J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2012年08月号

新連載 金井壽宏の「人勢塾」に学ぶ。試す! 人と組織の元気づくり 第1回 会議学

成熟社会。正解のないビジネス現場。社内のコミュニケーション不足――これらの課題に、即効性のある薬などないことは、誰もが感じているだろう。この状況に風穴を開ける術は、全くないのだろうか?その問いに挑むのが、神戸大学で金井壽宏先生が主催する第4期「人勢塾」。本誌では、「人勢塾」全10回の授業をレポート。施策1つで問題を解決するのではなく、組織全体へ多様なアプローチをする。そんな「組織開発」の手法を学び、ぜひ現場で試していただきたい。

金井壽宏
神戸大学社会科学系教育研究府長、大学院経営学研究科教授(兼務)
1954年生。78年京都大学教育学部卒業。80年神戸大学大学院経営学研究科博士前期課程を修了。89年マサチューセッツ工科大学でPh.D(. マネジメント)を取得。92年神戸大学で博士(経営学)を取得。

「人勢塾」とは?
神戸大学大学院経営学研究科の社会連携活動機関でもあるNPO現代経営学研究所が主催の講座。2009年にスタートし(第1期の成果は、『人勢塾--ポジティブ心理学が人と組織を鍛える』(小学館、2010として出版)、2012年5月スタートの今回が第4 期となる。「産業社会の元気の原点は、働く人、一人ひとりの元気・勢いにある」という考えのもと、人材教育・組織づくりなどにかかわる多様なセッションを実施。今期は、ただ学ぶだけでなく、現場での実践につなげられるよう、原則1社から2名の参加を必須としている。毎回「その道の本物・達人」といわれるゲスト講師を招くのも魅力だ。「人事やラインマネジャーは働く人の応援団。そしてその応援団にも応援団が必要」と語る金井先生。我々人事を応援してくれるような「学び」と「場」が提供されている。

[取材・文・写真] = 渡辺清乃

今こそ組織開発!

神戸大学で行われている「人勢塾」第4 期(全10回:5/12 ~ 7/21)のテーマは「組織開発(OrganizationDevelopment=OD)」。本誌でも5月号で「組織活性化」の特集を組んだばかりで、旬のテーマの1つともいえる。しかし、「組織開発」の定義は実にさまざまだ。

たとえば、組織開発の重鎮といわれるリチャード・ベッカード(Beckhard1969)によると、組織開発とは「①計画に基づき、②組織全体にかかわる努力であり、③トップ主導でマネージされ、④組織の有効性や組織の健康を高め、⑤行動科学の知識を活用して、組織のいろいろなプロセス(手順)における計画的介入もしくは計画的ゆさぶり(planned intervention)を行うこと」である。一方、研究者によっては「そもそもODに標準的定義はない」という意見もある。「『組織』とはいったいどの範囲を指すのか」「『開発』の定義がハッキリしない」ともいわれるし、その定義は今、混沌としているといえよう。だからこそ、金井先生は「無理に定義して枠にはめるのはもったいない。多様なゲストの先生との出会いから学び、自らの組織に合う受け取り方を考えてほしい」という。

実践のための“気づき”

本誌では、「人勢塾」セッションのレポートと事前・事後の課題を毎号一回分ずつ掲載する。読者の皆さまには、ただ読んで知識を得るだけでなく、ぜひ「人勢塾」参加者と同じように、課題図書を読んだり、事前課題と振り返りにトライしていただきたい。

ちなみにこの第4 期に参加したのは、23社46名(実践しやすくするため、1社2 名での参加が原則義務づけられている)。企業の人事・教育担当を中心に、ラインマネジャー、経営者、コンサルタントなど、「組織」の課題にかかわる人たちばかりである。数名から、今回の受講の動機を聞いてみた。「もともと対話を大切にしている社風。今までさまざまな取り組みをしてきたが、個別に施策を打っても限界がある。1つステージを上げるため、全体を意識して、組織開発に取り組みたい(製薬メーカー勤務)」「『キャリア自律』を掲げ、社員の定期面談を行っている。個々の社員に自律の自覚が出てきたため、次は組織開発に着手したい(飲料メーカー勤務)」

Liue Repont

全10回の初日は、良く晴れた土曜日の午後。全国から集まった受講者が、半日のセッションと懇親会を楽しんだ。組織開発の世界への入り口となる第1回のテーマは「会議学」。組織や分野の境界を越えて話し合う「ホールシステム・アプローチ」を題材に、誰もが身近な「会議」を改めて見直した。

Pick Up 1 月面ランデブーワークで「納得解」を話し合う体験をする

会議は、どの組織でも日常的に行われている。その目的はさまざまあるが、多くは「個人で決めるより意思決定の質を高めること」と、「その決定をメンバーが受容し、実行にコミットしてもらうこと」であろう。しかし、現実にそれはできているだろうか? 権限を持つ者の発言権が強かったり、関係者が揃わずに物事が決められたりと、理想通りにはいかないケースが多いのではないだろうか。

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