J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2012年04月号

企業事例① 日立製作所 グループ横断SNSでWEBとリアルの学びを活性化

2006年頃から導入され、盛り上がりを見せているグループ横断SNSがある。日立グループの『COMOREVY』だ。グループ全体で活用し、情報共有だけでなく、社員同士の自発的な学びに寄与している。グループ横断SNSではどんな学びが起こるのか。また、知と学びの共有を行ううえで、企業側は何を考えるべきなのか。同グループの事例に学ぶ。

枝松 利幸 氏
IT 戦略本部

日立製作所
1910年創業。現在、国内外に914社もの連結子会社を有す。日本最大の総合電機メーカーとして、情報・通信システム、電力システム、社会・産業システム、電子装置・システム、建設機械など、幅広く事業を展開。
資本金:4091億3100万円(2011年9月末日現在)、売上高(単体):1兆7953億600万円、売上高(連結):9兆3158億700万円、従業員数(連結):36万1745名(2011年3月末日現在)

[取材・文・写真] = 髙橋美香

200社、2万人をつなぐ巨大SNS

連結従業員数36万1745名、連結子会社数914 社の規模を誇る、日本最大級の総合電機メーカー日立グループ。同グループでは、2006年からSNSを導入してきた。2011年8月現在、登録ユーザー数は約2万人、1日の書き込み数は約3000 件にも上る。

同社のIT 戦略本部枝松利幸氏は、早期からSNS の導入に踏み切った経緯を次のように説明する。「当社がSNSを導入したのは、2006年に、当グループの日立総合計画研究所でSNSを実験的に開始したことに始まります。日立グループ各社には、多種多様な事業体が存在しています。それらを組み合わせていくことで、当グループならではのさらなる技術力向上を図ることができる。しかもIT を活用することで、よりスピード感を持って、会社を超えた情報共有を実行できるのではないかとの考えから導入に着手しました」(枝松氏、以下同)

同グループの社内SNSは『COMOREVY(こもれび)』というもの。今や、日立製作所を象徴する存在としてCMでもおなじみの木からイメージした“木漏れ日”と、“「COMMON」(共有の)+「REVUE」(意見・批評)”を掛け合わせて命名。同SNS 内で投票によって決定した。「日立グループには、もともと互いに協力し合って創造するという『協創意識』という考え方があります。協創するためには、コミュニケーションが不可欠です。グループ内には、優れた知識・技術を持っている人がいます。ところが、いくら同じグループといっても普通に仕事をしているだけでは会社を超えた出会いが広がりにくい……。36 万人の総合力を活かした協創を実現し、さらなる収益増につなげるためにSNSは適したツールです。当グループでは、事業体を超えた情報共有の道具として位置づけています」

知の共有化を加速させる「応えて、こもれびー」

『COMOREVY』は、現在、日立製作所のIT 部門のメンバー十数名が兼任で管理・運営。書き込まれた内容には、なんと全てサポートセンターが目を通しているという。

書き込まれる内容は、業務に関するものが約55%、生活に関するものが45%と多岐にわたる。書き込みは、実名で行うのがルール。しかも、書き込んでも良い内容であるかどうかの考え方は、「隣に座っている上司・同僚が読んでも職務上トラブルにならないようなもの」という緩やかなものだ。「遊んでいるように見える」と敬遠されがちなSNSだが、ここに同社の覚悟が感じられる。「社内で話されているような会話が『COMOREVY』の中でも行われているイメージです。というのも、雑談として話し合われていたことでも、他の誰かにとっては新たなイノベーションのきっかけになることもありますから。リアルなコミュニケーションと大きく違う点は、事業の壁を超えて、グループ内の面識のない仲間とも議論ができるところですね」

そうした同SNS におけるキラーコンテンツともいえるのが、『応えて、こもれびー』という質疑応答のコミュニティだ。これは、教えてもらいたい内容を質問すると、知識を持っている社員が回答してくれるという便利なコンテンツである。「たとえば、『納品されてきた鋼板が曲がっていました。まっすぐにする方法を教えてください』と質問したとします。すると、そうした専門知識を持ったグループ内の会社の人が回答してくれる。関連業務に携わっていない人が読んでもわからないような、専門的な議論が延々と続いていることもありますね」

この、『応えて、こもれびー』に挙げられる質問は1日1.4 件ほど。1件の質問当たりの回答は平均14件ほどだという。しかも、質問の90%は24 時間以内に解決してしまうという実にありがたいコンテンツだ。「『応えて、こもれびー』に挙げられる質問は、業務に直接かかわるものだけでなく、時には『宮崎県から埼茨城県に転勤が決まりましたが、住むにはどの沿線が便利でしょうか』といった生活に関するものもあります。見知らぬ土地に転勤となっても、事前情報を地元の人たちから提供してもらえたことで、安心して引越しの日を迎えられたようです」

同SNS は、その他にも、グループ内の社員同士をつなげるさまざまな機能を有している。

その一つが『連想記事検索』というもの。自分が書いた記事内容と類似した記事を書いている人を検索し、名前をクリックすると、その人の所属している企業名、所属部署、電話番号も把握できる仕掛けだ。「自分と同じことに興味のある人を探し出して、さらに電話などで直接詳しく話を聞くことも可能です。もともと、SNS はリアルの世界を補完させるためのツール。利用者からは、知見を広げることができた、勉強になるという声もあがっています。社内の他の複数のシステムとも連動しているため、グループにまつわる情報をフレキシブルに活用できます」

SNSのコミュニティがリアルな学びの輪を広げる

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