J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2013年07月号

TOPIC① MALLラーニングイベントレポート ソフトバンクグループ流 研修開発・内製化プロセスの探究

リーマンショック以降、もっぱらコスト削減の要請から「研修を内製化する」「社内講師を育てる」という動きに社会的関心が高まってきている。そこで今回は、2013年4月26日、経営学習研究所(MALL)と、日立ソリューションズの共催により大盛況のうちに執り行われた標記セミナーの模様をダイジェストでお届けする。

大内 礼子 氏
ソフトバンクグループ通信3 社

島村 公俊 氏
ソフトバンクグループ通信3 社


取材・文/高橋テツヤ(又隠舎) 写真/編集部

【はじめに】研修内製化の何につまずくのか?

リーマンショック以降、コスト削減の要請もあり、大企業を中心に「社内講師を育て、デビューさせる」という動きが本格化してきている。今回のセミナーに約230名もの人が集まっていることからも関心の高さがうかがえる。

しかし、いかに普段から業務上でプレゼンテーションの場数を豊富に踏んでいる社員といえども、そのまま研修講師として登壇してしまうと、うまくいかないのが現実だ。 本セミナーでは、最初に経営学習研究所代表理事である中原淳氏が、現状の課題を解説。講師未経験者がいきなり社内講師としてデビューした際に陥りやすい、次の4つのパターンを紹介した。 

①詰め込みプレゼン症候群:何を伝え、何を伝えないかの方針がなく、あれもこれもと詰め込み過ぎる。

②ビジネスプレゼン症候群:クライアントがそのまま起案に使えるような詳細なプレゼン資料を用意してしまう。

③しゃべり倒し症候群:受講者からの反応が怖くて、自分一人でしゃべり続けてしまう。

④謙遜し過ぎ症候群:「私などがこのような場に立つなど誠におこがましいことで」などといったエクスキューズを続けてしまう。

このような症候群の発生を避け、効果的で安定した内製研修の運営と社内講師の育成を図っていくためには、実は「教える」ということ自体を「教える」仕組みが必要となるようだ。

「本日は、研修の内製化に4年にわたって取り組んできたソフトバンクグループの事例を皆さんと学んでいきたい」と中原氏は結んだ。

【セッション1】ソフトバンクグループ流研修開発スキーム

次に、ソフトバンクグループ通信3社(ソフトバンクモバイル、ソフトバンクBB、ソフトバンクテレコム)人事本部人材開発部人材開発3課の大内礼子氏が登壇、研修内製化の経緯から説明が始まった。

ソフトバンクには連結ベースで2万2,710名の人員が在籍しているが、うち1万7,000名を占めるソフトバンクグループ通信3社で、組織横断型の取り組みとして2010年に設立されたのが企業内大学、ソフトバンクユニバーシティ(SBU)である。設立目的は「情報革命を通じて人々を幸せに」という経営理念の実現に資する人材育成を行うことである。

ソフトバンクグループでもリーマンショック以降、コスト削減を目的の1つとして、研修の内製化に取り組むようになった。

2012 年度にSBU では83 コースを提供、年間受講者数は7,471名であった。研修の内製・外注の比率はおおよそ半々である。これまでのところ、内製化の対象は非管理職向けの研修が中心となっている。社内講師は79名が活躍中で、研修コンテンツの開発から研修のデリバリーまでを一貫して担当している。

「内製化3つの壁」

質・量ともに順調に拡大してきているSBUではあるが、大内氏は、「実際には試行錯誤の連続であった」と言い、4年間の取り組みを通じてSBUが見出した課題を「内製化3つの壁」として、次のように語った。

第1の壁:研修の作り方がわからない

「従来から外部研修を評価して調達する業務は行っていましたが、自ら研修を作成するということは、それとは全く勝手が違うことでした。そこでやむなく、まずは専門ベンダーに内製支援を依頼することとしました。コスト削減のために内製化する以上、内製支援を外注するのはジレンマではありましたが、将来への投資だと考え、研修を作成するプロセス、レッスンプランやマニュアルの作り方、講師育成トレーニングなどについての基本的なノウハウを学び取るようにしました」

第2の壁:自社らしさが出せない

「次に課題となったことは、外から導入したノウハウに、いかにソフトバンクらしさを加味した研修を作成していくのか、付加価値をどう出していくか、ということでした。そこで社内で『ソフトバンクらしさ』について議論し、走りながら考えるという社風を反映したキーワード、“実践”と“即効”を抽出したのです。より実践的な研修を、できるだけ短時間で学んでいく、という方針を定めたところ、研修内容ががらりと変わり始めました」

第3の壁:経験や専門知識がない

「当初は研修内製化の作業は人材開発部スタッフだけで完結するつもりでいたのですが、テクノロジー、ファイナンス、グローバルといった各種専門テーマの研修を全て人事スタッフだけで作成するのは無理であることに気がつきました。この課題を乗り越えるために、社内講師を活用することとなったのです。現場の社員を巻き込み、協力を得ることで、そのスキルやノウハウを活用することができるようになりました」

内製研修の開発の流れ

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