J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2014年08月号

CASE.2 日立金属(タイ) 日本人赴任者の人選に現地人スタッフの意向を反映させる

現地化を徹底する――。日立金属のグローバルマネジメントの流儀だ。現地スタッフをマネジャーとして任用し、日本人駐在員は彼らのコーディネーターの役割に徹する。こうした仕組みを回すカギが「お互いの信頼関係をいかに築けるか」だと説く同社タイ法人社長の人材育成術とは。

中西 壮一 氏 Hitachi Metals (Thailand) Ltd. 社長

Hitachi Metals (Thailand) Ltd.
1991年設立。高級金属製品・資材、電子、ITデバイス、高級高性能部品・機器等の販売・サービスの提供、携帯電話用電気部品、コイル、雑音防止部品、電動カッター部品の製造・販売、ドリル、エンドミル用切削工具の製造・販売などを主な事業としている。従業員数:1200名(うち日本人駐在員8名;2014年6月現在)

[取材・文]=近田 高志(JMA) [写真]=日立金属(タイ)提供

●人材マネジメントの基本徹底した現地化

「本当は、社長の執務室は建屋の奥の小さい部屋でいいと言ったのだけど、社員たちが入口の大きな部屋でないと困ると言うもので・・・・・・」日立金属タイの中西壮一社長は、照れくさそうに笑みを浮かべながら筆者を出迎えた。タイに着任して13年。大手日系企業の現地法人の社長でこれほど在任期間が長いことは稀だろう。それだけ現地からの信任が厚く、拠点長として余人をもって代えることができない人物であることの証しである。「2011年の洪水の時に、日本人だけでは何もできなかったでしょう。現地社員の的確な対処と潜在能力を実感しました」と中西氏は語る。同社のマネジメントの特徴は、徹底した現地化にある。「プロダクト・マネジャー制度」をとっており、9つある製品群それぞれをタイ人マネジャーに任せ、日本人駐在員はコーディネーターの役割に徹している。各マネジャーに収益責任を持たせ、間接コストの内訳も含め情報を共有することで、コスト意識、経営参画意識を醸成している。極めつきは、赴任する日本人駐在員の人選の際に、現地社員の意向が反映されることだ。

「現地スタッフは創業22年の経験を積み、相当に習熟レベルが上がっています。彼らは日本人駐在員の経費水準(現地マネジャーの10倍)を知っているから、それ相当の働きをしないと現地の社員から相手にされません。駐在候補者が事前出張で現地を訪れた後に、受け入れるかどうかを社員に確認して、『まあまあ』という回答なら、赴任を見送ってもらいます」中西氏はむしろ誇らしげに、そう語る。これだけの信頼関係があるからこそ、現地のスタッフも経営側の期待に応えるのだろう。工場内には、改善テーマについて社員たちが議論や実験をするスペースがあり、日々、社員が自主的に改善のアイデアを共有し、生産性向上に取り組んでいる。そのミーティング自体が社員のスキルアップの場にもなっている。また工場内の生産設備についても、社員自らのアイデアによって、より省スペースで使いやすいように内製化するなど、自分たちで課題を見つけ、対策を講じる風土が、同社にはできあがっている。

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