J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2011年12月号

インストラクショナルデザイナーがゆく 第55回 悲しみの中、颯爽と現れた 1級葬祭ディレクターとは

寺田 佳子(てらだ・よしこ)氏
ジェイ・キャスト執行役員、IDコンサルティング代表取締役、日本イーラーニングコンソーシアム理事、IT人材育成事業者協議会理事、eLP(eラーニングプロフェッショナル)研修委員会委員長、JICA情報通信技術分野課題支援委員、JICA─NET Instructional Design Seminar講師、ASTD(米国人材開発機構)会員。著書に『IT時代の教育プロ養成戦略』(共著、東信堂)など。http://instructionaldesign.blog97.fc2.com/

突然の喪主に慌てる……

「初めての喪主」をすることになった。当然ながら、突然振られた役割で、なおかつ、待ったなしのスケジュールである。ひと昔前なら、親類縁者とご近所さんが葬儀一切を取り仕切り、家族はハンカチを握りしめてシミジミ涙ぐむことができたのかもしれない。しかし、少子高齢化を体現している我が家の場合、数少ない家族・親族はほとんど海外在住で、心優しきご近所さんの多くは故人より年配の方ばかり。見渡したところ、この緊急事態にフットワーク軽く走り回れる人材は私ひとり、である。しかも困ったことにこの人材、なんの前提知識も覚悟もない。看取ってくれた看護師さんも、ほっておいたらいつまでもボーッと突っ立っているかもしれないと危ぶんだのであろう。遠慮がちに、「これからどうされますか」と耳元でささやく。「え?」と焦点の定まらない視線を投げると、「おウチに帰られますか、それともまっすぐ斎場に?」おおっと、ウルウルしている場合じゃない。まずはこの二者択一問題に即答しなくては!こうして誠に心もとない喪主の格闘が始まったのである。

救世主!葬祭ディレクター1級の実力

「まずは自宅に帰り、海外組の帰国を待ってその後のダンドリを」と回答したが、実はそのダンドリがわからない。「ネットで調べるか、それとも……」とモンモンとしているところに、颯爽と登場したのが、メン・イン・ブラックのトミー・リー・ジョーンズに良く似た風体の、病院ご推薦の葬儀社社員。「このたびは……」とあくまで沈鬱な表情を保ちつつも、間取り、スペース、方角を瞬時にチェックし、「まずはご遺体を」と設えにとりかかる。またたく間に、枕花や焼香机が整い、「チーン」と厳かなリン台の音が響いたところで、「改めまして、私、担当の**でございます」と名刺を出す。同時に「葬儀マニュアル」を取り出すや、宗教、家族構成、故人の遺志から、喪主の曖昧模糊とした願望までを、テキパキとヒヤリング。データコレクション能力の高さ、効率の良さは、まさにプロの技である。その仕事ぶりに敬服しつつ改めて名刺を眺めると、肩書に「葬祭ディレクター、1級」とある。ん、ディレクター?1級?好奇心から思わず、「葬祭ディレクターって資格があるんですねぇ」と呟くと、「そうです」ときっぱり。

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