J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2017年11月号

寺田佳子のまなまな 第23 回 美容皮膚科医 西川礼華さんに聞く 自分の道を切り拓く“真の女子力”

美容皮膚科の医師であり、NGO「ガール・パワー」の専務理事であり、文化人タレントでもある西川礼華さんが今回の「まなまな」のお相手。
3つの顔を持ちながら、女子力も超ハイレベルという女性です。
別に魔法を使っているわけではありません。
もともとの彼女は“憧れる力”が強い、ごく普通の女の子だったのです―

西川礼華(にしかわ あやか)氏
医師、Girl Power(一般社団法人日本女子力推進事業団)専務理事。横浜市立大学医学部卒業。ウィーン医科大学での皮膚科学勉強を経て、2015 年より湘南美容外科クリニックで美容皮膚科医として従事。2013年よりGirl Powerの専務理事として講演、セミナーなど「女性のエンパワーメント」を中心とした啓発活動を行う。

寺田佳子(てらだよしこ)氏
インストラクショナルデザイナー、ジェイ・キャスト常務執行役員、IDコンサルティング代表取締役、日本イーラーニングコンソーシアム理事、IT人材育成事業者協議会理事、熊本大学大学院教授システム学専攻講師、日本大学生産工学部非常勤講師。著書に『学ぶ気・やる気を育てる技術』(JMAM)など。https://www.facebook.com/InstructionalDesignConsulting/

仕事と生活の両立はムリ?

今回の「まなまな」は、夜の小学校が舞台である。遅い時間にも関わらず玄関ホールには足早に行き来する影があるし、暗い中庭には不思議なシルエットが踊っているし、長い廊下の奥からは時折かん高い笑い声が響いてくる……。ちょっとドキドキする“学校の怪談”—ではない。ここは旧東京都新宿区立四谷第五小学校。吉本興業の東京本部なのである。

その教室の黒板の前で、颯爽と白衣をはおって微笑むのがインタビューのお相手、西川礼華(あやか) さん。美容皮膚科の医師であり、女性が自由に生きるための女子教育を提供するNGO「一般社団法人日本女子力推進事業団(略称:ガール・パワー)」の専務理事であり、2016 年からはよしもとクリエイティブ・エージェンシーの文化人タレントとしても活動を始めた。

それにしても……。

(一人三役をこなしながらの、このキラキラ感は何!?)

と、“女子”の端くれとしては非常に気になるところだが、それはさておき、まず伺いたいのが、医師という職業を選んだ動機である。

「実は、小・中・高と“数学大好き”女子で、大学進学を考える頃には、将来は数学者になりたい、なんて考えていたんです」

その典型的な理系女子=“リケジョ”の娘に、両親が薦めたのが医者の道だった。

ちょうど、ご近所に理想のロールモデルがいた。ご主人と一緒にクリニックを開いている女医さんで、子育てしながら仕事もバリバリこなす素敵な人だった。さらにテレビの中にも、恰好のロールモデルを見つけた。当時大人気のドラマの主人公である若き女性救命医で、そのクールな仕事ぶりを観るたびに「カッコいいなぁ」とトキめいたものだ。

というわけで、「カッコいいから」という動機で医学部に進んだ夢見るリケジョだったが、卒業して研修医になると、ドラマと現実の大きなギャップに愕然とする。実際の医療の現場はまさに3K、つまり「キツイ、キタナイ、キケン」だったのだ。だが、周囲を見ると、キャリア優先で過労ギリギリまで歯を食いしばって頑張る女医さんがいる一方、家庭優先で定時に帰り、「あの人は5時までの人だから……」と陰で言われて肩身が狭そうな女医さんもいた。

キャリアもプライベートもカッコよくなんて、ムリなのかもって不安になったんですね?

「ええ……。こんなキモチで人の命を預かる仕事に就いていいのかしらと、心が大きく揺れました」

働き方を決めるのは自分

そんな時に誘われたのが、ガール・パワーの活動だった。女子力をアップするために女子教育を支援するというミッションに惹かれた。なにしろ3K職場で自分自身の女子力が危うくなっていた時期である。違う世界をのぞいたら、何かが変わるような気がしたのだ。とはいえ研修医生活はハードである。睡眠時間が1~2時間ということもよくあった。それでも、思い切って医者の世界の外に飛び出してみると、今まで自分がどんなに狭い世界で堂々巡りをしていたのかが分かってきた。女子が力を発揮する方法は多様だし、世界は思ったよりずっと広い。そう気持ちが前向きになると、不思議なことに仕事のパフォーマンスも上がった。

睡眠不足でボロボロになりながら2年間の臨床研修を修了したにもかかわらず、父親が赴任していたウィーンに留学し、もう一度医学を勉強し直す決意をしたのも、日本の医療現場にはない何かが待っているという、女子の直感からかもしれない。「医局に入らないの?」「もったいなくない?」と周りは心配したが、もっと広い世界を見たくて向かったウィーンで、
「すごくカッコいい女医さんたちに出会ったんです!」

へぇ、カッコいい、ってどんなふうに?

「家庭を持って、子どもを育てながらも、実にサバサバとした“オトコマエ”な仕事ぶりなんです。男性以上の結果を出しているのに、仕事に振り回されることがない。時間が来ると『それじゃあ、お先~!』と妻や母の顔になって颯爽と帰る姿を見て、あぁ、やっと憧れのロールモデルを見つけた、って嬉しくなりました」

ひと口に“オトコマエ”と言っても、それぞれの働き方、ライフスタイル、価値観は多様だった。だから、ウィーンの女医さんたちは、自分らしさを大事にし、自分の意見を主張することに躊躇(ちゅうちょ)しなかった。個性を発揮することは、自分にとっても、患者さまにとっても、組織にとっても、大きなプラスになるという信念があるようだった。その豊かな多様性が組織の大きなパワーになっているのは、個々人の自主性・自律性を最大限に受け入れる力、すなわちインクルージョン(受容性)がしっかり根づいているからだ、ということも知った。

つまり、空気を読むとか、忖度するとか、陰でこそこそ愚痴るとか、そんな文化とは真逆だった、ってことですね?

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