J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2013年09月号

ワンワード論語 第13回 「言」

ビジネスに限らず、人生で最も失敗を呼び込みやすいものなのに、頼らざるを得ないのが、発言や文章などを意味する「言」です。

青柳 浩明(あおやぎ ひろあき)氏
安岡活学塾専任講師、(財)岩崎育英文化財団勤務。幼少から40年論語を学びSE、PM、経営企画他、多くのビジネス現場で実践を積む。ビジネス論語の伝播活動として企業等で講演等を実施する。ビジネス論語スクール主宰。日本経営品質賞審査員他。

[イラスト] = 秋葉 あきこ

人の心は見えません。しかし、営業や商談の場となると、“見えない”では済まされません。そこで私たちは相手を信用できるかどうかを確認するために、相手の表情、しぐさ、そして何よりも発言=「言」を頼りにして相手の真意を探ります。とはいえ、この「言」、はなはだ信用の置けないものです。なぜならば「言」は、その人の本心とは関係なく、どうにでも表現できるからです。できないことも“できる”と言えますし、逆にできることでも“できない”と言えます。

●相手の心を探る危い方法

「言」の曖昧さ、そして「言」のみを頼りに相手を信用することの危うさを教えてくれるのが今月の論語1です。この章句は、孔子が自身の過ちと改善について振り返っている珍しい章句です。孔子は、宰予という弟子に、自らの過ちを教えられました。というのも、宰予は弁舌に長けるため、期待をかけていたのに行いが伴わず、信用できなくなったからです。聖人と言われる孔子ですら失敗することがあるのですから、私たちはどんなに気をつけても気をつけ過ぎることはないといえます。詐欺などにかかるのは、この過ちの典型です。人間社会においては、発言=行動=本心という方程式を信じたいものです。とはいえ、常に誰においても成り立つものではありません。発言=行動という人は珍しく、そのために「有言実行」という四字熟語が生まれたほどなのです。たとえば、誰かの発言を鵜呑みにし、期待していたために、とんでもない目にあったという経験はありませんか。約束を実行しようとしない人にそれを指摘した際に“、状況が変わった”とか“そういうつもりではなかった”と言い訳されたことはありませんか。他人を正しく判断するためには、孔子の気づきのように、発言よりも行動を確認することが大切です。行動=本心は、発言=行動に比べると、はるかに成立しやすいもの。ですから、行動をもって本心を判断することは、発言をもって本心を判断することよりも、はるかに安全です。

●失言は取り返しがつかない

さて、対象を自分に移してみましょう。自分の「言」に関する過ちにはいろいろとありますが、その代表が失言です。今までで失言をしたことはありませんか。愚問でしょうか。「言」のワードではありませんが、「言」の怖さを2500年前に教えていたのが、今月の論語2です。「駟」は当時最速の乗り物であり、現代に置き換えればロケットあたりでしょうか。いったん放たれた言葉は、どんな高速の乗り物を用いても追いついて取り消すことができない、という喩えです。

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