第35回 アジアで英語でファシる!
前回は上海に行く途中だったが、結局、先月は上海が2回、シンガポールが 1回、毎週日曜日は成田から出発するか、到着するという状況であった。
シンガポールはある日系企業向けセッション。アジアの現地法人の日本人とナショナルスタッフのジョイントワークショップだ。同企業のクライアント各社が急速にグローバル化を進める中、いかに日本人とナショナルスタッフが協業しながらクライアントニーズにこたえていくのかが課題であった。
上海ではインタビュー終了後、3日間のセッション。これは前回述べた3社、 9カ国の国籍メンバーのチーム開発、組織開発案件であった。
私はもともと92年からシリコンバレーでこのようなプロセス・コンサルティングの経験し、英語でファシリテーションを行う(以下、「英語でファシる」と表記)ことにはある程度なれていた。加えて、この数年間、日系企業の海外現地法人向けにクリティカルシンキング、チェンジマネジメントのワークショップも行っている。外資系企業の案件では必要に応じて英語でファシることもある。つまり、過去16年間、コンサルと研修の両方で英語でファシってきたといえる。
日本人参加者と外国人参加者の双方の参加者がいる場合、英語だけではなく、当然、日本語でも補助的な説明を行うことがある。実は、この些細なことが大きな意味合いを持つ。外資系だけではなく、今や日本企業もようやくグローバルワークショップを行うようになってきた。例えば人事関連者を各国から集めて行うグローバルHRセッションを行う企業は珍しくない。その際、アメリカ人などの「英語圏ファシリテーター」が行うと、日本人や英語がそれほど堪能ではないアジア人参加者が内容についていけないことがある。特に日本人は「わかったふり」をしてしまい、それを見ながら米国人ファシリテーターがどんどん先に進めてしまう、ということがおきるのだ。日本人だけではなく、ベトナム、タイあたりの参加者も遮って確認をとる、ということはまずしない。それを行うのはインド人、シンガポール人、そしてラテン諸国の参加者だ。(もちろんある程度ステレオタイプではあるが)英語のネイティブスピーカではない、私がファシると英語のノンネイティブも参加しやすいのだ。
今回、上海でファシっていた時、気がついたことがある。参加した中国人はもちろんある程度、英語は使える。但し、かなり込み入った経営課題を英語でディスカッションするとなると、やはり厳しいという参加者もいた。そのような時は、フリップチャートに漢字で書くと彼らの理解は格段と上がった。私は中国語はできない。但し、拙著ロジカルリスニングは中国語翻訳版がある。例えば、コンフリクトマネジメントのキーワードを書いて共有すると、すぐに理解してくれたのだ。
我田引水を敢えて言うなら、英語でファシるニーズは今、アジアで急増している。アジアにいる日本人の皆さん、臆することなく、漢字も書きながら、英語でファシってほしい!