J.H.倶楽部

無断転載ならびに複製を禁じます。なお内容は取材・掲載当時の情報です。

月刊 人材教育 2012年11月号

覆面座談会 女性管理職のホンネ これからが正念場 女性管理職が考える女性の働き方

産休や育休といった制度の充実、ダイバーシティや労働人口減少などから、女性活躍を推進したい企業が増えている。だが、企業がめざす女性活躍と、実際の女性管理職の働き方にギャップはないのか。今回は5名の女性管理職が集まり、本音で語り合った。管理職のやりがいや苦労、また、管理職だからこそ見えている今後の女性の働き方とそれを支える企業のあり方など、話題は多岐にわたった。

成果が何倍にもなる管理職のやりがい

―まず始めに、管理職という仕事のやりがいについてお聞きしたいと思います。実際に仕事を体験してどのように感じられましたか。

D氏

メンバーだった時は自分の仕事がイコール成果になっていましたが、管理職になると部下の成果も加わります。成果の量が×何倍となり、全然違いますね。成果をどれくらいの大きさまで求めるかを決めるのも自分。部下は私の指示で動くわけで、それを実感してからは、部下にうっかりしたことはいえないと気を引き締めました。

E氏

管理職は1つの組織の長ですから、その責任において会社に対してもやりたいことをきちんと発言できるようになったと思います。一個人がやりたい思いを上司に伝えることとは違って、宣言すれば明日から実際に組織が動くわけですから、重みが違いますね。

C氏

部下のマネジメントは大変ですが、アウトプットの質も、どこまで仕事のレベルを持っていくかという点も自分で決められます。決裁できる事柄の範囲も広くなりました。どんな組織にするかもマネジャー次第で、自分色にすることもできる。プレッシャーも感じますが、面白い仕事だと思います。

―部下を持つことで、やりがいにも変化が生じるようですね。ただ最近は、若手社員に管理職になりたくない人も増えているそうです。皆さんはどう思っていましたか。

A氏

当社は、私の上の世代にそれほど女性管理職が存在していませんでした。とはいえ、ロールモデルがいないからといって、めざさないかというと別問題。その点はあまり関係ありませんでした。私自身は率先してなりたいといってきたわけではありませんが、下の世代を見ると、なりたい人となりたくない人に分かれている感じですね。

E氏

私も会社にいわれましたが、なぜやらせてもらえたのかと考えると、精神的にタフだから。私が仕事でめげないと思っているんですね(笑)。でも確かに精神力はマネジャーにとって大事な要素だと思います。

B氏

私は上司に管理職になりたいと伝えました。それまでにも、肩書きがないだけで、それに近い仕事をしていました。女性は教えてもらえる管理職のメンターが少ないですし、職業柄「管理職になりたい」という顔をしていないと順番は回ってこないですね。

ロールモデルは必要?不要?仕事は自分スタイル

―人の成長には目標も必要です。皆さんには、こんな人になりたいというロールモデルはいましたか。

D氏

私は20 代のころ「ロールモデルがいないことは嫌だな」と思っていました。今、女性管理職は少なからずいますが、皆さん個性が強く、なかなかこうなりたいと思ってもなれない方ばかり。だから、私も、結局自分が思うようにやるしかないし、自分のキャラクターで生きるしかないと割り切ってきたように思います。マネジメントのスキルは男女どちらからでも学べますから、ロールモデルがほしいとは思いません。後輩に対しても、私と同じような人になってほしいとも思わないですね。

C氏

当社は社員の7~8割が女性で、管理職も多い。ただ、既婚でも子どもがいない人が多いですね。要するに男性並みの働き方をしている人が多いのです。なので、この人だと思う一人の女性管理職にロールモデルを求めるのではなく、男女関係なく、人の良い部分を盗めばいいのではと思います。この話はあの人、あの話はこの人と聞き分けるといい。

B氏

Cさんがすごくうらやましいのは、世の中にはいろんなタイプの女性がいて、いろんな働き方があると知る機会を得られる点です。今、当社には女性管理職はほとんどいませんし、既婚者もいない。その状態で「管理職で頑張れ」と上司にいわれると、「えーじゃあ私は結婚できないの」と思ってしまうんですよ。

