J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2011年11月号

覆面座談会 管理職のホンネ 会社全体の成長は管理職の成長から始まる

組織の管理、人材育成、予算管理など、日々、多忙を極める管理職たち。管理職自身は自分たち自身の学びの機会をどう捉えているのか――。4名の現役管理職によるディスカッションから見えてきたのは、会社の“これから”を真剣に考える管理職たちの姿だった。

座談会参加者
A氏(39歳、男性)
大手インターネットサービス会社勤務。SEとしてキャリアを積みながら、管理職としての役割も担う。
B氏(43歳、男性)
大手不動産会社勤務。入社以来スタッフ業務をメインに携わる。現在も事業ラインのスタッフ部門で業務委託先を含む約20名のスタッフをまとめる。
C氏(50歳、男性)
精密機械メーカー勤務。技術職として勤務の後、中国の生産拠点の管理・監督を担当。10年前に帰国し、現在は品質管理、CSRに携わる。
D氏(39歳、女性)
広告代理店勤務。広告を中心に、制作進行に携わる。1年前から管理職となり、制作進行の職に当たりながら、チームの管理も行っている。

司会:山田 学
日本能率協会マネジメントセンター JMAMビジネスカレッジ

取材・文・写真/髙橋 美香

「強制的でもいい」管理職教育への期待

―管理職の教育機会といえば、新任管理職研修がメインという企業が多いようです。特に既任管理職ともなると、会社主催で学ぶ機会が減ってしまう。皆さんの会社の状況はいかがでしょうか。

B氏

当社の場合、新任向けの研修の後に、通常、いわゆる管理職に就いてからの数年間は、肩書きの付かない管理職として経験を積んでいく“準備期間”があります。その期間を経た後に、リーダーとしてチームをまとめていくことになります。―研修以外にもある程度心構えができる期間があれば、いざマネジメントをすることになった時に備えて自己啓発もできますね。

A氏

当社の場合、管理職に対しメンタルヘルスケア研修が用意されています。メンタル面でケアが必要な部下には「頑張れ」といってはいけないなど、マネジメントの側面からメンタルケアを学ぶことが目的です。

C氏

当社にも管理職は受講が必須のモチベーション研修があります。ですが、管理職という役割上、業務も多くなりがちです。どうしても時間の都合が合わず、全員の出席が徹底できていないのが実態ですね。手挙げ式の受け放題の研修制度もありますが、積極的に受講している人は限られているようです。研修会場までのアクセスも決して悪くないのですが……。

―同じような課題をお持ちの企業も多いと聞きます。なぜ積極的に利用しづらいのでしょうか。

C氏

研修参加のためには、事前エントリーが必要なんです。期の始まりに受講したい研修にエントリーしなければならず、業務のことを考えるとなかなか受講する踏ん切りがつかないのかもしれません。

B氏

当社にも費用の一部を会社負担で受講できる講習制度がありますが、管理職の利用は少ないように見えます。もちろん業務もありますし、たまには部下を飲みに連れて行きたい。それにまっすぐ家に帰る日も必要ですから(笑)。言い訳みたいに聞こえるかもしれませんが、管理職が学習のための時間をつくるのは、そう簡単なことではないのかもしれません。

―人事・教育部門は、現場に配慮した研修の開催時期や時間を設定する必要があるのかもしれませんね。特に「これには配慮してほしい」といったことはありますか。

A氏

なかなか時間が取れないとはいっても、管理職向けの学びの場をもっと充実させてほしいというのが率直な意見です。一般社員の能力を底上げするためのカリキュラムは豊富ですが、管理者教育は手薄。「管理職は自主的に(勝手に)学んでほしい」というのが会社側メッセージのように見えてしまいます。半ば強制的に、もっと管理職を対象とした研修を用意してもいいと思っています。

D氏

そうですね。一般的に、若手社員は育てるものという意識はあっても、管理職を育てようという意識は薄いように思います。管理職になりたてで、右も左もわからない人にとっては、マネジメントの勉強自体何から手をつけたら良いのかわからないことも多いはずです。自己啓発でマネジメントの本を読んでも、内容が“心得”になりがちですし、管理者として具体的に何をどうすればよいのかということを知りたい。自己学習にも限度があるように思います。

B氏

ただ、管理職の教育を全て会社任せにするわけにもいかない部分があることはよくわかります。管理職にもなると、自分なりの経験値ができてきますから、1~2時間ぐらいの研修で目からうろこが落ちるような学びの体験を得られることは少ないかもしれません。いっそのこと、会社主催の研修は個人ではなかなかできないような規模のもの、たとえば、1週間研修施設に缶詰で学ぶ、といった強行的な研修ぐらいインパクトがあるもののほうが効果を実感できるのかもしれませんね。

―皆さんが研修をもっとやってほしいと思っているというのは意外でした。人事・教育部門が管理職の方に研修をしづらいと考える理由の一つとして、多忙極まりない管理職の皆さんに、研修に参加していただくのを遠慮しているという面もあるという話をよく聞きます。学ぶ機会はほしいものの、こんな研修だったら参加したくない、というのはありますか。

A氏

管理職ぐらいになってくると、経験もマネジメントレベルにも開きが出てきます。だからこそ、管理職のマネジメントスキルなどを一定のレベルに底上げすることは必要だと思います。そうかといって、若手社員や新入社員のように全員一律で同じ教育を行うことが必ずしも有効だともいい切れないところが難しいところですね。

管理職を強くした修羅場体験談

―ビジネスパーソンが学ぶ機会は、研修や自己啓発の場だけでなく、日常の仕事の中にもあると思いますが、管理職の経験の中から成長や学びにつながったと思うエピソードはありますか。

B氏

そうですね。苦労した経験ということであれば、いくつか思い当たります。1つは、上司と仕事の進め方で考えが合わなかった時。ある程度見切りで仕事を進めてから報告するなど、ケースバイケースで仕事の進め方を自然に考えるようになっていました。そしてもう1つは、労働組合の委員長を任された時。30代半ばで、組織の代表者として意見を取りまとめて経営トップと交渉するという経験は、今振り返ればなかなかできない経験でした。

C氏

私の場合、海外勤務を命じられ、中国の工場でマネジメントすることになったのですが、現地に行ってみると全く異なる仕事まで担当しなければならないということがありましたね。日本でも経験したことがない仕事を何かと不慣れな海外でこなさなければならず、本来やるべきはずだった業務よりも苦労することになったり。帰国したら今度は関連性のない2つの仕事を兼務することになったり(笑)。

―そうした経験から、仕事の幅やマネジメント経験が広がったのですね。また、これもある意味で修羅場体験といわれているようですが、最近、“年上の部下”をお持ちの方もおられるのではないでしょうか。

B氏

私もそうした部下を持つ管理職です。人生の先輩ですから丁寧な言葉遣いで接するように意識していますが、やるべきことはやってもらうようにお伝えしています。それに、なるべく2人で話をする時間を持つようにするなど、コミュニケーションのとり方には配慮していますね。

異業種交流で脱! マンネリ

―では、皆さんが人事・教育部門の担当者だったら、管理職の教育をどのように変えたいでしょうか。

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