J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2012年02月号

連載 インストラクショナルデザイナーがゆく 第57回 あんじょう頼めるリーダーは世界を維新する

去年の暮れから、ちょいちょい大阪に出かけるようになった。クライアント企業の人材育成システム・チームの本拠地が、東京本社から、国内最大プラントのある大阪に引っ越したからなのだが、これがまいど美味しいもんと、おもろい話で充実した「めっちゃ刺激的な」出張なのである。
通い始めたのが、ちょうど知事選・市長選のダブル選挙戦がスタートした時期ということもあって、街には「何かが変わるかも」という熱気が溢れていた。その熱さのせいか、最初は、エスカレーターの左側にぼぉっと突っ立ってヒンシュクを買っていた浪花初心者も、あっという間にノリノリの浪速のおばちゃんモードに染まってしまったのである。

寺田 佳子(てらだ・よしこ)氏
ジェイ・キャスト執行役員、IDコンサルティング代表取締役、日本イーラーニングコンソーシアム理事、IT人材育成事業者協議会理事、eLP(eラーニングプロフェッショナル)研修委員会委員長、JICA情報通信技術分野課題支援委員、JICA─NET Instructional Design Seminar講師、ASTD(米国人材開発機構)会員。著書に『IT時代の教育プロ養成戦略』(共著、東信堂)など。http://instructionaldesign.blog97.fc2.com/

ごっつい率直にボケてしなやかに

大阪は街も熱いが、ヒトも熱い。「ホンマに現場に役立つもんは、現場が先頭に立ってつくらなアカン、思うねん」と宣言するコテコテの大阪人の新チーム・リーダーのもと、全国から担当者が集合。こちらも「何かが変わるかも」という熱い思いを胸に、新しい人材育成システムの検討を始めたのである。

しかし最大の問題は、かつての主管部署である本社部門との関係だ。リーダーいわく、「そりゃ、あっちは、おもろない、思うでぇ」。

今までの本社と現場の二重構造では、関係部門の調整に時間・コストがかかり過ぎる。そやから、教育・研修の鮮度が落ち、後手後手に回る。教育の中身やない、もっとスリムでスピーディに動く仕組みに変えんとアカンのですわ、とぶち上げたらしい。

うわっ、大阪人はごっつい率直やわ。

どこかの世界でも同じような構造改革の議論があったようだが、こちらは、すぐに業務に生かせる情報を適宜利用できるパフォーマンス・サポート・システム(PSS)を、タブレットPCやスマホの使用も視野に入れて開発したい、と提案したのである。

ええやん、ええやん!

たとえばTwitterを利用した専門家や経験者の知恵を共有する仕組みはどうか、Facebookを使った部門を超えたネットワークづくりが有効なのでは、いやいやブログサイトを立ち上げる指導をして情報発信のノウハウと面白さを味わってもらうことから始めるべきではと、新しモン好きの夢はどんどん膨らんだのであるが、「それは教育なのか、業務の一環なのか」といったツッコミから始まったのが本社の反論。ソーシャルメディアを使ったラーニングといえば聞こえはいいが、炎上したらどうする、社員が遊んでたらどうする、セキュリティはどうやって確保する、会社情報管理のルールはどうなる、果ては業務に役立つのではなく業務に支障を来たすのでは、とまでいわれて、「ややこし議論ばっかりで、堂々巡りや思たけど、まずは貴重なご意見おおきに。ほな大阪でプロトタイプを開発して実験してみまひょ、ゆうたんや」。

こういうとこでボケて見せ、やりたいことをやってしまうのが、また大阪人の強みである。

そんなわけで、へこたれないリーダーに「あんじょう頼んまっせ」といわれ、社内ソーシャルメディアの構築に着手したところである。

「ほな、しゃあないわ」で世界を獲る

しかし、新規プロジェクトに大阪弁はまことに効果的である。東京弁なら、「非常に難しい局面です」「……(無言)」と、一気に盛り下がるところだが、大阪弁では、「ごっつい、なんぎやなぁ」「どないしたん?」「けったいなことやねんけどなぁ」「ほな、しゃあないわ」とまぁ、しなやか、かつしたたかに、コミュニケーションが発展し、なんとなくポジティブなモチベーションへと変容するから不思議である。

2007年に、『国境なきリーダーシップ(Leadership Without Borders)』を著したエド・コーエンは、グローバルなリーダーの資質として、次の9つの条件を挙げている。

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