E氏

一般的によくいわれる女性管理職のロールモデルは、子育てと仕事を両立させている人ではないでしょうか。それに比べると、独身の私はある意味で「おじさん化」しているといえるかもしれないですね。

―ロールモデルに恵まれている会社は少ないようです。皆さんの会社では、管理職になる前に能力開発や準備期間を用意してくれましたか。

B氏

そもそも管理職にどんな能力が必要か、会社がわかっているのかと思います。取引先の人たちを見ていて思うのは、課長になったはいいが、何をやるべきかわかっていないということです。部下の面倒を見れば、それで課長かというとそうではない。そういうことを話し合う場をつくらないといけないと思いますね。

C氏

当社は毎年課長研修を行いますが、やれていない研修はたくさんあります。人事部の私がいうのもなんですが……。自分が管理職になってみて思うのは、自分は何ができて何ができないか、マネジャーとして不足している点は何か、なかなか見えてこないということです。いろんな方からフィードバックをもらって、初めて客観視できることが多い。自分の足りてないところの気づきの場というのはほっしています。

A氏

管理職になるにあたっては、事前に人事異動などにより、いろいろな経験をさせてほしいと思いますね。―仕事をしていて、自分が女性だと意識させられることはありますか。

A氏

全くありません。仕事仲間とのゴルフでハンディをもらった時くらいです(笑)。

E氏

社内では感じませんが、社外では責任者と思われていないな、と感じることがあります。また、男性を接待する時は、どう立ち振る舞えばいいかと悩む時があります。男同士のつき合いに進みそうな時は帰宅したほうがいいかな、などと気を遣いますね。

B氏

一般にいわれるところの「女性の気遣い」は気にしますね。それをアピールしたいわけではないですが、そんなところで評価を落としたくもない。しゃくだから気を遣おうかという思いを、ムダかもしれないですが抱くことはあります。

D氏

広報はマスコミを相手にしますが、たまに男社会だと感じることがありますね。私が名刺を出しているのに、一緒の男性ばかり見て、こっちを向いて話してもらえない。また、取引先に会社として謝るような場面は、それなりの年齢でそれなりの肩書きがある男性が行ったほうが丸く収まる気がします。社内では女性を意識することはないですね。

E氏

部下の女の子たちを見ていると「女性よりも男性の上司のほうがやりやすい」と思っているかな、と感じることはあります。私もわかりますが、女性同士だからいいにくいということはある。本当に仲が良くても気を遣いますから。私が部下の頃は、男性上司を相手に散々いいたいことをいいました。今思えば、偉そうに(笑)。今、私にそんなことをいう女性の部下はいません。気を遣っているんだろうなと思います。

―その点は女性ならではの苦労かもしれませんね。では仕事場面で、女性で良かったという経験をされたことはありますか。

B氏

コンサルティングの仕事では、年上の男性と仕事をすることも多いですが、そこでは同性の男性がいうよりも、年下の女性がいったほうが素直に聞いてもらえることはあるかもしれません。人当たりの良さといいますか、そこは女性の強みかなと思います。

「産休・育休社員が200名」制度を支える運営に課題

―女性支援制度もまだまだ完全ではないと思います。「ここがいい」「あまり機能していない」など、ご意見を聞かせてください。

C氏

当社は女性が働き続けないと立ち行かない会社ですから、支援制度は充実しています。子どもを産んでもほとんどの方が職場に復帰します。ただ、産休・育休を取得する社員は年間200名ほどおり、社員の10%程度は休職しています。復帰後、時短勤務の人が増えると、客前に立つ業務では、シフトを回していくことに課題もあります。

こちらはJ.H.倶楽部会員限定記事です。
ご入会後、続きをお読みいただけます。

残り:3,257文字

/

全文:6,513文字

【入会・年会費無料】

J.H.倶楽部は人事の仕事に役立つ特典が満載です!

  1. 総数2000本以上の人事の実務に役立つ記事(※)が閲覧可能
    ※専門誌『Learning Design』(旧『人材教育』)の記事
  2. 新サービス・お役立ち情報(調査報告書・ホワイトペーパーなど)の先行案内
  3. 会員限定セミナーへのご招待/講演動画・配布資料の閲覧
  4. 興味関心に沿った必読記事を、メールマガジンでお知らせ!