J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2012年11月号

連載 グローバルビジネスに役立つ教養の本棚 第11回 「国家論」 国家と不可分なグローバルビジネス

世界では恐らく日本人が思う以上に国家に対する当事者意識を持つ人が多い。また資源、インフラ、金融、ハイテクなどに関して競争を行う国家はビジネスに多大な影響を与える。そして、国家は個人にとってはモチベーションの源泉ともなる。今回は「国家」の意義や本質を知る書籍を紹介する。

名藤大樹(なとう・ひろき)氏
1998年、一橋大学商学部卒業。三和総合研究所(現 三菱UFJリサーチ&コンサルティング)入社。組織人事戦略の分野で民間企業、官公庁等に対するコンサルティング業務に従事。2006年一橋大学大学院商学研究科経営学修士コース修了。

国家への関心が相対的に薄い日本人

これまで、この連載では「宗教」や「哲学」といった文化的な領域に焦点を当ててきました。今回はもう少し具体的に形になっているものに焦点を移し、制度としての「国」について考えるための書籍を紹介します。

この「国」という概念は、日本人ビジネスパーソンの大多数にとって盲点になりやすい分野です。「そもそもビジネスパーソンは、国の運営を担う国家公務員や政治家ではないのだから、日本人に限らず、国に対する高い関心を持っていないものではないか」という意見もあるかもしれません。しかし、これは必ずしもそうではないのです。

近代国家を自力で生み出し、それをさらに一歩進めたEU(欧州連合)をつくったヨーロッパ諸国や、半ば人工的に国家をつくり上げた米国では、国というものに対する国民全般の当事者意識は一般的な日本人とは大きく違います。

近隣の国に目を向けると、韓国には徴兵制があり、多感な青年期に全員がそれを通じて国という存在と向き合わざるを得ません。

中国は、西洋型の民主主義国家ではありませんが、経済的な意味での新興国として、国の発展については指導者から一般層までが強い関心を持っています。

ある中国人ビジネスパーソンは「国というのは、ただそこにあるのではなく、意識的に必死で維持していくものだ」と私に話してくれました。グローバルビジネスにおいて、カウンターパートとなる外国人エリート層は、単純に愛国者であるかどうかは別にして、国について日本人よりも一段深く考えていることが多いのではないでしょうか。

対して日本人はどうでしょう。日本は外的な脅威が比較的少ない島国であることから「自然と国がある」という状態が歴史上長く続きました。

また、第二次世界大戦後は、戦争の反省のもとで教育から国家意識が排除されると同時に、日米安保という特別な枠組みのもと、国のことを意識的に考えない状態に置かれてきました。少し踏み込んでいえば、オリンピックや震災といった時には一体感を持って行動しますが、現実的な機構としての国とは何かはあまり考えることがないのが日本人の特徴だと思います。

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