企業事例 サンケン電気 再雇用制度の見直しと50歳キャリア研修でシニア社員の活躍を支援

1946年の創業以来、パワーエレクトロニクスとその周辺領域で最適なソリューションを提供し続けるサンケン電気。ダイバーシティを推進する同社は、2013年の高年齢者雇用安定法の改正に伴い、日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)の協力により、再雇用制度を見直すと共に「50歳キャリアデザイン研修」を導入し、シニア社員の活躍を支援している。一連の取り組みについて、人材開発センター長の斉木政美氏と、同マネジャーの原哲郎氏に伺った。

斉木政美氏
サンケン電気
管理本部 総務人事統括部
人材開発センター長
原 哲郎氏
サンケン電気
管理本部 総務人事統括部
人材開発センター マネジャー
●お問い合わせ先
株式会社日本能率協会マネジメントセンター
カスタマーリレーション部
〒103-6009 東京都中央区日本橋2-7-1
東京日本橋タワー9階
TEL:03-6362-4343
FAX:03-6362-4664
E-mail:contact@jmam.co.jp
URL:http://www.jmam.co.jp
頑張れば報われる制度に
サンケン電気では、2013年の法改正以前から、再雇用率が9割を超え、再雇用後もモチベーションを維持してもらうことが課題となっていた。
「再雇用した社員には、技術やノウハウの開示や伝承、後輩の指導や育成はもちろん期待しています。しかし、それだけでなく、過去のキャリアを活かしつつ、新しい提案も行える人であってほしい。この年代になると、どうしても守りに入る傾向がありますが、あえて今までやってこなかった仕事にも取り組み、変えるべきところは変えていってほしいと考えています」(斉木氏)
そこで、法改正を機に、JMAMの協力のもと、再雇用制度の見直しを行った。再雇用者の名称を「シニアパートナー社員」に改め、従来は一般業務職と高度専門職の2つしかなかった職務を、定年前の資格、評価を反映し、再雇用後に期待される役割・職務により4つに区分する形に改めた。
また、従来は一律だった報酬額にも差をつけた。一定額だった給与は、定年前の給与や評価をベースにした一定率に変更。それまではなかった昇給も、1年間の評価を踏まえて実施。一定月数だった賞与も社員同様に業績で変動する形に改めた。評価の仕組みには、社員時代と同じ目標管理制度を導入。役割に応じた目標設定を行ったうえで、半期ごとに業績及び行動評価を行い、面談でフィードバックする。
「以前は、年金が併給されることを前提に、給与額を抑えて変動要素をなくし、安定的に年金が受給できる仕組みにしていました。しかし、年金受給年齢の段階的引き上げに伴い、トータルでの生活給の確保の観点から、給与の比重を高めました。見直し前は誰もが同じ処遇のため、『それなりでよい』という感覚がありましたが、社員時代と同じように頑張れば報われる仕組みに改めたことで、再雇用後のモチベーションの向上につながっています」(斉木氏)
キャリアを考える機会に
サンケン電気は、再雇用の制度を改めた13年に、もう1つの新たな取り組みをスタートした。それが、50歳を迎える社員を対象とした「50歳キャリアデザイン研修」である。
「13年から約10年間、当社の年齢構成のボリュームゾーンが50代になることから、この層を安定的な戦力として活用していく必要性が高まりました。そこで、65歳までの15年間を、どうモチベーションを高めながら働くか、自身のライフプランも含めて考える機会として、この研修を行うことにしました」(斉木氏)
「また、再雇用の希望者が多いため、再雇用後もそれまでと同じ仕事を継続していけるとは限りません。この研修を機に、将来起こり得る仕事の変化も意識し、より幅広い知識やスキルの習得に取り組んでほしいという考えもあります」(原氏)
研修の狙いは次の3点だ。
①自分の周囲に起こり得るこれからの環境変化を想定し、変化に適応するためにどのように対処していけばいいかを考察する
②自己の特性を理解することと併せて自己課題を明らかにし、50歳代の新たなキャリアプランを立てる
③キャリアプランを支える土台として、家庭経済(マネープラン)に関する情報と知識を獲得し、実際のプランニングに活かす
研修は表のように2日間の日程で行われる。グループワークが中心のため、1人で考えるだけでなく、さまざまなメンバーとの意見交換が新たな気づきへとつながる。

「キャリア研修に決まった答えはありません。これまでのキャリアに固執せず、キャリアをより広く捉え、いかに深く内省するかがポイントです。参加者は同年齢のため、気持ちが通じることが多く、職種や役職の違いを超えて、互いに良きアドバイザー役となり、腹を割って話すことができたようです。参加者の満足度は高いですね」(斉木氏)
サンケン電気での成果を踏まえ、2016年4月には、グループ会社の再雇用制度も同社に準じる形で改定された。それを機に、このキャリア研修を1日コースとして内製化し、グループ会社の社員を対象に実施し始めた。その講師を原氏が務めている。
「研修では、キャリア資産を棚卸しする際に、全ての仕事に必要な力である汎用性スキルの重要性を学びます。私自身、30年以上海外営業を担当してきましたが、50代後半に管理本部に異動となり、法務や教育など、それまでと全く異なる業務に就き、そこでの業務遂行を支えてくれた汎用性スキルの重要性を身をもって知りました。それだけに、50歳になるタイミングで、今後のキャリアについて考える機会を持つことは、とても大切だと思います」(原氏)
グループ全体で、制度と研修の両面からシニア社員のモチベーション向上に取り組むサンケン電気。今後のシニア世代の活躍が大いに期待される。
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