連載 新しきは足下にあり 第12 回 武蔵に学ぶ「販売戦略」
経営書として読める「五輪書」
高名な剣豪宮本武蔵の著した「五輪書」には、剣の道の奥儀が数多く示されています。
興味深いことにこの書物は、単に武道書として有効であるばかりでなく、経営書として読んでも得るところ大なのは、世阿弥の「風姿花伝」と同様のところであります。
武蔵は、自己の長年の鍛練と実戦の経験から得た秘伝を、兵法書として開陳していますから、いわば、戦略の書ともいえます。
そこで、これを販売戦略の実践の手引として読みますと、現代のビジネス社会にも通用しヽ大変有意義な教えを受けることができます。
まず、武蔵は冒頭次のようにいいます。
「夫兵法(それへいほう)といふ事、武家の法なり。将たるものは、とりわき此法(このほう)をおこなひ、卒(そつ)たるものも、此道(このみち)を知るべき事也。今世の中に兵法の道たしかにわきまへたるといふ武士な凵
兵法、つまり戦略は、武士、現代においてはビジネスマンにとって必須のものである。将、幹部社員は当たり前、卒、一般社員といえども知るべきことであるが、近頃は世の中にしっかりと修得したビジネスマンがいないのは、何たることだろう。
さらに次のようにいいます。