J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2012年07月号

人材教育最前線 プロフェッショナル編 活躍するフィールドを広げると現業へのモチベーションも高まる

ドキュメントとコミュニケーションにかかわる課題を可視化し、全社最適の視点から経営課題解決と企業のビジネスの成長をサポートしている富士ゼロックス。グループ企業に富士ゼロックス総合教育研究所を擁する同社は、人材開発に力を入れている企業として知られる。山﨑紅氏は、営業人材の育成を中心に、13年間人づくりに携わってきた人物。今年4月、業務プロセス変革に取り組む変革マネジメント部へ異動した。氏は、「高いモチベーションを維持するには、活躍できるフィールドを広げることが大切」と話す。その意味は。

山﨑 紅 (Akashi Yamazaki)氏
10年間のSE部在籍を経て人材開発部門へ異動。人材開発戦略部門を担当する一方、社外向けには人材開発コンサルタントとして執筆活動、講演、コンサルティングに従事。著書に『勝てる企画書』『ロジカルシンキングのための見える化入門』などを持つ。企業、官公庁、大学、各種教育機関などで指導。
富士ゼロックス
1982年、富士写真フイルムとランク・ゼロックス社(英)との合弁会社として創立。カラー複合機、カラープリントシステムをはじめとするオフィス機器の製造・販売・開発を手がける。国内主要都市300カ所に支店・営業所を構える他、海外にも拠点を有する。
資本金:200 億円、売上高:9831億円(2010年度)、社員数:4万2529 名(2011年3月期連結)、9627名(2011年3月期単独)
取材・文/髙橋美香、写真提供/富士ゼロックス

今、取り組む仕事は次の仕事につながるもの

「子どもの頃からアートやデザインが趣味で、グラフィックのプログラミングも勉強していたので、技術職に興味がありました。それに、お客様に接する仕事というのが魅力でしたね。私は文系出身ですが、当時の富士ゼロックスは、文系卒の学生にも技術職の門戸を開いていました。新しいことにチャレンジしたいと思い、当社への入社を希望しました」

そう話すのは、富士ゼロックス変革マネジメント部でマネジャーを務める山﨑紅氏だ。

13 年にわたり人材開発に携わってきた山崎氏は、2012 年4月、経営的観点から全社の業務プロセス変革に取り組む変革マネジメント部へ異動したばかりだ。これまで社員のキャリアアップに携わってきた山﨑氏にとって、自身の新たなステージの幕開けを予感させる出来事でもある。

しかし、異動した現在も完全に人材開発から離れたわけではない。実は山﨑氏、社外でも人材開発コンサルタントとして活躍している。「 当社には、富士ゼロックス総合教育研究所という関連会社があり、社内教育はもちろん、社外向けに事業展開しています。私も、出版がきっかけで、富士ゼロックス総合教育研究所と協業するなど、社外向けの活動にも携わるようになりました。入社後10 年間のSE時代で培ってきたプレゼンテーションやお客様の課題発見・解決に関する書籍を刊行したところ、講演やセミナー講師などの依頼が増えていき、現在も、営業力強化を中心に活動しています」

社内にとどまらず、活動の場を広げるバイタリティに富んだ山﨑氏。今では積極的に社外に目を向け、いろいろなことに挑戦するようになったというが、SE 時代の10 年間は専門領域に集中していたという。

「SEの仕事は、本当に楽しかったですね。SEといっても、私の部門は営業に近い立場での活動がメイン。製造業向けの図面管理システムを担当し、お客様の設計業務を効果・効率的に変える仕組みを考え、それを実装する。お客様の業務プロセスをデザインし、ITを使って実現していくことにはクリエイティブな要素が多分にあり、デザインが好きな私は充実感を持って仕事をしていました」

システム構築の仕事でトライ&エラーを繰り返す中で、自然に身についたことがあったという。

「何事も、理論を学び、習得してから実践するのは王道ですが、スピード感と不確実性に対応するには学びながらまずやってみるのも大切。現場で実践し、それを後から理論的に整理するというアプローチを学びましたね。そこで得たものを次の仕事に反映させていく。その繰り返しで仕事を進めていたように思います。根底にあったのは、『お客様の期待以上の成果で応えたい』という思いです。成果を上げれば次のビジネスにつながる。だから今の仕事に全力で取り組むんです」

見えない壁を取り崩す場づくり

SEとして着実にキャリアを積んでいた山﨑氏。いつしか、お客様からもビジネスパートナーの営業担当者からも頼られるSEとして、大きく成長していた。

そうした折に、予期せぬ人事が。そして、その采配は、山﨑氏のビジネスライフを大きく変えることになる。営業部門の教育チーム立ち上げに当たり、メンバーの一人として抜擢されたのだ。

「 SEの仕事が楽しく、やりがいを感じていたので、少し残念な気持ちがあったのも事実。ですが、新卒で入社して以来、異動したことが一度もなかったこともあり、今までと違うことに挑戦してみたいという思いもありました」

担当することになったのは、山﨑氏がSE時代に協業してきた超大手企業向け営業部門の教育だった。

業向け営業部門の教育だった。「超大手営業を担当する人事部門の中に教育チームが新たにできたのです。手探り状態でのスタートでした」

教育チームが最初に行ったのは社内認知度向上だ。

「 教育チームの存在を営業メンバーに知らせたいと思いました。私自身、現場にいた頃に感じたことなのですが、現場と、それを支援するスタッフ部門のつながりがどうしても弱く、現場からはスタッフの顔が見えにくい。研修の案内が来ても、忙しいとつい面倒に感じてしまう。だから、現場から顔が見える、支援されていると現場に感じてもらえる教育チームになりたい、そう思ったんです」

チーム内で話し合いを重ねた山﨑氏は、教育チームの周知を兼ねた教育ニーズに関するアンケートを実施する。

「せっかくアンケートに答えたのに、フィードバックがないということがよくありますよね。フィードバックがないと、忙しい仕事の合間に自分たちが協力したことがどう活かされるのかわからない。協力してもらったからには、分析結果を公表し、コメントには返事をして、本気だということを示そうと考えました」

ウェブ形式で実施したアンケートには、教育に対する要望、期待感などの設問を設けた他、山﨑氏の持ち前のプログラミング能力を活かしたある工夫を施した。

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