J.H.倶楽部

無断転載ならびに複製を禁じます。なお内容は取材・掲載当時の情報です。

月刊 人材教育 2011年09月号

インストラクショナルデザイナーがゆく 第52回 西アフリカの将来を握る ガーナ人講師たちの熱意


寺田 佳子(てらだ よしこ)
ジェイ・キャスト執行役員、IDコンサルティング代表取締役、日本イーラーニングコンソーシアム理事、IT人材育成事業者協議会理事、eLP(eラーニングプロフェッショナル)研修委員会委員長、JICA情報通信技術分野課題支援委員、JICA─NET Instructional Design Seminar講師、ASTD(米国人材開発機構)会員。著書に『IT時代の教育プロ養成戦略』(共著、東信堂)など。http://instructionaldesign.blog97.fc2.com/

西の“黄金の国”

ガーナといえば、金とダイヤモンド、上質なカカオ豆に、お肌しっとりシアバターの産地として有名な、女性にはこの上なく魅力的な国である。そのガーナの国家公務員研修センターの講師を依頼され、思わずダイヤじゃなくてチョコに目がくらみ、うなずいてしまった私。しかしよく聞くと今回は、テレビ会議システムを使った遠隔ワークショップとか。「あらま!それじゃ、ダイヤを間近に見ることも、極上カカオを楽しむチャンスもないのね?」とちょっとガッカリしたが、東の(かつての)黄金の国ジパングと、西の(ほんとの)黄金の国ガーナをネットワークで結ぶワークショップって、ゴージャスな感じでいいかも~、と軽いノリで引き受けてしまった。引き受けたはいいが、資料を読み始め、ハタと考えこんでしまった。というのも、今回は単なるインストラクショナルデザインの研修ではない。西アフリカ地域のCenter of Excellence(人材育成の拠点)をめざすガーナが、3年がかりで取り組む大プロジェクトの総仕上げに当たるもので、「倫理的リーダーシップ」「生産性向上」といった教育プログラムを完成させ、周辺国での研修を実施する高度なスキルを持つ講師を育てる、というのが目標。その先には、人材育成を通じ、西アフリカ諸国の協力と発展をめざすという大きなゴールもある。でも、ガーナ人としゃべったことも、ガーナに行ったこともないのに、できるのか、私?しかし躊躇している時間はない。プロジェクトの報告書、ガーナの公務員研修センターの教育マニュアル、周辺国で実施したTNA(Training Needs Analysis:研修ニーズ分析)のデータ等々、資料の山と格闘すること1週間余り。ようやくうっすらと、本当の課題が浮かび上がってきた。なかでも気になったのは、TNAレポートの「教育以前の課題」の深刻さだ。西アフリカには、内戦終結後10年未満の国もある。行政組織も確立しておらず、公務員の職務定義さえないところもある。さらに顕著なのは、職務へのモチベーションの低さ、無気力感、倫理観のなさ。こうした問題を抱えた学習者に対して、リーダーシップや生産性向上を教えなければならないガーナ人講師たちの悩みは、想像を絶するものに違いない。ワークショップで何を伝えれば、彼らの夢を後押しできるのか?その時ふと浮かんだのが、“Yes, we can!”。大統領選でオバマ候補が繰り返したフレーズだが、仲間とゴールに向かって困難を乗り越えて行くには、こうしたシンプルでわかりやすいイメージが必要だ。よしっ、ワークショップでは、彼らの魅力と強みを自覚させ、ゆるぎない自信と、ポジティブに挑戦するモチベーションをキープする雰囲気づくりに集中しよう!そうと決まれば話は早い。それまで準備していた資料を破棄し、新しいシナリオをひと晩で書いた。

ガーナ人講師の勢いと好奇心

こちらはJ.H.倶楽部会員限定記事です。
ご入会後、続きをお読みいただけます。

残り:1,243文字

/

全文:2,486文字

【入会・年会費無料】

J.H.倶楽部は人事の仕事に役立つ特典が満載です!

  1. 総数2000本以上の人事の実務に役立つ記事(※)が閲覧可能
    ※専門誌『Learning Design』(旧『人材教育』)の記事
  2. 新サービス・お役立ち情報(調査報告書・ホワイトペーパーなど)の先行案内
  3. 会員限定セミナーへのご招待/講演動画・配布資料の閲覧
  4. 興味関心に沿った必読記事を、メールマガジンでお知らせ!