第48回 全球化への人材対応
先日、日本を代表するある企業でのセッション。20数名の参加者の中でただ一人、中国人の女性がいた。テーマはグローバルビジネスリーダー研修。このセッションは全て日本語で行っていたのだが、彼女は私のハイスピードインタラクションの中で、最も、的確な発言を多くしていた参加者の一人であった。加えて、論理クイズでは参加者の間で最も優秀な成績を残していた。その時、デジャブ感があった。
そう言えば、同じく日本の代表的企業で新人向けの「思考力強化研修」をやっていたときのことだ。参加者50名中、日本語を流ちょうに話す外国人新入社員が3人いた。彼らはそれぞれ、マレーシア、台湾、中国出身であった。母国の大学を出て、日本の大学や大学院も卒業している大変優秀な参加者で、実際、やはり3人のうち2人が、論理クイズの最高得点を出していた。
もちろん、彼等彼女達から、外国人、特にアジア人が優秀であると結論づけることはしない。ただ、彼等彼女達のような人材が急速に増え、まだ少数派ながら、日本企業でのキャリアを考えるアジア人は少なくない。これからの日本企業の課題はこうしたアジアの人材を獲得し、残ってもらえるように、いわゆるA(アトラクション)& R(リテンション)競争の中で、欧米企業だけではなく、韓国企業や中国企業に負けないようできるかだ。そのためには、多様性を受け入れる風土づくりが日本本社の中でも求められるが、これがなかなか進まないということは再三指摘してきた。
そう言えば、前回、対談本を紹介したが、大前さんが台湾、インド、中国あたりで講演をすると桁違いの参加者になるという。彼等彼女達がいかに知的興味にハングリーで、全球化していく舞台での活躍を望んでいることがうかがえる。ハングリーという点では、旧ロシア圏、東欧、そしてアフリカの湾岸地区なども同様だ。
ここで考えるクイズをだしたい。
Critical Thinking and Problem-Solving (クリティカル思考と問題解決力)
Collaboration across Networks and Leading by Influence (ネットワークの中でのコラボ力と影響力によるリーダーシップ)
Agility and Adaptability (俊敏性と適応力)
Initiative and Entrepreneurialism (イニシアティヴと起業家精神)
Effective Oral and Written Communication (効果的なコミュニケーション能力)
Accessing and Analyzing Information (情報へのアクセスと分析力)
Curiosity and Imagination (好奇心と創造力)
上記は、7つのサバイバルスキルだ。さて、問題は「誰にとっての」のサバイバルスキルだろうか?グローバルリーダーとか、ビジネスパーソンと答えたくならないだろうか。
実は答えは、「今日の十代」だ。全米の学校教育で話題になっている、トニー・ワグナーのThe Global Competency Gapという本に記されている。中国、インドなどに負けないように、全米の教育をもっと充実させるべし、という主張だ。
日本の教育界は果たして、どこまで全球化を視野に入れているのだろう?