J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2011年04月号

PDCAサイクルに基づく 絶えざる品質の向上と人財育成

“お客さまの一生涯のパートナー”であることを追求し、
「お客さま第一主義」を創業以来の理念として
掲げている第一生命保険。
同社では、全社でPDCAサイクルを回しながら、
絶えず経営品質の向上を図っている。


桝永 慎一郎氏 DSR推進室長

1902年、日本で最初の相互主義に
よる保険会社として設立。2010年、
株式会社化し上場。新創業と位置
づけて新たな飛躍をめざしている。
資本金・資本準備金:4204億円
(2010年9月末) 保険料等収入:
2兆8372億円(2009年4月~2010
年3月) 従業員数:57844名(内
勤職員13820名、営業職員44024名
(2010年9月末)

取材・文・写真/井戸沼尚也

DSRは経営の取り組みそのもの

顧客の一生涯のライフステージをさまざまなチャネルを駆使してトータルサポートする「新・生涯設計」という戦略を打ち出し、業界トップクラスの生命保険会社として成長を続ける第一生命保険。同社が打ち出した「DSR経営」は、全社で大小さまざまなPDCAサイクルを回して絶えず品質の向上を図っていくという考え方を、社内の全ての取り組みに反映させるというもの。そして、同社の全ての取り組みはこの「DSR経営」の一環だという。このことについて、桝永慎一郎DSR推進室長は、次のように述べる。「当社は以前から一貫して、お客さま第一主義を経営理念とし、ここ数年はステークホルダーの皆さまに価値を提供し続けるCSR経営を標榜してまいりました。しかし、一般的にはCSRというと環境への対応であるとか、社会貢献活動のイメージが強く、当社が掲げる“CSR”と一般のイメージがかけ離れてきたことから、それならば当社独自のCSRを、自分たち自身の『DSR』(Dai-ichi’sSocial Responsibility:第一生命の社会的責任)という言葉にして全面的に打ち出していこうということになりました」(桝永氏、以下同)

2011年4月以降、同社ではCSRの取り組みを『DSR』と統一し、社内外に発信していく予定だ。

大小のPDCAを回す仕組み

DSRは、全ての現場でPDCAサイクルを回し、全社的に品質改善を進めるというもの。実際に、現場ではPDCAサイクルをどのように回しているのか。ここではその1つ、全社レベルでの大きなPDCAサイクルの例として、DSR推進委員会の取り組みを紹介する。

DSR経営の取り組みは、社長を委員長とするDSR推進委員会が母体となって推進している。同委員会の傘下には、課題ごとに計画策定・実行策の推進・進捗管理を行う専門委員会を設置し、各々の取り組みの実効性を高めている(図表1)。「各専門委員会は、それぞれステークホルダーの満足を高めるための課題は何かを考え、方策を立案し、実施し、振り返り、それを標準化し、次年度のさらなる活動につなげていきます。つまり、まさにPDCAサイクルを回しているわけです。そして各専門委員会は、その時々の進行状況をDSR推進委員会に上げ、そこで各専門委員会の進捗の確認や課題の抽出など、さらに大きな全社的なPDCAサイクルをDSR推進委員会として回す仕組みです」

DSR推進委員会と各専門委員会のPDCAサイクルが連動して、全体の大きなサイクルが回っているのだ。

本社と支社でサイクルを回す『エコーシステム』

PDCAサイクルを回す同社の事例としてもう1つ、顧客からの声を経営に反映させる『エコーシステム』を紹介しよう(図表2)。

同社では、営業職員、コールセンター、HPなど、あらゆる顧客との接点から、丹念に“お客さまの声”を拾い上げている。それらは専用の“お客さまの声データベース”で一元管理されている。

集約された声は、会社全体で取り組むべきものは本社の改善サイクルで、また支社で取り組むべきものは支社の改善サイクルの中で、それぞれ改善に向けた取り組みが進められる。

本社の改善サイクルでは、たとえばお客さま満足の向上を目的に設置された品質保証推進専門委員会(前述の専門委員会のうちの1つ)の場合、その声を会社全体の取り組みに活かすためのVOC会議(Voice OfCustomer会議)を毎月開催し、顧客の声を収集・分析、CS向上に向けた課題を把握する。VOC会議で抽出された課題や問題点は、プロジェクトチームの活動を通して具体的な改善案の策定に移される。そしてチームで策定された改善案が、現場の実行をフォローしていく仕組みだ。

このシステムには、品質諮問委員会が設置されており、そこには社内の担当者はもちろん、外部の消費者団体の代表者等も参加している。他にも「消費者モニター制度」を導入するなど、お客さま・消費者の立場からの意見や要望を吸い上げながら、委員会に直接反映できる仕組みだ。

一方、支社の改善サイクルとしては、毎月各支社において現場レベルでの業務品質の向上を目的とした「支社DSR委員会」を開催している。それを構成する柱の1つである「お客さまの声委員会」では、顧客から寄せられる生の声に基づき、具体的な対応策の立案、実施やフォローを行う。顧客とより近い立場にある支社の取り組みは、顧客の要望に対して迅速な対応を可能にし、顧客満足の向上に大きく寄与している。

これら本社・支社に寄せられた顧客の声やその対応については、HPを通して顧客へフィードバックされている。ここにも1つのサイクルがあるのだ。

このように、意見集約から分析、実行、振り返りまで、大小のPDCAサイクルが二重・三重に回されていることがわかる。

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