J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2013年01月号

人材教育最前線 プロフェッショナル編 他者と自己の可能性を信じ挑戦する風土を育てる

ユー・エス・ジェイのスローガンは、「Everything is possible. Swingthe bat! Decide now. Do it now」。あらゆることは可能であると信じ、失敗を恐れずにバットを振り、決断し、実行する、そんな人材を育てようとしているのだ。これを体現しているのが、人事部の梅原千草氏その人だ。梅原氏の話を伺っていると、熱意を持って仕事に取り組み、経験を振り返って次なる目標を立て、着実に実行してきたことがわかる。チャレンジ精神に溢れた梅原氏の軌跡と、それを可能にする同社の社風、そして、人材育成に対する想いをお伺いした。

梅原 千草(Chigusa Umehara)氏
2000年にユニバーサル・スタジオ・ジャパンを運営するユー・エス・ジェイ入社。新卒採用第一期の社員としてアトラクション立ち上げにかかわる。2002年に人事部に異動。アルバイト採用・仕組み作り、新卒採用・教育、中途採用・教育、全社教育などを経験。2012年4月から現職。
ユー・エス・ジェイ
「ユニバーサル・スタジオ・ジャパンR」の運営を行う。2001年3月31日に、アメリカ外で初のユニバーサル・スタジオとして大阪市此花区に開業。同テーマパークは、映画をテーマにしたアトラクションや世界的に人気のキャラクターが活躍するショーなどのエンターテインメントを提供し、朝から夜まで、子どもから大人まで楽しめる。2012年10月に総入場者数1億人を達成。資本金:371億円、社員数:810 名
取材・文/木村美幸、写真/本誌編集部

ユー・エス・ジェイのスローガンは、「Everything is possible. Swingthe bat! Decide now. Do it now」あらゆることは可能であると信じ、失敗を恐れずにバットを振り、決断し、実行する、そんな人材を育てようとしているのだ。これを体現しているのが、人事部の梅原千草氏その人だ。梅原氏の話を伺っていると、熱意を持って仕事に取り組み、経験を振り返って次なる目標を立て、着実に実行してきたことがわかる。チャレンジ精神に溢れた梅原氏の軌跡と、それを可能にする同社の社風、そして、人材育成に対する想いをお伺いした。

入社からわずか2週間で単身フロリダへ武者修行に

ユー・エス・ジェイは「Everythingis possible. Swing the bat! Decidenow. Do it now.」をスローガンに、失敗を恐れずにバットを振る(=行動する)人材の育成に努めている。このスローガンを自ら率先して体現し、人材教育に関するさまざまな施策を発案しているのが、人事部の梅原千草氏だ。多彩なアイデアを生み出す洞察力の鋭さは、職活動中のエピソードからも垣間見ることができる。

梅原氏が入社を決めたのは、偶然の出会いが始まり。ある日、就職情報誌のページをめくっていた梅原氏がふと手を止めたのは、中央に社名ロゴを配しただけの真っ黒なページ。カラフルな企業広告が並ぶ中、ひときわ異彩を放つそのページこそ、ユー・エス・ジェイの新卒募集広告だった。「サービス業は全く考えていませんでしたが、広告のインパクトに惹かれて説明会だけ行ってみようと思いました」という梅原氏には、就職先を選ぶに当たっての軸が3つあった。「 1つめは、生活に必要不可欠ではないけれど、それがあれば人生がハッピーになるようなものを提供していること。2つめは、自分で前例をつくっていける職場であること。3つめは、そこで働くことで“格好いい女性”になれること。当時は開業の2年前で、パークができることすら知られていないような状態でした。ですが、3つの条件を満たしていることがわかり、ぜひここで働きたいと思ったんです」

見事に新卒第一期生として入社を果たし、29人の同期とともに新人研修を受け始めた梅原氏。ところが、2週間後、梅原氏だけがフロリダにあるユニバーサル・スタジオへ行くことに。目的は、1カ月間働きながら、施設のつくりから、ゲストの流れ、案内の仕方、スタッフの配置・教育といった運営面までを学んでくること。「全員いつかは行くことになっていたのですが、たまたま私の配属先であるターミネーター2:3Dというアトラクション側の都合で時期が早まり、新人研修の途中で抜けて1人で行くことになってしまったんです」

一人で海外旅行をした経験がなく、英語も苦手、同期がみんなで楽しく研修を受ける中1人で出発、と不安で一杯だった。その一方で、“自分で前例をつくっていきたい”という願いを早くも実現できる喜びも感じていた。「最初は戸惑いましたが、1週間も経たないうちに心から楽しくなって(笑)。“どんな環境でも自分らしく勝負できる”という強みに早くに気づくことができ、良かったと思います」

帰国後は、パーク建設現場に毎日通い、技術やショー制作部門の担当者と打ち合わせをしながら、オープンに向けて準備を進めていった。「 まっさらな土地に施設がつくられるところから、お客様を迎えられる形になるまで、全ての過程に立ち会うという貴重な体験ができました」

リーダーとしての挫折を経て理想のリーダー像を模索

慌ただしくも充実した毎日を送ってきた梅原氏だが、開業後に初めての試練が訪れた。「一緒に立ち上げを担当した社員が、開業直後に退職し、70名ほどのアルバイトスタッフを23歳の私が一人でまとめることに。また、オープン当初、担当アトラクションでは機械トラブルが発生し、何時間も並んで待つ数千人のゲストに謝罪することも。寝言でも謝っていましたね(笑)。そんな中、若かった私は、“自分が頑張らなければ”と、肩に力が入り、今思えば勝手にリーダー気取りでした。そんな状態で上手なマネジメントをできるわけがなかったんです」

トラブルが減り、社員も増え、運営がスムーズになった秋頃、梅原氏はスタッフとの間に深い溝ができていることに気づく。「関係を改善しようと努力しましたが、難しかったですね。今でも忘れられない後悔している失敗経験です」

そんな中、別のアトラクションへ異動が決まる。「これをチャンスと捉え、二度と同じ失敗をしないよう信頼されるリーダーになろうと心に決めていました。他の3人のリーダーの強み弱みを掴み、チーム全体で100%のリーダー陣になるために、自分が果たすべき役割は何か?それを考えて実行しました」

Aさんは他部署との連携が、Bさんはスタッフと友達のように距離を縮めることが、Cさんは緊急時でも冷静に判断することが特徴と分析。このチームに、スタッフの意見やアイデアを聞き、できないことはできないといい、できることは絶対に実現させる“決断し実行するリーダー”がいればより強くなると確信。すぐに実行した梅原氏は異動から1カ月もしないうちにリーダー陣やスタッフの信頼を得て、過去の失敗を学びに変えることができた。「入社2年目の挫折と成功体験はいまの私をつくっている大きな要因です」

現場の経験を生かし新しい制度を実現

開業から1年後、梅原氏は新卒入社者で初めての異動者となる。「キャリア希望を人事に伝える面談で営業がしたいと話したのですが、面談後“人事に来ませんか?”と打診されたんです。その時は、興味はなかったのですが、話を聞いてみたら、就職活動の際に重視した3つの軸が揃っていました。さらに営業でやりたかった“企業価値を高める”仕事は人事のほうが実現しやすいことに気づいたのです」

最初の担当はアルバイト採用。「人事部では、私は初の新卒採用社員と同時に初の現場出身者。現場経験を生かした仕組みづくりを期待されているのだと思いました」

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