J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2013年10月号

CASE.1 VOYAGE GROUP 読む・書く・考える場づくり 社内図書館で思案し日報で振り返り、自分を表現

企業が常に新しい価値を生み出し続けるためには、人と人、人と会社、会社と会社をつなげる「ストーリー」が必要だと、VOYAGE GROUP代表取締役CEOの宇佐美進典氏は言う。同社でそのストーリーは、自由に読み書き考える場によって共有されている。ユニークな環境づくりと、そこで起きている学びを取材した。

宇佐美 進典 氏 代表取締役 CEO

VOYAGE GROUP
1999年の設立よりメディア関連事業、アドテクノロジー事業他、インターネット領域における多様な事業を展開。資本金:3億7,262万円、売上高:約81億円(第14期:2012年9月末)、従業員数:310名(2013年8月)。

[取材・文]=西川 敦子 [写真]=VOYAGE GROUP提供、本誌編集部

●読んだり考えたりする環境社内にBarあり図書館あり!

まるで海賊船さながらのインテリアに照明の薄明かり――。

ここは、ポイントサイト「ECナビ」の開発・運営などで知られる、VOYAGE GROUPのコミュニティスペース。その名も社内Bar「AJITO」だ(下写真)。バーカウンターやテーブルが備えられており、18時30分以降は無料でアルコールも供されている。

ECナビの他、アドテクノロジー関連事業(リスティング広告の導入支援や広告配信など)や国内外でのオンラインリサーチ事業等を行う同グループ。スピーディに新規事業を展開し続けていくためには、イノベーションを生み出す共有知こそ、事業の原動力だ。そこで、代表取締役CEOの宇佐美進典氏が力を注ぐのは、一人ひとりが思考し、周囲と共感し、新しい価値を創造する「自由な場」づくりである。

「AJITOは2007年10月、グループ内のコミュニケーションスペースとしてつくりました。ですがそのうち、社員がそこで懇親会を行うようになりました。さらには、クライアントも招待したりして、勉強会やセミナーが開かれるようになっていきました。

先日もスマホ市場について社内外から人がお集まりになり、情報交換会が行われたんです」(宇佐美氏、以下同)部署やグループという枠にとらわれず、自在に広がり活発化していくネットワーク。AJITOは人々の思考やコラボレーションが自発的に生み出される場になっているのだ。

一方、「OASIS」と呼ばれる社内図書館(右上写真)は、社員にとって「一人になれる場」。高い天井から降り注ぐ陽射しや、無垢の木の床は、素の自分になって読書や思索、作業するのにぴったりだ。

蔵書は数千冊。ビジネス書や技術書だけでなく、宇佐美氏が寄贈したという漫画のコレクション、小説なども目立つ。

●社内全員の“書く場”日報でコラボ、振り返り

読み、書き、考えるための重要な「場」は、リアルな空間にとどまらない。グループウェアを活用した「日報」も大きな役目を果たしている。「業務・職種に関係なく、全員が自分専用の掲示板を持っていて、そこに日報を書きます。フォーマットも内容も頻度も自由。ですから、皆好き勝手に書いています」

一般的な日報と一番異なるのは、この“好き勝手に書く”という点だ。「商談記録やスケジュールの他にも、日々気づいたことや考えたことなどを自由に書き加えている人が多いですね。ある2年目の社員は目標を書いていました。短期目標に達成すべき数字、中期目標として『ベストセールス賞をもらうこと』、長期目標に『社内外からありがとうをもらえる人に』ということを挙げていました。

プライベートな内容も、もちろん大歓迎です。出身や母校、趣味、座右の銘などを紹介する人も。『温泉に行ってきました』『ついにプロポーズします』といったものもあります(笑)」

めいめいが好きなスタイルで書くため、文章の長さも思い入れも人それぞれだ。

また、記入した日報は皆が閲覧できる。同じ部署のメンバーだけでなく、他部署のメンバーの日報も読むことができる。特に新人の日報は、グループの全員が読みやすいよう、グループウェアのトップ画面に表示される。他の人の日報にコメントをつけることも可能だ。頑張る新人を励ます人もいれば、新規開拓に悩むメンバーに「担当者を知っているから紹介するよ」と助け船を出す人も。

「テニスの壁打ちと一緒で、反応があってこそ継続する気になる」と宇佐美氏。日報は、仕事やキャリアについて考えるきっかけになると同時に、大切なコミュニケーションツールなのだ。「私自身もミーティングの後、感想や反応が知りたくて、参加したメンバーの日報をチェックしています。○○さん、ちょっと釈然としない顔をしていたけれど、本当はどう感じているんだろう、とか。

もちろん自分の日報も欠かしません。私がやめたら皆のモチベーションも下がってしまいますから」

同グループは1999年に設立したベンチャー企業だ。しかしその後急速に規模が拡大し、社員数が増えていくと、社員同士のコミュニケーションが困難になっていった。「お互いの仕事内容や思いを情報共有できたら――そんな思いから始めたのが日報です。

最初はメーリングリスト形式だったのですが、メーリングリストでは誰かが書き込むと、そのたびにリスト全員にメールが来る。そうすると、組織が拡大するにつれメールが莫大な量になり、一人ひとりの発信が埋もれてしまう。過去の履歴をさかのぼりにくく、後から入社したメンバーにも不便だと考え、2007年からグループウエアによる現在の形式に切り替えたのです」

●活用者の例・日報を書く効用

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