学習履歴の世界標準Caliperとビッグデータの分析によって一人ひとりに最適な研修を実現

eラーニング最大手のネットラーニングは、同社が提供する学習専用プラットフォームMultiverse®(マルチバース)に、学習履歴の世界標準Caliper(キャリパー)を実装した。実運用されている学習プラットフォームとしては、国内で初めてとなる。 学習履歴の標準化は、企業や学習者にどのようなメリットをもたらすのか。同社代表取締役の岸田徹氏に聞いた。

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「学習」の時代の到来
ITの進化によるeラーニングの普及は、教育・学習・研修の姿を大きく変えつつある。その代表例が「反転学習」である。従来教室で行われてきた講義は、eラーニングによる個別学習に移行し、教室ではリアルな環境を活かした演習や実践を行う。テクノロジーの進歩により、「何を教えるか」から「何を・どのように学ぶか」へのシフトが起きていると岸田氏は言う。
「“教育”とは、人から教わることですが、“学習”は自ら学ぶことです。現在のような変化の激しい時代においては、今までに経験したことのない状況に直面します。そのような場面では、教えてもらったことがそのまま通用するとは限りません。むしろ、自ら学ぶ姿勢が求められます」
ロボットやAI(人工知能)の世界でも、以前は人間がアルゴリズムをつくって動かしていたが、今は機械に学習させることによって、人間の知能を超える存在になりつつある。
「教育される限り、教える人を超えることはできません。しかし、学ぶ力を持てば、いくらでも能力を伸ばすことができます。したがって、これからは、教育ではなく学習こそが核になる時代と言えます」
学習履歴が学習を変えた
「eラーニングの本質も、まさに教育ではなく学習にあります。学習履歴を取得できるeラーニングが、学習のあり方を大きく変えました」
eラーニングが登場するまで、学習はずっと“個人任せ”なものであり、他者からはブラックボックスであり続けた。しかし、eラーニングの登場により学習履歴が取得できるようになったことで、どんな学び方をしているかが“見える”ようになった。
「学びが可視化されたことで、学びを共有したり、支援したり、効果的・効率的な学習を設計したり、さらには協働学習も可能になりました。そして、何よりも大きいのは、一人ひとりに適した学習の提供が可能になったことです」
教材設計の概念に「インストラクショナル・デザイン」があるが、これは言葉通り、教える側の視点に立った教材設計の手法と言える。それに対してネットラーニングは、学ぶ側の視点に立って、教材と学ぶ過程を設計する「ラーニング・デザイン」という考え方を提唱している。その中心に位置するのが学習履歴である。同社では、eラーニング・サービスを開始した2000年から、学習履歴の取得を重視してきた。当時はイントラネット型のeラーニングが主流で、IDの使い回しが当たり前に行われていた。そんな中で、同社はクラウド型(ASP)サービスを提供し、一人ひとりの学習履歴をリアルタイムに取得。進捗や習熟度を個別に把握し、教材開発への反映や学習支援の充実に取り組んできた。その成果は、90%以上という高い修了率に表れている。
世界標準の学習履歴
創業以来「ラーニング・デザイン」に注力してきたネットラーニングが、その一環として今年新たに取り組んだのが、同社の学習専用プラットフォームMultiverse®への、学習履歴の世界標準Caliperの実装である。
eラーニングは今や、企業や教育機関などにおいて幅広く活用されている。そのため、多種多様なプラットフォームやアプリで学習した場合、学習履歴を引き継ぐことができず、個人の学習履歴がまとめて管理できないという問題が生じている。こうした課題を解決するために生まれたのがCaliperである。

Caliperは、教育分野におけるソフトウェアやコンテンツ、データの国際標準化を推進する大学や企業からなる国際コミュニティ、IMSGlobal Learning Consortium(IMSGLC)によって策定された。同組織には2016年4月現在、346の団体・組織が所属している。なお、日本でも2016年6月にIMS Japan Society(一般社団法人日本IMS協会)が設立され、Caliperの国内での普及活動に取り組んでいる。
Caliperには学習履歴データを収集する機能が搭載されており、Caliperを実装することによって、世界中のプラットフォームやアプリから集めた膨大な学習履歴データを基にした分析、活用が可能になる。
「IMS-GLCに所属する団体の間で議論が行われ、学習履歴を活用するための最適な設計が行われています」
国内の他のベンダーや教育機関にもCaliperの採用が広がれば、次のようなメリットが生まれるという。
・学習者は、どこで学習しても自分の学習履歴を常に一元管理できる。
・企業や大学等の教育機関は、学習コンテンツの品質を飛躍的に向上でき、学習者に対し、より的確な指導や学習支援の提供が可能になる。
研修の効果・効率を高める
岸田氏は、学習履歴の標準化とビッグデータの活用が、教育・学習・研修をさらに大きく変革すると考えている。
「この2つの組み合わせによって、個々の学習者に最適な学習内容を予測し、本人に推奨することが可能になります」
例えば、全社員に付与すべき知識があるとしよう。現状では全社員に同じ研修を受講させるしかない。しかし、Caliperを活用すれば、一人ひとりに適した研修の提供が可能になる。既に理解している人には実施せず、理解不足の人には重点的に研修を行うことにより、研修の効果・効率の両面で改善が期待できる。
また、学習者にとっても、自分の現状・課題に、より即したテーマやレベルの学習プランが提示され、より学びやすい環境が実現する。
機械学習するLMS
「これからはシステム自体が機械学習によって日々進化するため、活用すればするほど、より最適な学習内容が提示できるようになります」
AIは第3次ブームの真っただ中だが、同社はさらなる進化をめざし、既に機械学習するLMSの構築とサービス提供を準備しているという。
学習履歴の世界標準Caliperの実装、機械学習の利用により、個別学習の効果・効率のさらなる向上を追求するネットラーニング。日々進化するテクノロジーが、eラーニングを中心とした学びの世界をどのように進化させていくのか。今後も同社の動きが注目される。
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