2時間で新入社員の受け入れ体制を整える「短時間OJTトレーニング」

新入社員育成のよくある課題のひとつとして、「職場の受け入れ体制ができていない」ことがあげられる。しかし、現場で実務に追われる上司や先輩社員を、研修のために職場から離すことは難しいものだ。そこで、日本能率協会マネジメントセンター(以下、JMAM)では、2時間でOJT リーダーとしてのかかわり方を学べる「短時間OJT トレーニング」(通称TOT)を開発した。今回は、「HRサミット2016」で行われたTOT の説明+体験会の様子をリポートする。

研修ラーニング事業本部
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受け入れ先の課題に応える
「新入社員の早期戦力化に有効なOJTリーダーのかかわり方」と題したTOTのプログラム説明+体験会に、約60人の人材開発担当者が詰めかけた。
講師を務めたJMAM研修ラーニング事業本部のシニアHRMコンサルタント 蕪木健司氏は、まず、新入社員の受け入れにおいて、新入社員側の準備と共に、受け入れる職場の上司・先輩の準備が必要であることを説明した。そのうえで、新入社員、上司・先輩それぞれの現状を紹介。新入社員については、JMAMが長年にわたり実施している適性検査の結果から、以前に比べて適応力(メンタルヘルス)の低い人材が増えていることを指摘。以前は画一的な指導でも良かったが、現在は柔軟な指導が求められており、新入社員へのかかわりの頻度と質を上げることが必要だと述べた。
一方、上司・先輩については、人材開発担当者からよく聞く声として、「職場の上司・先輩の基本行動ができていない」「新入社員教育で教えていることを引き継いで指導できない」「新入社員をうまく褒められない、叱れない」といった課題を示した。
しかし、こうした課題を解決するために、受け入れ先の上司・先輩を対象に研修を行いたくても、2つの理由から実施が難しいという。1つは、現場の繁忙感が半端でないこと。もう1つは、拠点が点在している場合に対象者を集めにくいことである。このような状況への対処の方向性として、蕪木氏は「短時間集中研修」と「講師が現地に出向いての研修」の2つを挙げた。
「従来の研修は1~2日かけて、じっくり行うものでした。それに対して、今回提案する研修(TOT)は、講師が現地に伺い、新入社員とのかかわり方に特化して2時間で行うプログラムです」
かかわり方のポイントを学ぶ

TOTは、「承認」と「問いかけ」という2つのかかわり方を中心にトレーニングを行う。「OJTトレーナーに必要なかかわりには、『教える』『承認する』『問いかける』『内省する』の4つがあります(図)。中でも、できるようになったことを『承認する』、できなかったことについて『問いかける』という2つのかかわり方がOJT実践のポイントになります」
TOTのプログラムは、まず、オリエンテーションでOJTに関する問題意識を共有する。そのうえで、新入社員指導の基本とポイントとして前述の4つのかかわり方を紹介する。残りの90分以上は、承認と問いかけのトレーニング(ペアロールプレイング)を行い、最後に内省のトレーニングで、自分自身のできているところ、できていないところを確認する。上司やOJTリーダーの一斉参加が難しい現場でも、同じ日の午前と午後に2回実施でき、どちらか選択できるため参加しやすく、負担感の少ない開催が可能だという。
ロープレで研修効果を体感
セッションの後半では、参加者がペアとなり、承認のトレーニングを実際に体験した。承認とは、相手の存在・行為を肯定することであり、小さなことから承認していくことが必要になる。最初のワークはOJTリーダーと新人がHRサミットに参加した後、OJTリーダーが新人に、参加したセッションのまとめを作成して報告をするように指示をするという設定だ。ロールプレイングでは、OJTリーダー役が新人役を務める人の名前を呼び、新人役が「はい!」と元気よく返事をする。OJTリーダー役は、新人役を見ながら、報告書の作成を依頼。OJTリーダーは、新人に承認の言葉をかける。
この一連の流れを、役割を変えて2回行い、終了後に感想を話し合う。会場では参加者が積極的にワークに参加し、さまざまな承認の言葉が交わされていた。
ワークが終わると蕪木氏は、「新人役をやった感想はいかがですか。たかだかこれだけのことですが、意外にうれしかったりしますよね。ビジネス経験を積まれた方でもこれだけうれしいんですから、新人はもっとうれしいでしょうね」と述べ、このワークのポイントを解説した。
「ポイントは、単に『できているね』ではなく、良いところをはっきりと示してあげることです。メモや復唱ができていることを、承認の言葉の中に必ず入れてください。『メモと復唱があると、安心してお願いできるよ』『仕事を受ける基本ができているね』──こんな言葉をかけられると、新人は、次に仕事の依頼を受けた時も同じようにやろうと思い、行動が強化されます」
承認で大事になるのがボキャブラリーの豊富さだ。次のワークでは、承認ワード(褒め言葉)を1分間でどれだけ出せるかに取り組み、参加者同士で紹介し合った。さらに、もう1つ大事なこととして挙げられたのが、どの状況のどんな行動が良かったのかを特定することだ。「『最近、なんか燃えている感じがしていいね』なんて言われても、『いったい何を見て言っているんだ?』と、かえって不安な気持ちになりますよね」という蕪木氏の言葉に、多くの参加者が笑いながらうなずいていた。
このように、ロールプレイングを行いながら、短時間でかかわり方の要点を学べるのがTOTの特長と言える。最後、質疑に立った参加者から、「実際にやってみて、これは使えそうだなと感じた」という発言があった。きっと多くの参加者が、TOTの研修効果の一端を体感することができたのではないだろうか。
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