J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2017年08月号

スペシャルコラム 88歳でも、現役で活躍 目標があるから、頑張れる!生涯、生き生き働き続ける秘訣

化粧品製造・販売大手のポーラには、現在約4万2000人の
ビューティーディレクター(美容部員)が登録している。
そのうち約2600人は80 代、約300人は90 代の女性だ。
彼女たちは、若手にとってのロールモデルとなり、
「若い子に負けていられない」「後輩をもっと育てなきゃ」と、
モチベーションを高めているという。
現役ビューティーディレクターとして働く、千葉県船橋市のポーラ大志ショップ
ショップマネージャーの檜山八重氏(88)に、いつまでも現役として活躍し続ける秘訣を聞いた。


檜山八重(ひやま やえ)氏
ポーラ大志ショップ ショップマネージャー

1929 年、茨城県生まれ。1971 年、知人の勧めでポーラに登録。新人時代から全国トップクラスの成績を収め、本社から表彰された実績もある、この道46 年のカリスマビューティーディレクター。1日に必ず1~2軒は顧客を訪問し、メークアドバイスやヘアケア品など幅広い美容提案を行う。卓越した技術ときめ細やかな接客で、現在も多くの顧客の心をつかんでいる。

ポーラ
1929 年、静岡で創業。国内外の百貨店などに出店する他、全国に約4 万2000 名のビューティーディレクターを有し、専門店を通じて化粧品・健康食品などの販売を行う。「Science.Art.Love.」を企業理念に掲げ、女性に驚きと感動を届ける事業を展開する。
資本金:1億1000 万円、売上高:1161 億2600 万円(2016 年12 月期)、従業員数:1216 名(2016 年12 月末日時点)

[取材・文]=瀧川美里 [写真]=編集部

奉仕の気持ちがお客様に伝わる

―いつからポーラで働いているのですか?

檜山

1971年、41歳の時に美容部員として登録しました。

きっかけは、もともと美容が好きだったから。美容学校に通っていたし、着付けや日本髪、美顔術なども習っていました。子どもが生まれた時に、子育てをしながら働ける仕事を探していたら、たまたま友達に「ポーラにこういう仕事があるのよ」と誘われて、講習会に参加してみたんです。そこで「面白そう、素敵なお仕事だな」と思って登録を決めました。

ポーラレディ(ビューティーディレクターの旧称)の仕事は、お客様のお宅を訪問して、きれいにしてさしあげること。そうして大好きな美容に関われることや、お客様に喜んでいただけることが楽しかったんです。やっぱり、人に喜んでいただけたらうれしいじゃないですか。それを毎日繰り返しているうちに、お客様もどんどん増えていきました。

―お客様に喜んでもらうために、具体的にどんなことをしていますか?

檜山

私は、ただ商品を売るだけではなくて、お顔のお手入れもしていました。それが好きだったから。そうしたら、いつの間にか長い時間が経ってしまって。現在担当しているお客様は、70 ~ 80人で、中には40 年以上のお付き合いになる方もいるんですよ。そうなると親戚以上の付き合いですね。

今でもお客様と接する時は、商品のお届けに加え、必ずお顔のお手入れをしています。肌のお手入れをしてさしあげることで、本当の人間関係ができるのかなと思います。肌に触れると、お互いに許し合える仲になれますよね。お手入れに関しては、商品代だけはもらうけど、お手入れの代金は頂きません。上司にいつも、「商品を販売することが奉仕じゃないよ。お手入れをすることが奉仕だよ」と教わっていて、それが習慣づいていたんですね。そんな奉仕の気持ちがお客様にも伝わるのかな。

お客様のお子さんの七五三の時に、朝5時起きで駆けつけて、無償で着付けをしてさしあげることもたくさんありました。やはり、求めるより奉仕が先ですよね。そういう精神は上司の教えだから、きっと上司がよかったのだと思います。

目標があったから頑張れた

―この仕事を続けられて47年目になります。それも、当時の上司の影響が大きいのでしょうか。

檜山

そうですね。正直、新人の頃はお客様のところに行くのも怖かったんです。お宅に行っても、「どうやって入ろうかしら」「チャイムを押したけど、出てこなかったらいいな」と思ったこともずいぶんあります。

でも、「この人についていけば、間違いない」「この人のようになりたい」と思える尊敬できる上司がいたから、続けることができました。たくさん指導していただく中で、お客様にどう向き合うべきか、奉仕の精神も教えていただきました。

と言っても、当時は上司に感謝する余裕はありませんでした。とても厳しくて、毎日怒られていたんです。怒られた時は、「一生懸命やっているのに、どうしてこんなに怒られるんだろう」と思って、悔しくて涙が出てね。「明日辞めようか」なんて思うことも何度もありました。でも、時間が経ってから、「それはみんな私のために言ってくれたんだ」と分かるわけ。例えばお客様のところに行って指導された通りにやって、商品が売れると「厳しかったのは愛のムチで、こうしてちゃんと結果に跳ね返ってくるんだな」と思えることがたくさんありました。

―ポーラで働き始めた時は、今の年齢になるまで仕事を続けると思っていましたか?

檜山

とても思っていなかったわよ。「60 歳まで頑張ろう」と思っていたのに、60 歳を過ぎてしまったから、「あら、じゃあ70歳まで」「80歳まで」と続けてきました。

続けられた理由は、上司はもちろん、職場のメンバーもよかったからですね。同僚たちとはお互いに切磋琢磨していたし、周囲にライバルや目標にしたい人がたくさんいたんです。

上司も、「今月の目標はいくら」と指針を立ててくれるから、それに素直についていけば達成できる。難しく思える数字でも、「先輩に倣って頑張れば、自分にも達成できるんじゃないか」と思えました。自分の気持ちと努力と、「こうしよう」という目標が、私を頑張らせてくれたのだと思います。

それから、何よりお客様の存在が仕事を続ける意欲を引き出してくれています。今は一人暮らしで自由なので、休日は特に決めておらず、お客様からご連絡があれば、その都度、伺っています。「○○がなくなったんだけど、いつ来てくれる?」とお電話がかかってきますから。いつもお客様には元気を頂いていて、感謝の気持ちしかありません。

やっぱり大事なのは、お互いの信頼関係かな。「あの人は嘘をつかないし、ごまかさない」というのはお付き合いの基本ですからね。それがお客様との人間関係を築く基盤になっているのかなと思います。

―大志ショップでは檜山さんの下で7、8名のビューティーディレクターが働いていらっしゃいますが、指導をされることはありますか?

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