第25回 グローバルリーダーに求められるもの

いま、Global Business Leader Program(GBL:JMA主催)の第3ラウンドを終えて、欧州から日本に向かう機内にいる。今回はGBLの中間報告を兼ねてこのテーマを考えたい。

まず、GBLについてちょっと紹介しておこう。これは日本発のグローバルビジネスリーダーを育てようという趣旨でデザインされた、半年にわたるアクションラーニングのプログラムである。

個人のアセスメントから始まり、5月にはグローバル経営のケース・ディスカッション、6月はEUからのビジネスパーソンとのジョイントセッション、政治、経済、文化にわたる各分野のゲストスピーカとの対話を行い、今回は10日にわたるヨーロッパでのセッションを終えたところだ。

今回、GBLに参加したのは、日本を代表する企業10社から、10名。年齢がちょうど40から49歳なので、「We are フォーティーズ」ということになった。

この欧州ラウンドでは、イギリスの歴史ある経営者団体、Institute of Directorで始まった。ガバナンス、ステークホルダーとの関係について討議やサッチャー政権の時の元厚生大臣との対話ができた。フランスでは、ベンチャーサミットへの参加、上院議員と各企業幹部との合同セッション、スイスでは戦後、ドイツとフランスの和解に貢献したことで有名な世界的なNGOであるCaux Round Table ? Initiatives of Changeでのワーク ショップに参加と盛りだくさんの内容だ。

しかも、この合間に3~4名のサブチームでアクションラーニングで扱う課題設定のために企業訪問も行うというハードスケジュールだ。当然、訪問企業へのアポイントも参加者が自分たちで行わなければならない。

国内でのセッションでは、EUとの合同ワークショップを除くと、これまで日本語で行っていたのだが、今回は当然英語で対話をしなければならない。日本の状況や各社の戦略をプレゼンしたり、企業訪問のインタビューを行うからである。もちろん、参加者10名中7名までは海外赴任経験者ということで、英語に慣れている方がほとんどである。

しかし、それでもそう簡単ではなさそうだ。普段の業務とは異なる環境 で対話を行い、それも自分たちが相手から学ぶだけではなく、相手にとっ ても有意義な時間が持てるような会話をするには当然英語や話術だけでは なく、「それ以外の何か」が必要なのだ。

いま、参加者は着実にそれが何かをつかみつつある。各社から選ばれた「フォーティーズ」にとって仕事の知識は問題ない。それぞれの責任と役割を全うするビジネススキルにも長けた参加者なのだ。

しかし、グローバルビジネスリーダーを目指すためには、それだけでは不十分だ。社内で経験を積み、英語力やビジネススキルを磨くだけでは届かない、何かが存在するのだ。実は、このプログラムの主任講師を担当させてもらっている私自身もこの課題の大きさに改めて気がついた。

「グローバルセンス」「国際感覚」というようなことばではかたずけたくない。それが何か、次回ちょうど、GBLの第4ラウンド、今度はアメリカでのセッションを終えたころ報告したい。