J.H.倶楽部

無断転載ならびに複製を禁じます。なお内容は取材・掲載当時の情報です。

月刊 人材教育 2012年02月号

Column うつ病は「宇宙カゼ」?面白がりつつ、前向きに―『ツレうつ。』から学ぶ、うつと前向きに付き合うコツ―

ある日、身近な人がうつ病になったらどうするか――漫画『ツレがうつになりまして。』の作者、細川貂々氏が取った行動は、気持ちを前向きに切り替え、“面白がる”ことだった。職場や家庭でメンタル不調者が出た時によく聞かれるのは、本人に対して周囲がどう接したらよいか戸惑ってしまうということ。そこで、細川貂々氏と“ツレ”こと望月昭氏の経験から、周囲と本人がうつにうまく付き合うコツを紹介する。

望月 昭(もちづき・あきら) 氏
1964年東京生まれ。外資系IT企業に勤務するも、うつ病に。2007年に寛解し、現在は家事・育児を一手に引き受けつつ、「てんてん企画」の運営・執筆等を行う。
細川貂々(ほそかわ・てんてん)氏
1969年埼玉県生まれ。1996年に漫画家としてデビュー。2006年に出版した『ツレがうつになりまして。』(幻冬舎)が大きな反響を呼び、2011年には映画化。

取材・文・写真/石原野恵

良くなっては悪くなり……症状に一喜一憂する日々

夫がうつ病になった経験を描いた『ツレがうつになりまして。』。作品中で作者の細川貂々氏は、ひたすら続く愚痴を「うっとーしー」と思ったり、思いもよらない行動をする様子を「宇宙カゼ」と表現したりと、思わずクスリとしてしまう“ゆるさ”で受け止める。このリアルさやユーモアが多くの共感を呼んだ。「私がうつ病になって、最終的に彼女(細川氏)が取った行動は、“面白がること”だったんです」――こう話すのは、“ツレ”こと望月昭氏だ。「選択肢は2つ。一緒になって暗く落ち込みながら解決策を探すか、あるいは自分が率先して前向きに解決策を探すか。もともと、私のほうが前向きな性格だったのですが、立場が逆転した時に彼女が選んだのは、後者の道でした」

ではなぜ細川氏は前向きになれたのか。細川氏は「選んだというより、そうせざるを得なかった」という。

うつ病は非常に浮き沈みが激しい。少し良くなったと思っても、その後一気に悪化することもある。細川氏も、最初の半年間はこの波に振り回され、疲弊してしまったそうだ。「 ツレが晴々とした顔で『もう大丈夫』というので、一緒になって喜んでしまう。でもその後がくんと悪くなるので、一緒に落ち込んでしまって……そのストレスや仕事のことも重なって、私自身も体調を崩してしまったんです。それで、このままではいけないと思いました」(細川氏)

ポジティブに強制的に切り替える

そこで細川氏が実践した方法が、「いいこと日記」をつけること。そして、訓練のように自分に「大丈夫」といい聞かせることだった。「もともと後ろ向きな性格で、日記にも愚痴や、その日にあった嫌なことばかり書いていたんです。そこで友人にアドバイスを受け、日記には褒められたとか、いい本に出会ったといった、良かった・嬉しかったことだけを書くようにしました。それから、寝る前には『大丈夫』と自分にいい聞かせたり、『あぁもうダメだ』と口にしてしまったら、『ダメじゃない、大丈夫』と打ち消したりする習慣をつけたんです」(細川氏)

最初は半信半疑だった細川氏だが、1~2ヵ月経ったある日、仕事で断りの電話を受けた後、落ち込みはしたものの、「大丈夫、何とかなる」と自然と思った自分に気づいたという。

ネガティブになりがちな自分の気持ちを、強制的にポジティブに切り替えることで、夫に対しても、平常心で対処できるようになった。「そうしたら、今のままでもいいかなと思えてきたので、ツレに『治らなくてもいいんじゃない』と伝えました。その頃から、徐々に回復していったように思います」(細川氏)

こちらはJ.H.倶楽部会員限定記事です。
ご入会後、続きをお読みいただけます。

残り:1,023文字

/

全文:2,046文字

【入会・年会費無料】

J.H.倶楽部は人事の仕事に役立つ特典が満載です!

  1. 総数2000本以上の人事の実務に役立つ記事(※)が閲覧可能
    ※専門誌『Learning Design』(旧『人材教育』)の記事
  2. 新サービス・お役立ち情報(調査報告書・ホワイトペーパーなど)の先行案内
  3. 会員限定セミナーへのご招待/講演動画・配布資料の閲覧
  4. 興味関心に沿った必読記事を、メールマガジンでお知らせ!