「この人はウチの部署にほしい」と感じた上司が新入社員をドラフトで獲得していく。最後まで決まらない場合、公平にクジで決めるところも、プロ野球等でお馴染みのドラフト会議そのものである。

その他、管理職をめざす人のための「部課長チャレンジ」、グローバルリーダーをめざす人のための「海外武者修行チャレンジ」、契約社員が正社員をめざす「社員チャレンジ」など、年に1度やる気のある人財が、望む仕事やポジションに挑戦できるさまざまなチャレンジ制度がある。

③の評価・報酬については、「Payfor Performance」が基本的な考えだ。社員は自らのコミットメント&アカウンタビリティ(約束と結果責任)を上司と交わし、それが達成できたか・できないかで評価される。管理職は、社長を含めた全員が“1年間でこれをやる”というコミットメントを社内ネットワーク上で公開し、その結果まで公開される。社員は上司の目標や成果を見ることで“経営のメッセージ”を感じるのだという。

④の福利厚生は“健康と感謝は公平に”をテーマに、雇用区分にかかわらず行うのが基本的な考え方である。例えば、ライフイベント支援の御祝い金や見舞金は社員も準社員も変わらない。また 安心して働ける環境を実現するため「カルビー健保」を設立した。

⑤のカルチャーについては、“厳しく暖かい”カルチャーづくりに取り組んでいる。例えば、「ライフワークバランス」の見直し。ライフが先になっているのは松本会長の「ライフのほうが大事に決まっている」という考えによるものだ。長時間労働は当たり前という考え方を改め、もっとライフを大切にバランスよく働けないか、効率的な働き方はできないか見直す。一方で、ライフを大切にすることは重要だが、ワークの成果については前述のように厳しく問われる。“厳しく暖かい”カルチャーづくりの一例だ。

これら5つのコンポーネントに共通するキーワードはやはり“自立”だ。社員に自立した人財になってほしい、そうした人財を会社は本気で支援する─新制度を通してこのメッセージを浸透させるため、「新人事プロジェクト」のメンバーは全国を飛び回り、タウンホールミーティングに参加し、新制度を説明して歩いた。その結果、1年後の2013年に実施したアンケートでは“やる気のある人が評価されるのは嬉しい”“役職登用がオープンになった”等のポジティブな評価が8割を占め、新制度が概ね歓迎されていることがわかった。

教育面でも自立を重視

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