J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2013年03月号

CASE.2 マース ジャパン リミテッド 人や会社をイノベーティブにする人事の挑戦 イノベーションは自分から:「まずやってみよう」で会社が変わる

会社を楽しくする”ことを専門にしている人事担当者がいる――
これこそイノベーションだと思い、会いに行ったのが、
マース ジャパン リミテッドの人事部でインターナルコミュニケーションを担当する榮夕香さんだ。
インターナルコミュニケーションとは、一体どんな仕事なのか。
そして、“楽しい”ことが、専任の担当者を置くほど、なぜ重要なのか? それを探ろうと、
榮さんの1日を密着取材。そこには人事の常識を覆す全く新しい人事の姿があった。


榮 夕香氏
人事部 コミュニケーションコーディネーター

マース ジャパン リミテッド
1976年設立。社員数約220名。グローバルで6事業展開する米国マースの日本拠点。日本ではペットケア、チョコレート、ドリンク事業の3事業を展開。

[取材]=石井宏司 [取材・文]=井上 佐保子 [写真]=本誌編集部

パーティのような社員集会

ペットケア事業やスナックフード事業、オフィス向けに飲料を提供するドリンク事業を展開しているマース ジャパン リミテッド。東京目黒区の高層ビルの1フロアで約150名が働いている。そのオフィスはかなりユニークだ(図表1)。壁のない広々としたオープンオフィス。デスクのパーティションも低く、オフィスの隅から隅まで見渡すことができる。ペット同伴で出社することができるため、社内には犬や猫の姿も見える。さらに驚くのは、円形に並んだ社長や役員の席、“センターサークル”が、誰もが行き来するフロア中央に、オープンに配置されていることだ。

榮さんは「全員が同じフロアで働くことや、パーティションの高さなど、マースとしてグローバルでの決まりはいくつかありますが、それ以外は、全てそれぞれの国に任されています」と話す。オフィス内にカフェエリアを設置したのも榮さんのアイディア。

「どうしたらコミュニケーションが増えるか、どうしたら楽しく感じてもらえるか、暇さえあれば、オフィス内をきょろきょろ眺めたり、歩き回っていろんな人と話したりしています」

榮さんの手にかかれば、コミュニケーション促進の機会は、さまざまなところに見出せる。たとえば、年末のコミュニケーション・セッション(社員集会)では、事業報告と社長訓話が中心だが、クリスマスソングを流し、マフィンやケーキを並べ、ミニワークショップを催すなど会を盛り上げる(P43)。

そうした公式の会議に彩を添える他、たとえば年始には、「なんとなく仕事が始まる」ことを防ぐため、「書初めで1年の抱負を書いてはどうか?」と、上司に相談。かと思えば、仮装をしてのボーリング大会などの大がかりな懇親会も企画する。

インターナルコミュニケーションの真意

「なんだかイベント屋みたいですよね」と榮さんは笑う。だが、単に社員間のコミュニケーション活性化だけを目的として楽しいイベントを企画しているわけではない。実は、インターナルコミュニケーションは、マネジメント層からのメッセージをどう現場に伝え、浸透させるか、という重要なミッションを帯びている。「イベントを企画、運営するうえで一番大切なことは、『人事がやるイベント』ではなく、『マネジメントがやるイベント』であり、『マースにとって大事なイベント』であることなんです」と話す。

そのため、榮さんは直属の上司はもちろん、時には社長とも直接話す機会を頻繁に持ち、マネジメント層の意図を確認する。また、インターナルーコミュニケーションの仕事には、人材育成的な側面もある。たとえば、年末のコミュニケーション・セッションでは、「今年のキーワードを書き、4人1組で話し合う」という短いワークショップが行われたが、その意図について榮さんは「来年はコネクティビティ(社員同士のつながり)がテーマなので、それを取り入れたワークショップをやってみようと思いました」と話す。しかし、オフィス内に本格的なカフェエリアをつくったり、マフィンやケーキを用意し、パーティのような社員集会を企画する理由は、もっと別のところにある。

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