J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2013年12月号

おわりに これからのHRへ

日本企業のこの20 年の人事・人材開発、そして組織にはどのような変遷があったのか、簡単に特集を振り返ろう。

まず最初に、人事制度についてだが、「何をどう評価するのか」について大きな変化があった。多くの企業が1990 年代後半以降、「職能給から、仕事や役割で処遇を決める方向にシフト」していった(OPINION1 今野浩一郎氏、40 ページ)。

また、成果主義の見直しとして「評価の比重」を変更した企業もある。たとえばNTTデータでは2010年から、それまでの“行動3割、業績7割”を、“五分五分”とした(52ページ)。

成果主義の導入は、どの企業でも試行錯誤が必要だった。1990年代後半から2000 年初頭に相次いだ最初の導入では、一般的に短期的な目標を追い求めがちになったため、その後、中長期的な視点で挑戦したり、他者を気にかけ人を育てる職場を取り戻すための転換が図られたのだ。

評価者研修・被評価者研修(キヤノン、56ページ)や、人材の棚卸し会議(「水平会議」ベネッセコーポレーション、60ページ)などによるフィードバックで、評価の透明性や納得度を高める必要性が出てきたことも、大きな変化である。

職場はどう変化したのか

職場に目をやれば、コミュニケーションのとり方やマネジメントに工夫が必要になった。その理由は、1つには、人材が非常に多様化したことがある。小泉政権下での派遣の製造業への規制緩和(2004年)など、国策の影響もあり、働き方に制約を持たない正社員が中心だった時代から、派遣や契約社員といった非正規社員、また定年を過ぎて処遇の変わった高年齢の社員、外国籍社員、障害をもつ社員など、さまざまな背景や価値観を持つ人が一緒に働くようになった。

これに加えて、1990年代終わりから2000 年初頭にIT技術が発達し、PCが1人に1台あることが普通になったことも、コミュニケーションのあり方を激変させた。成果主義の導入や人員削減、組織のフラット化も相まって、一人ひとりの仕事の量や難易度が上がり、求められるスピードが速くなった。すると、従来とは異なるコミュニケーションへの配慮や、組織活性化施策、そしてOJT 機能不全への対応が必要になったのである。

キヤノンは、前述の評価者研修・被評価者研修を、2005~2007年に一度行ったうえで、2013年度に再開した。このことの背景にはまさに、コミュニケーション不足やOJTの機能への対応があるという。というのも、評価者研修・被評価者研修とは、評価基準を揃えるということだが、それは実は、上司にとっても部下にとっても、普段の仕事の仕方を確認することに他ならない。OJTをどう行い、どういう行動が自社の方針に合うのかということを再確認する機会なのである。企業規模が拡大すればするほど、皆で普段の仕事や自社のビジョンを確認する機会が必要になったといえる。

また、「働き方変革」も、近年特に注力されるようになったテーマだ。景気の低迷やグローバル化のさらなる進展、そして2011年の東日本大震災などを経て、長時間労働よりも、短時間で成果が出る働き方や生産性への注目が高まっている。

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