J.H.倶楽部

無断転載ならびに複製を禁じます。なお内容は取材・掲載当時の情報です。

月刊 人材教育 2012年07月号

企業事例2 Z会 1年目から“教える”を意識させ“教える循環”をつくり出す

幼児から学生、社会人まで幅広い人々を対象に通信教育サービスを展開するZ会。教えることを事業の根幹とする同社では、“教えられる先輩”を目標に1年目から教育している。同社の教育手法から“、教える循環”のつくり方を学ぶ。

山本 立子 氏
総務部 人材開発課 主任
Z会
創業1931年、1960年に設立された株式会社増進会出版社の事業会社であり、2006年、増進会出版社(通信教育部門)、Z会対面教育(教室部門)、Z会出版の3社を経営統合して設立。幼児から社会人まで幅広い年齢向けの通信教育サービスを行う。売上高:200億8407万円、従業員数:525名(いずれも2011年1月期、連結)
[取材・文・写真] = 中山景

培われてきた“教える循環”を生む風土

新入社員もいつかは先輩になり、後輩を指導する立場になる。この当たり前の事実を前提に教育プログラムを組み立てている企業は、思いのほか少ない。そんな中で、“良き先輩”になるための指導を、入社1年目から徹底して行っているのがZ会だ。

同社では、いわゆるOJT担当者として「教育係」を任命している。任命される社員には特に年齢制限はなく、2年目であれ10年目であれ、選ばれる可能性がある。つい最近まで教わる側だった者が、翌年から新人教育の任に就くこともあるのだ。若手にとっては過度な負担や不安につながるのではないかと思われがちだが、総務部 人材開発課の山本立子氏は、彼・彼女らに抵抗感は全くないと語る。「皆、忙しい状況だと思いますが、後輩がいれば先輩が教育するのは、当社では当たり前のこととして受け入れられています。

教育係は、何十年もかけて根づいてきた制度です。当社の事業性格上、教育や指導に関心の高い人材が集まっている面もあると思いますが、いずれにしても、後輩ができたら教える立場に回るんだという意識は、長い歴史をかけて風土として定着しています」(山本氏、以下同)

教えることが当たり前という風土が培われてきたZ会。これを維持し、さらに磨きをかけるべく2010 年から「教え方」の習得を教育訓練制度の中に明確に組み込み、職場では上司が積極的にサポートすることで、「教えられたから、自分も教えるという、“教える循環”が生まれるよう意識している」という。

学び方の習得から始まる教育訓練体系

同社では、入社2年目社員を対象とした研修のカリキュラムとして「教え方」の講義が組み込まれている。人を指導する力や教育係としての経験は、同社が期待する人材を育成するために欠かせないものだからだ。

現在の教育訓練体系は、人事制度改革の際に結成されたプロジェクトで構築された。構築にあたっては、「Z会が期待する人材像」になるために「今後求められる能力」とは何かが議論され、身につけるべき能力として、

・広い視野

・コミュニケーション能力

・マネジメント能力

・意欲

の4つが導き出された。これらを習得するため、成長段階に合わせて年次ごとの研修が企画されていった。中でも、コミュニケーション能力は若い段階で研修を行うほど効果が高いとされ、入社1年目を対象にしたBASE 研修から、しっかりと組み込まれている(図表1)。「コミュニケーション能力は仕事の土台となる能力ですから、早い段階で身につけるほど、後の仕事に良い影響を及ぼします。コミュニケーションスタイルが凝り固まってしまう前に指導したほうが身につきやすいという面もありますね」

このコミュニケーション能力を段階的に身につけ、自然と人を教え・導く力を養えるようにと計画されたのが次のような年次ごとの教育プログラムである。

第1ステップ:「学び方」

第2ステップ:「教え方」

第3ステップ:「ファシリテーション」

山本氏はいう。「研修は、相手の受け止め方や理解の仕方を含めた“、学び方”の習得から始まります。そして次に、自分の考えや言葉を受け止めてもらうための教え方が必要になるのです。その後段階的に能力を磨いていきます」

企業が求める人材に必要なコミュニケーション能力。そのコミュニケーション能力の基礎となる「教え方」。学ぶ力を土台として、段階的に習得することで良き教え手として成長していくのである。

入社1年目から“先輩になること”を意識する

こちらはJ.H.倶楽部会員限定記事です。
ご入会後、続きをお読みいただけます。

残り:1,910文字

/

全文:3,819文字

【入会・年会費無料】

J.H.倶楽部は人事の仕事に役立つ特典が満載です!

  1. 総数2000本以上の人事の実務に役立つ記事(※)が閲覧可能
    ※専門誌『Learning Design』(旧『人材教育』)の記事
  2. 新サービス・お役立ち情報(調査報告書・ホワイトペーパーなど)の先行案内
  3. 会員限定セミナーへのご招待/講演動画・配布資料の閲覧
  4. 興味関心に沿った必読記事を、メールマガジンでお知らせ!