J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2013年01月号

JMAM 通信教育優秀企業賞 表彰企業事例報告 キヤノンシステムアンドサポート

キヤノンシステムアンドサポートは、自ら学ぶ能動的な企業風土のもと、管理職と若年層に対する研修に力点を置いている。
そこに通信教育を効果的に活用することで、教育効果を高めてきた。
同社の人材育成の支柱である『三自の精神』と『プロ十則』のもとでの“強い課長”を中心とした人材育成が、強固な経営基盤をつくり上げた。

植草 一良氏 総務人事本部 人材育成部 担当本部長
倉持 嘉秀氏 総務人事本部 人材育成部 部長
キヤノンシステムアンドサポート株式会社1980年設立。複写機や各種情報機器の販売とメンテナンスを主業とし、コンサルティングセールスを展開。業種・業務に応じた最適なソリューションを提供することで、業務改善・生産性向上のサポートを行っている。全国約200ヵ所ある営業所が一体となり、ワンストップでサービスを提供。
資本金:45億6,100万円、売上高:987億円、従業員数:5,400名(ともに2011年12月現在)。
取材・文・写真/千葉雅夫

マネジメントの指針として課長職に通信教育を導入

そもそも、なぜ“強い課長”の育成に注力することになったのか。そこには、同社が置かれた業界特有の背景がある。

同社のビジネスは、顧客を訪問し、製品・サービスを直接提供することに基軸を置いている。ソリューションビジネスは、企業間競争が激しく、当然のことながら、“現場力”の優劣で業績が大きく左右する。その第一線の集団を束ねるのが課長職だ。

同社にとって課長職は組織の要。“強い課長”の育成が、業績を左右するカギとなるのだ。「課長は椅子に座って、指揮を執っているだけでは務まりません。部下を指導しつつ、自らも率先垂範で成果を出さなければならないポジションです。業績の最小単位は課であり、課長は現場をまとめるリーダーといえます。部長職が全体の指揮を執り、課長職が課員のモチベーションを高め、牽引しなければ、業績には結びつかないのです」(植草氏)

同社では、業績に直結する管理職教育を重視し、会社全体でのサポート体制を構築。全課長職を対象に、コンプライアンス、労務管理・人事評価といった実務教育を実施してきた。

これに加えて2010年3月からは、全管理職を対象とした教育に通信教育を導入し、部長職159名、課長職545名が修了した。

植草氏は、新たに通信教育を導入した経緯をこう話す。「“守り”から“攻め”へのシフトチェンジ。それが全管理職に階層別通信教育を採り入れた大きな理由です。これまでは、業務に必要不可欠となる実務的な知識を習得することに、管理職教育の主軸を置いてきました。その効果により強固な土台が築かれ、“攻め”に向かう体制が整いました。攻めの教育には、一人ひとりが日々の業務の中で能動的に学習できる通信教育という方法が最適だと考えたのです」

同社にとって “攻め”の最前線を担うのが課長職である。“攻め”の体制を築くためには、課長がマネジメント力を発揮し、同社が重視するO-PDCAサイクルを回すことで結果につなげなければならない。(Oは目標=0bjectivesの頭文字)

だが、課長職はプレイヤーとしての営業スキルは高いものの、管理職としてのO-PDCAの回し方にバラツキがあった。そこで、課長の役割意識と求められるスキルを、体系的かつ実践的に習得できる通信教育をマネジメントの指針にしたのだ。共通の指針のもとで課長職がマネジメントを学習することで、組織のリーダーとなる“強い課長”が育成できるのだという。

通信教育の疑問点を研修の題材に活用

通信教育は、体系化された管理職研修と連動することで、効果的に運用されている(図表2)。同社では、“攻めの研修”を実現させるために、「ライン管理職変革プログラム」を2010年11月から実施。

同研修は、「課長研修(2泊3日)」「コーチング研修(1日)」「フォローアップ研修(1日)」の3本柱で構成され、職場での実践を間にはさみながら、約6カ月の期間をかけて学んでいく。

一連の研修を通して、一貫して学習するのは、利益体質構築のためのロジカルな思考だ。

このプログラムに参加する条件として、管理職向け通信教育の修了を必須とした。修了時には、通信教育を受講して「参考になった点」「疑問に思った点」を3点ずつ提出。

人材育成部では、それらの中から代表的な疑問点をピックアップし、2泊3日の課長研修の中にディスカッションの題材として組み込んでいる。

同部部長の倉持嘉秀氏は、通信教育と研修を連動させる意図をこう語る。「研修に参加する前に通信教育を受講することには、個人によってバラツキがあったマネジメントなどの知識を均一化する効果があります。けれども、通信教育で体系的に学び、底上げされた知識を、現場で活用できなければ意味がありません。自分の現場と照らし合わせながら学ぶことで、実践的な学習能力が養われるのです。通信教育の修了時に疑問点などを提出してもらい、ディスカッションの議題として用いるのも、学習した内容を実践レベルに落とし込みやすくするためです」

人材育成部では、通信教育の修了を促すために、全受講者に対して励ましの電話やメールを送っている。こうした地道な活動の効果もあり、100%の修了率を実現している。

また、2012年2月からは、課長代理職436名に対しても管理職向け通信教育を導入。管理職教育の範囲を管理職候補にまで拡大している。

優秀な先輩社員がトレーナーとして指導

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