J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2012年04月号

企業事例② トリドール 「ツイッター部長」が語るソーシャルメディアの育成的効果

セルフサービスのうどん店「丸亀製麺」を展開するトリドールでは、ツイッターなどのソーシャルメディアを導入し、顧客のコミュニティを育てている。これはもちろん、丸亀製麺のファンを増やすことで売上の拡大・安定を狙う戦略だが、ソーシャルメディアの活用は、人材育成の観点からも取り組む価値があるという。「ツイッター部長」で著名な末広栄二氏に聞いた。

末広 栄二 氏
マーケティング推進プログラム 部長

トリドール
1990年、有限会社トリドールコーポレーションとして設立、1995年、株式会社トリドールに。「丸亀製麺」の他、「とりどーる」「長田本庄軒」などの店舗を経営。グループ店舗は全国で615店(2012年2月現在)。
資本金:13億1829万6000円、連結売上高:488億3500万円、連結従業員数:社員数:446名、パート数:5996名(平成23年3月31日現在)※1日8時間換算による月平均人数

取材・文] = 赤堀たか子[写真] = 本誌編集部

2012_04_thum_sp1-case2導入の目的はブランドイメージ強化

讃岐釜揚げうどん 「丸亀製麺」、焼鳥ファミリーダイニング「とりどーる」、醤油ラーメン専門店「丸醤屋」などを全国に店舗展開するトリドール(神戸市中央区)。同社で、ソーシャルメディア戦略を指揮する末広栄二氏は、その活用の意外な効果として、「意欲的な風土の醸成」を挙げる。

末広氏は、前職のテーブルマーク(旧社名:加ト吉)で、ツイッターを活用して冷凍うどんのファンコミュニティを育てた、「ツイッター部長」として知られる人物である。「おはようございま すうどん」「おそれいりこだし」といった“おやじギャグ”満載のコメントで人気を集め、ツイッターのフォロワーは、2万6000人にも及び、同社の知名度向上に大きく貢献した。

同社を退職後、末広氏は、2011年1 月からトリドールに入社し、「丸亀製麺」のソーシャルメディアの運営を立ち上げる。

トリドールがソーシャルメディアを導入したのは、店のブランドイメージを高めるためだ。「 飲食店のブランドイメージは、店員の接客を通じて伝わります。ですが丸亀製麺はセルフ形式の業態なので、お客さんとの接点があまり持てない。そこで、電子上でお客さんとやり取りする中で、店のブランドイメージを育てようと考えたのです」(末広氏、以下同)

活用するソーシャルメディアは、Twitter、Facebook、mixi、USTREAMの4種類。即時性を重視したコミュニケーションにはTwitter を使い、メニュー紹介など、写真を用いたコミュニケーションにはそれ以外のメディアを活用しながら、顧客との双方向のコミュニケーションを深めている。

導入から1 年経った時点で、同社の各アカウントの閲覧者数は、Twitterが約1万2000人、Facebookページが約8000 人、mixi が約1 万人。ファンのコミュニティが着実に育っていることがうかがえる。

顧客のコメントが従業員の行動を変えた

しかし、育っているのは、ファンコミュニティだけではない。ソーシャルメディアの導入で、従業員は顧客から学び、仕事に対する前向きな姿勢も育ってきているという。

最初にそうした変化が見られたのは、商品開発部門だった。「たとえば、“うどんのつゆが余ったのでおにぎりを入れ、天かすをかけて食べたらおいしかった”といった、自分たちが思いつきもしなかった食べ方をお客さんからの書き込みで知ります。すると、他にどんなユニークな食べ方をしている人がいるのか、好奇心が生まれ、皆、積極的に顧客の動向を探るようになりました。さらに、そうしたお客さんの柔軟な発想に触発され、メニュー開発においても新しいアイデアが積極的に出されるようになったのです」

次に変わったのが、営業部門だ。

営業部門は店舗の運営を管理する部門だが、ソーシャルメディアでの書き込みを見るようになったことで、商品の売れ行きを見ながら、オペレーションや仕込み量を変えるなどの業務改善を自発的に行うようになったという。

さらに、全国に点在する従業員への影響は計り知れない。

そもそも、チェーン展開をする業態の店舗と本社とでは、情報の共有や協働意識の醸成が難しい。同社でも、店舗と本社とで顧客への向き合い方などにどうしても温度差が生じてしまう。しかし、顧客の声がダイレクトに届くことで、「顧客に見られている」「喜んでもらえている」という実感が持てるようになった。すると、それぞれの中の顧客意識が高まり、「より多くのお客さんに、できたてのおいしさを味わってもらう」という丸亀製麺のポリシーも自然と共有されるようになったのだ。

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