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月刊 人材教育 2012年11月号

人材教育 The Movie ~映画でわかる世界と人~ vol.2 「無法松の一生」

川西 玲子(かわにし・れいこ)氏
1954年生まれ、メディア・エンタメ時評。中央大学大学院法学研究科修士課程修了(政治学修士)。シンクタンク勤務後、企業や自治体などで研修講師を務めつつ、コメンテーターとして活動。著書に『歴史を知ればもっと面白い韓国映画』『映画が語る昭和史』(旧・ランダムハウス講談社)等がある。

『無法松の一生』
DVD発売中
¥4,725(税込)
発売・販売元:東宝
小説家・岩下俊作の同名小説が原作。陸軍大尉の一家とあるきっかけで知り合った人力車夫は、大尉の急逝の後も、未亡人と息子に奉公するが……。

『無法松の一生』は日本映画の名作の一つで、これまでに四度映画化され、その都度、時代を代表する大スターが主役を務めてきた。なかでも評価が高くて手軽に観られるのは、昭和33(1958)年に稲垣浩監督がメガホンを取り、三船敏郎が主役を演じた作品である。ベネチア映画祭で金獅子賞を取った。

話は明治30(1897)年から始まる。芝居小屋では日清戦争の武勇伝が大人気で、日本人という意識が生まれ始めていた頃である。国民の多くは小学校までしか行かず、今とは位置づけが違うとはいえ、中学を出れば高学歴だった。日本人の多くが文字通り庶民だったのだ。こういう時代背景を踏まえて観ると、この映画は一段と興味深いものになる。

主人公の松五郎こと無法松は、九州・小倉の車曳き(人力車曳き)だ。直情径行型で、芝居小屋に顔パスで入れてもらえなかった腹いせに客席で鍋を囲み、にんにくを焼いて乱闘騒ぎを起こしたりする。だが純粋で憎めない人間だ。

やがて日露戦争も終わった頃、松五郎はひょんなことから陸軍大尉の息子を助けることになり、その一家と懇意になる。だが大尉は間もなく病没してしまい、松五郎は残された少年と母親にとことん尽くすのである。

父親代わりになって少年に凧揚げを教え、一緒にお風呂に入って水泳を教え、運動会では走ってみせ、学芸会の練習をさせ、つい喧嘩に加勢したりもする。熊本の高等学校に進んだ少年が夏休みに帰省した時、白髪混じりの松五郎が祇園太鼓を叩いてみせる場面は、『無法松の一生』きっての名場面である。この場面を観ないと、人生の大損をすることになる。

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