J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2011年08月号

企業事例③ キッコーマン 入社時からのキャリア開発でステージごとに意識を変える

キッコーマンでは、入社後から15年目までの時期を「CDP(Career Development Program)」期間と位置づけ、社員のキャリア開発を多方面から支援する。その中で“自立”から“自律”へと意識を変え、40歳前後では、組織の意思決定に貢献できるように成長していく仕組みがある。

田尻 佳彦 氏 
キッコーマンビジネスサービス 人事部 人事教育グループ長 参事
嶋田 和宏 氏 
キッコーマンビジネスサービス 人事部 人事教育グループ 副参事

キッコーマン
1917年株式会社設立。300年以上の歴史を持つ、国内最大手のしょうゆメーカー。しょうゆ以外にも「食と健康」に関するさまざまな商品やサービスを展開している。2009年10月持株会社制に移行した。
資本金:115億円、売上高(連結):2834億円、従業員数(連結):5268名(2011年3月31日現在)

取材・文/増田忠英、写真/本誌編集部

入社8年間で「自立」し管理職準備期間へ移行

日本の伝統調味料であるしょうゆ。その海外市場開拓にいち早く取り組み、100カ国以上の国々で愛用される調味料に育ててきたキッコーマンは、今や売上高の45%を海外が占めるグローバル企業である。

こうした変化の激しい環境を勝ち抜くため、同社では求める人材像を「プロ人材」としている。具体的には「①仕事における高度な専門能力を持ち、②その能力を発揮し成果に結びつけ、③市場で新しい価値を創造できる人材」である。そして、プロ人材としての成長を支援する仕組みとして、Cコース(総合職)社員全員に対して、CDP(Career DevelopmentProgram)制度を1994年7月より運用している。

CDPの定義は、「自己責任において自ら向上しようと努力する社員が、職務遂行能力や経験を順次身につけながら、その能力等を最大限に発揮し、自己実現を果たしていけるように会社が支援するトータル人材育成システム」である。この制度が適用されるのは、原則として入社から15年目(学卒年齢36歳目安)まで。その間は、CDP期間と位置づけられ、研修、自己啓発といった教育だけでなく、ローテーションや面接など多方面から育成を支援する。このうち、新入社員から入社8年目(30歳前後)までを第Ⅰ期、それ以降から15年目までを第Ⅱ期としている。

持株会社のもとでグループ会社の間接業務を担うキッコーマンビジネスサービスの人事部・嶋田和宏氏は、この2期の違いについて、次のように話す。

「第Ⅰ期は『自立』期。自分の領域で一人前になることをめざす時期です。そして第Ⅱ期は『自律』期。管理職に向けた準備を始める時期と位置づけています」

同社では職能資格における「主幹」から、管理職となる。主幹への昇格時期は40歳前後と比較的早い。現在多くの企業では、この管理職のポスト不足が問題になっているが、キッコーマンではそうではない。人事部の田尻佳彦氏は、社員の年齢構成について次のように説明する。

「実は我々の上の世代に数多くの管理職がいたのですが、その世代が退職したため、人数がスリム化しました。その後の世代は毎年の採用が30人前後で推移しているため、現在の社員の年齢構成はかなり改善されてきています。管理職には毎年20人程度が昇格しますが、当社の場合、ポスト不足は大きな問題とはいえません」

とはいえ、主幹に昇格した全員が、すぐに所属長となって部下を持つわけではない。管理職になりながら、実際の業務は以前と同じ、というケースもある。そこで効果的なのが、CDP制度による意識変革である。

管理職になるためにはスキルより意識変革

CDP制度は、20代の第Ⅰ期と30代以降の第Ⅱ期で内容がだいぶ異なる(図表)。第Ⅰ期はビジネスパーソンとしての基本能力習得のため、入社時研修から始まり、2年目、3年目、5年目、7年目と、階層別にきめ細かな研修が実施される。さらに、個別にカウンセリングを行う他、各自のキャリアプランに対して上長以外の部門長や部長が面接も行う。

7年目(29歳頃)には第Ⅰ期のこれまでを振り返りながら、第Ⅱ期のキャリアビジョンを描く「CDP研修」を行う。これは、第Ⅰ期から第Ⅱ期への橋渡しとなる研修だという。

「7年目の社員でも、自分の可能性を狭い枠組みの中で考えているケースが多いのです。そこで、外部からアドバイスをもらうことで、自分のキャリアビジョンを豊かにしてもらっています。また、将来のビジョンを描くことで、ここからは“自律”が求められることも意識してもらいたいと考えています」(嶋田氏)

第Ⅱ期に入ると、研修は入社10年目(主査2級、32歳頃)と13年目(主査1級、35歳頃)の2回のみとなる。「自律期である第Ⅱ期は、第Ⅰ期で培った能力を基盤に、自分自身で専門領域を強化することができるはずです。そのため、階層別研修は減らしています」(嶋田氏)

この2回の研修では、マネジメントを行っていくうえで軸となる考え方や習慣を身につける。

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