J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2010年09月号

What is the merit of reading? 読む力を読み解く──階層別に求められる読む力とは

ビジネスパーソンは、齋藤孝氏が語った「読書力」をもとにさらなる「読む力」を、自身の成長過程に合わせて高めていく必要がある。
そこで、そもそもビジネスに求められる読む力とは何かを掘り下げ、読む力をつけるメリットを理解したい。
そのうえで、どのように読む力を向上させていくべきかを明らかにする。

読書の3つのメリット

現代は、多くの情報であふれていることはいうまでもない。携帯電話などで、どこからでもインターネットに接続し、多くの人の意見やつぶやきを目にすることができる。だが、このように大量の情報を「見る」ことと、「読む」ことは異なる。

文章構造を持たない短文や見出しなどを「見る」だけでは「読む」ことにはならない。しっかりと文意をつかむためには、ある程度ボリュームのある文章を読みこなすことが必要となる。

読みこなしていけば、文章を読む力、「読解力」がつく。読解力はすべての読む力の出発点ともいえるもので、その強化に欠かせないのが読書である。

読書のメリットは、主に3つある。1つは、論理的に考える訓練になること。書籍の中には論理が難解なものもあれば、読み慣れない語彙を使っているものもあるだろう。だが、そこを何とか論理を追って、文意を考え、時には頭の中で図式化する――そうした読みこなす努力の繰り返しが、論理的な思考力の強化に役立つ。

2つめのメリットは「多様な経験を得られること」にある。子どもの頃、主人公に自分を重ねて読書に没頭した経験はないだろうか。このような読書から得る経験を「代理経験」という。

人が自分自身で経験できることには限りがある。ところが文中の人物に自己を重ねて読むことで、さまざまな疑似体験が可能になる。その結果、普通に仕事をしているだけでは経験できない多彩な出来事を体験し、学びを得るのである。このような代理経験が重要なのは、それによって、他者の気持ちがわかるようになるからだ。

たとえば山形県には、1805年に設立された「致道館」という藩校がある。ここは藩の将来を担う藩士を育成するための教育機関であり、ここでは帝王学を学ぶための四書五経に加え、漢詩も教えられていたという。

漢詩は美しく、味わいがあるだけではなく、一般民衆のつらい心理なども描かれている。上に立つ人間であればこそ、さまざまな人の気持ちを理解するために漢詩を学んだのである。

このように立場の違う人の気持ちを理解できるようになることは、現代であれば身近な上司や部下、お客様などの気持ちを理解することに通じる。最近企業の教育担当者からは、相手の立場や心情を読めない人が増えたという声を聞く(P23参照)。その一因は、読書量が低下し、作中人物の気持ちを想像したり、考えたりする訓練が不足していることにもあるのだろう。

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