連載 人材情報マネジメントの変化を読む 第3 回 BPOによる業務構造改革
人事業務におけるBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)というと、「給与計算を外出しする」というように、一部の定型業務を切り出すイメージが強い。BPO は業務効率化を図るための有効な手法ではあるが、単なる定型業務の外部委託という考え方では、人事部は本来の目的を果たしているとは言いがたい。社内における人事の果たすべき役割を捉え直し、その変革を実現するための一選択肢という位置づけで検討されるべきである。
人事を取り巻く環境変化
人事業務におけるBPOの必要性に触れる前に、その背景を整理してみたい。
昨今人事変革の必要性が叫ばれているが、その背景では次のような現象が起きている。
①個人と会社との関係の変化
個人の会社に対する就業意識や就業動機に変化が見られ、個人と会社との契約関係も変わりつつある。
当社でも個人と会社の契約関係を見直し、定年まで勤められる通常の無期雇用契約のほかに、2年単位の有期雇用契約(「プロフェッショナルコントラクト」)や、個人事業主となって会社と1年単位で契約を更改していく「セルフエンプロイド」といった制度を約2年前に導入した。制度導入以来、いずれの契約も少しずつ増えており、こうしたことからも個人と会社との関係は、ここ数年の間に非常に早い速度で変わってきていると感じている。
②加速する人材流動化
会社側では、必要な時に必要な人材を確保し、必要がない時には開放するというオンデマンド的な雇用が増えており、就業者側も、一つの会社に勤め続けて部長や役員になるということだけがモチベーションの源泉にはなっていない。むしろスキルのある人間ほど長く居つかなくなってきている傾向がある。
③成果主義の浸透
メリット・デメリットがいろいろと指摘されている成果主義だが、好むと好まざるとにかかわらず受け入れざるを得ないというのが全体的な傾向ではないだろうか。そのなかで、成果をアピールしやすい領域とそうではない領域とですみ分けが図られていくと思われる。
④ 2007 年問題
団塊の世代の退職を控え、労働力をどう補うか、またその人たちの能力をどう継承していくかが大きな課題となっている。
⑤キャリア形成の多様化
個人の価値観の多様化に伴い、キャリアに対する考え方も多様化している。