J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2013年09月号

ID designer Yoshiko が行く 第75回 情報の海に溺れないためのキュレーション・スキル

寺田 佳子(てらだ よしこ)氏
ジェイ・キャスト執行役員、IDコンサルティング代表取締役、日本イーラーニングコンソーシアム理事、IT人材育成事業者協議会理事、eLP(eラーニングプロフェッショナル)研修委員会委員長、熊本大学大学院教授システム学講師、JICA‒NET ID Seminar講師、ASTD(米国人材開発機構)会員。著書に『学ぶ気・やる気を育てる技術』(日本能率協会マネジメントセンター)など。http://yoshiko.teradalive.net

さて、先月号では、今年のASTD国際会議にちょっぴり戸惑っていることを告白した。というのも、会議の数カ月前からネット会議が始まり、会議後3カ月を経てもなお、「続きはWebで!」とつぶやくコミュニケーションが続いているからだ。会議は続くよどこまでも?連日のつぶやきの熱さに、少々夏バテ気味の今日この頃である。中には、「これこそが最も新しい会議のスタイル、フリップド・カンファレンス(Flipped Conference=反転会議)である。今後は、会議に必要な情報のインプットはWebで、アウトプット(活用・応用)は会議場で、というスタイルがビジネスのスタンダードになるだろう。さぁ、続きはWebで!」というダメ押しのつぶやきさえある。確かにうまくいけばよいのだろうが、現実は厳しい。困ったことに、始終「ブツブツ……」とつぶやく習慣はネット上にとどまらず、リアルな会議をも浸食。ダラスのカンファレンスルームには、熱く語るスピーカーには目もくれず、手元のタブレット相手につぶやき続ける「発信オタク」の姿があちこちにあったのだ。なんでも、みんながコンテンツ(Content)をクリエイト(Create)してコメント(Comment)をつけ合うのに夢中なこの風景を、頭文字をとって「C&C&C」というそうだが、「シー、シー、シーッ!」って注意したくなる現象なのである。何かが、おかしい!?

見事なキュレーションで感動が2倍!

そんなモヤモヤした想いを吹き飛ばしてくれたのが、今年の注目ワード「キュレーション(情報の目利き)」のエキスパート、デビット・ケリーである。彼のキュレーションのステップはこうだ。1.アグリゲーティング(とりあえずテーマにつながりそうな情報をモレなく拾い集める)2.フィルタリング(そこから単なるノイズに過ぎない情報をさっさと取り除く)3.エレヴェーティング(残った中から特に価値のある、これは外しちゃマズい、という情報だけを目立つようにすくい上げる)4.マッシュアップ(拾い上げた情報同士を組み合わせて、新しい見方、新しいストーリーをクリエイトする)5.タイムライン・キュレーション(時系列に情報を整理して、順に利用しやすいように提示する)この5つのステップによる見事なキュレーションで感動が2倍になったのが、今回のASTDの目玉の1つであるケン・ロビンソン卿のプレゼンテーションである。「リアルなスピーチの魅力を心ゆくまで堪能するために、本当に必要な情報は何なのか」に集中したキュレーションをWeb上に公開したデビットは、まず、TEDカンファレンスで行ったロビンソン卿の2つのプレゼンテーション画像をチェックすることを指示。そして、ロビンソン卿がいわゆる「即興型プレゼンター」であること、軽いジョークを飛ばしながら、その日の聴衆にはどんな話し方や比喩が受けるかを確認しつつ、入念にプレゼンのストーリーを修正していることを読み取ることが重要であると説明する。「だから、1時間の講演でも、本当に主張したいことはとてもシンプルなフレーズに絞ってあって、会場が盛り上がった時に語るんだ。ロビンソン卿の話は、そこだけ外さなければ十分なんだよ」なるほど!!デビットの言う通り、ロビンソン卿は何千人もの聴衆を前に、リラックスした表情で、一人ひとりと冗談を交わすようなノリで話を進める。その彼が、ちょっと前のめりになり、美しい詩の一節を読み上げるように語り始めた時、「デビットが言っていたのはココだっ!」と私も思わず前のめりになった。

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