J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2013年12月号

CASE.2 NTTデータ 実務家が語る② 急激なグローバル化に、細やかなプロフェッショナル人材育成で対応してきた20年

成果主義、ダイバーシティ、そしてグローバル化。時代の要請を好機と捉え、節目節目で人材育成や評価制度のバージョンアップを図ってきた。その視線の先には、日本を代表するシステムインテグレーターからグローバルトップ5プレイヤーをめざす姿がある。真のプロフェッショナルとなるために一人ひとりが何をすべきかを明確化する組織を、どのように実現していったのか。

忽那 太郎 氏 執行役員 人事部長

NTTデータ
1988年、NTTから分離し設立。近年は積極的なM&Aによってグローバルビジネスが急成長、現在、拠点は世界34カ国にわたる。資本金:約1,425億2,000万円、グループ売上高:約1兆3,000億円、グループ従業員数:6万1,369名(2013年3月期)

[取材・文]=道添 進

● 人事制度転換(1998年~)年功から成果重視型へ

日本電信電話公社が民営化されてから3年後の1988 年、「データ通信事業本部」が「NTTデータ」として分社化された(本社:東京都江東区)。それは苦難の道といえる出発だった。

しかしこれが、新たな企業文化を一から築く追い風となった。ほどなく訪れたバブル崩壊とその後の10 数年において、同社は手厚い人材育成や組織活性化施策を行っていった。

「人材こそが最大の財産である、というのが創業時からの哲学です」と執行役員 人事部長の忽那太郎氏。

設立当初から毎年400人前後の新入社員を採用してきた同社にとって、大きな転換期は1998年頃に訪れた。

「それまでの年功給与型から、成果業績重視型へ移行し、処遇の見直しを図ることになったのです」(忽那氏、以下同)

処遇を成果業績重視にすると同時に、社員に能力開発・キャリアプランを考えさせる仕組みを導入。自律的に将来のキャリアプランを描けるように、全社員が年度初めに目標を立て、「チャレンジシート」に記入する。そして、能力開発の目標や、目標へどう到達するかを具体的に考える面談を上司と四半期ごとに行うようにしたのである。

次の転機は2004 年。経済界では、「お客様満足度向上」が合言葉のようになっていた頃だ。

「私たちがお客様満足度No.1を実現するためには、社員自身の仕事や会社に対する満足度を高め、能力を最大限に発揮してもらうことが重要だという考えに至ったのです」

具体的には、「人を配置する→能力開発をする→評価/処遇する→再配置する」という人材リソースマネジメントのサイクルを明確にし、それぞれのポイントで、毎年秋に実施する社員満足度調査の結果をもとに取り組みを充実させていった。たとえば、職場改善プログラム(専門家を交えたワークショップ)の実施、社員のキャリアに関する相談窓口となる「キャリアコーチングサービス」の導入、管理者の組織マネジメント力の向上に向けた「管理者向け研修体系の整備」といった施策だ。

同時にOJTだけでなく、Off -JTの社内研修を受講することも目標化した。1人年間10日間の受講を最低ラインとし、現在も実施中だ。

● 人事制度再検討(2010年~)評価制度にメリハリを

そんな中、2010 年頃に再び大きな節目がやってきた。いわゆる成果主義の見直しである。

「もちろん成果業績を重視する姿勢に変わりはなかったのですが、評価の比重を見直しました」

同社には人事評価に2つの軸がある。1つは「行動評価」、もう1つは「業績評価」だ。それまでは行動3割、業績7割という比重だったが、2010 年の見直しで行動評価の比重を高め、五分五分としたのだ。

「見直しの背景には、短期的な目標ばかりを追い求めるのではなく、中期的な展望に立って挑戦できるようにするという狙いがありました」

業績評価は客観的な数字として捉えることができる。しかしこの「行動」については、どのように評価しているのだろうか。

「企業の目標と個人のキャリアをどう摺り合わせていけばよいかという観点から考えていきました」

企業の目標としては、「Global ITInnovator」という言葉をグループビジョンとして掲げ、それを実践するにあたり大切にする3つの価値を設けている。「Clients First」「Foresight」そして「Teamwork」だ。そしてこれを、「挑戦、連携・貢献、構想・実現」という行動ガイドラインの観点から、社員がどう日常行動で実行しているかを見ていくようにしたのだ。

人事制度に関連したその他の大きな動きには、65歳定年延長がある。同社社員の要員構成は、高年齢が少なく若い世代ほど人数が多いというピラミッド構造である。しかしこの数年で、設立当時に入社した社員が50 代にさしかかり始めた。

「年齢が上がっても気概を持って仕事に取り組んでもらえるよう、挑戦したらきちんと報われる仕組みを整備中です」

若年層には、年功と共に昇給するシステムを維持する。だが、中堅以降のベテランは、累積的な昇給はできるだけ減らし、その時点での職務やパフォーマンスを評価するよう、メリハリの利いた評価制度へと見直しを図っているという。

● グローバル化施策(2007年頃~)人材育成を軸としたグローバル化

グローバル化やグローバル人材育成という面では、どんな変化があったのだろうか。

同社は2013年3月期からの中期経営計画で、米国ガートナーグループが毎年発表するITサービス分野の売上ランキングで「Global Top 5」に入ることを目標にしている。そして、これを達成するために、「Global Off ering」「Global Accounts」「Global Talents」の3つを重視している。

「Global Offering」とは、世界の顧客に対して提供する製品やサービスを体系化するということ。「GlobalAccounts」とは、世界市場での顧客を全世界でサポートするということ。そして3つめの「Global Talents」とは、世界中からの優秀な人材の確保と育成をするということである。

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