第66回 英語以前にやることがあるゼヨっ! 龍馬に学ぶグローバルビジネスで必要なこと

英語ヒステリーはやめにして、英語と自然体でつきあっていこう、と述べたのが前回。

もとはと言えば、9月上旬にNHKで放映された番組で、私のコメントの真意を伝えたかったのが、前々回からの英語の問題を取り上げた経緯である。

NHKと言えば、私もハマっているのが、今年の大河ドラマ「龍馬伝」。このMLでも紹介したあのドラマ「ハゲタカ」の大友啓史監督が演出をされているだけあって、画面の緊迫感がものすごい。孫正義氏がツイッターで語っているのでも有名だ。

さて、私はちょっと変わった視点で、「龍馬伝」に見る龍馬について解説したい。実は、龍馬にグローバルで戦っていくために、特に日本人が最も必要なものを見出したのだ。

● ものおじしない、かしこまらせない

 ドラマでの龍馬の口癖に気がついた。次第に力をつけ、名前も知られてきた龍馬に対して、かしこまりながら接している人に対して、必ず言うのが「かしこまらんで・・」というセリフ。目上の人間に対して、礼節をわきまえるのは必要であるが、あまりにもかしこまりすぎて、思考をとめている日本人が多いと私は見ている。特に組織の中ではそれが目につく。誰に対しても、自分の考えを言うべきことは言い、遠慮はしないでやってきた龍馬は、自分に接する相手に対しても、同じ立場をつらぬいている。ものおじしない態度は、時として尊大に見られることがあることも理解できる。但し、本当に自分のやりたいこと、世の中に役立てることだったら遠慮する必要はない。うわべでは、かしこまっているようなそぶりだけ見せても、面従腹背では通用しない。ものおじしないけれど、実は謙虚である、という姿勢は成り立つのだ。

● 誰からも学ぶ

 明治維新の『新政府綱領八策』の素案で、龍馬が書いたとされる「船中八策」。ドラマの中では、龍馬がそれまで出会ってきたいろいろな人からの学びをふりかえりながら、まとめていくシーンがあった。良いことと思ったら、相手が誰であろうと、まず直接会って、耳を傾ける、龍馬は「学習するチェンジ・リーダー」だった。これもグローバルビジネスに限らず、「多異変な時代」を生き抜く大事な姿勢だ。

● 明るく笑う

福沢諭吉が「学問のすすめ」の中でもふれているのが、仏頂面をしていないで、明るくしていろ、ということ。困難なことに出会っても、笑顔で周りの人を巻き込み、雰囲気を変えることができるのはリーダーの重要な資質。以前、NHKで紹介していた宇宙飛行士の最終条件は「雰囲気を変えることができるか?」と言う点だった。極限の状況の中でもジョークの一つでも言いながら、仲間のモチベーションをあげることができるか、否かはNASAでも重視していたのだった。

● 覚悟はあるか、コミットメントはあるのか

以前、カルロス・ゴーンが日産の変革を進めていたとき、コミットメント=必達目標と訳していた。私は、腹をくくっているか、つまり覚悟と訳してもいいと思っている。まさに腹をくくっているからこそ、困難があっても前に進めるわけだ。

以上を見ていると、これこそ、英語以前の問題として、グローバルビジネスで日本人が誇りを持って活躍するための必須要件だ、と気づいた。

最終回まで、あとわずか。これまで見逃していた人にも、是非、「龍馬伝」はお勧めしたい。