VUCA時代の問題解決に必要な 「ぶれない人間力」を高める 「今こそ名著」シリーズ

多様性が増し、前例のない仕事が増える中で、問題を解決していくためには「ぶれない人間力」が必要だ。そこで、日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)では、人類の普遍的な知恵である古典に学び、人間力を高める「今こそ名著」シリーズを、出版と通信教育の双方で展開している。企画のねらいや書籍・教材の特長などについて、企画を担当した黒川剛氏(出版)と西山朋樹氏(通信教育)に聞いた。


黒川 剛氏
出版事業本部
出版部長

西山朋樹氏
パーソナル・ラーニング事業本部
通信教育開発2 部
担当マネジャー

●お問い合わせ先
株式会社日本能率協会マネジメントセンター
〒103-6009 東京都中央区日本橋2-7-1
東京日本橋タワー
TEL:03-6362-4343
FAX:03-6362-4664
E-mail:contact@jmam.co.jp
URL:http://www.jmam.co.jp

名著で人間力を高める

「今こそ名著」は、JMAMが今年スタートした、書籍と通信教育の新シリーズである。現在、新渡戸稲造の『武士道』、渋沢栄一の『論語と算盤(そろばん)』、そして『孫子の兵法』の3タイトルが提供されている。同シリーズを開発した理由について、黒川氏は次のように語る。

「ビジネスパーソンの教育といえば、MBAなどの知識やビジネススキルの教育が一般的ですが、これからの時代を考えると、教養やリベラルアーツを身につけて人間性を高めていくことも重要です。教養を身につけるために着目したのが『名著』といわれる古典です。長年にわたり読み継がれているものの中にこそ、人間性を高めるためのエッセンスがあるのではないかと考えたのです。

そこで、数多くの古典の中から、日本のビジネスパーソンがまずは読んでおきたい古典として、この3冊を選びました。企画化に当たり、この3冊を読み返してみたところ、書かれた時代は異なりますが、我々が今、直面している課題に相通じる部分が多いと改めて感じました」

古典に学ぶことは、問題解決にも役立つと西山氏は話す。

「VUCA※といわれる環境の中で、これまでに身につけたスキルや経験だけでは、直面する問題を解決することが難しくなっています。そこで求められるのは、不確実な状況の中でも、状況に左右されず、自分なりの判断を下すことのできる、ぶれない人間力です。人間力とは、人間としての幅と深みと言えます。幅と深みを増すには、個人の経験だけでは限界があります。そこで、時代や国を超えて語り継がれてきた古典を読むことで、人間としての幅と深みを、さらに増すことができると考えています」

※VUCA……Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をつなげた言葉。現代の予測困難な社会経済状況を表している。

古典に学ぶハードルを低く

古典を読んで教養を身につけたいと思ってはいても、ハードルの高さを感じて行動に移せずにいるビジネスパーソンは多いはずだ。そこで、「今こそ名著」シリーズには、古典に学ぶことのハードルを低くするためのさまざまな工夫が施されている。

最大の特長は、それぞれの名著を、現代のビジネスパーソンに求められるテーマに結びつけて読み解けるようにしているところだ。それぞれのテーマは、「『武士道』に学ぶインテグリティ(=真摯さ、ぶれない姿勢など)」「『論語と算盤』に学ぶビジネスマインド」「『孫子の兵法』に学ぶこころざし(=心の持ち方、信念、判断の拠り所)」となっている。黒川氏が『武士道』を例に説明する。

「欧米のビジネスリーダーに必須の資質・価値観の1つにインテグリティがありますが、日本人にはイメージしづらいところがあります。『武士道』には、『義』『礼』『仁』など、日本人がずっと大切にしてきた徳目があり、これらを学ぶことで、インテグリティを身につけられるようにしています」

書籍は現代語訳とし、用語解説を充実。また、全体を三部構成にし、第一部を時代背景の解説、第二部を本編、第三部を各テーマ(「インテグリティ」「ビジネスマインド」「こころざし」)に関連づけた解説とすることで、現代人にも読み解きやすくなっている。

2つの壁を乗り越える工夫

一方の通信教育では、書籍をテキストとして活用し、副教材の「マイノート」とレポート添削がセットされている。

「古典を読んで“自分ごと化”するためには、2つの壁があります。1つは、書かれた時代が異なるため、現代のビジネス環境に置き換えにくいこと。そしてもう1つは、書かれている内容を、自分の行動にまで落とし込むことの難しさです。通信教育では、この2つの壁を乗り越えられるような工夫をしています」(西山氏)

例えば、マイノートの第2章では、「現代に当てはめて考える」と題して、性格の対照的な2人の人物が登場し、名著の現代的な解釈について誌上ディスカッションを行う。受講者は、2人の考えを通して、現代のビジネス環境に置き換えて考えられるようになっている。そしてレポートでは、古典から学んだことを自分の仕事や生活にどう当てはめていくかを考える。古典を読み解き、現代に当てはめ、自分ごと化する──この一連の流れが仕組み化されているのである。

通信教育は書籍・マイノート・レポート添削の3点セットが基本だが、書籍を書店で購入した人が、後からマイノート・レポート添削のみの通信教育を受講することも可能になっている。

第2弾も開発中

「今こそ名著」シリーズの対象はビジネスパーソン全般だが、企業教育としては、管理職や管理職候補者の「ぶれない人間力」を高めるためのベース教育として、集合研修と組み合わせて活用することが考えられる。

「名著の読み解き方に“正解”はありません。書籍を読んだり通信教育で学んだ社員を集めて輪読をしたり、あるいは集合研修を通じて、多様な解釈を共有できると、自分の軸を磨くうえで、さらに有効だと思います」(黒川氏)

リリース以来、販売好調という「今こそ名著」シリーズ。年末には第2弾の書籍が3種類発行され、翌4月には同じ内容の通信教育が開講予定だ。第2弾の古典は、西洋・中国・日本より1冊ずつ選定されている。今後のシリーズ展開も注目される。

本記事に関するお問い合わせはこちら〔PR〕

  • 株式会社日本能率協会マネジメントセンター
  • 〒103-6009 東京都中央区日本橋2-7-1 東京日本橋タワー
  • TEL:03-6362-4343
  • FAX:03-6362-4664
  • E-mail:contact@jmam.co.jp
  • URL:http://www.jmam.co.jp